2012/5/4

私は夜行バスをしょっちゅう利用します  弁護士・法律

 今年のゴールデンウィーク。
 私は10年くらい前から自らに課していた、その成否によってほとんど自分の人生の真価が問われるといってもよいある「宿題」に取り組むことを予定していた。
 しかし、いろいろな用件が舞い込み、今もまだその宿題にぜんぜん取り組めていない。
 そうこうするうち、ゴールデンウィークも残すところ、あと3日となってしまった。
 この3日間で、どこまでこの宿題を成し遂げられるか。
 いや、成し遂げねばならない。
 もしかしたら、明日から3日間、あまり電話に出られないかもしれません。
 その折はご不便をおかけしますが、なにとぞご容赦ください。
 みなさま、安全で楽しいゴールデンウィークを!
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2012/4/28

東京地裁の食堂 2  弁護士・法律

 このブログを中断している間、何度ここ北海道S市に来たろうか。
 それにしても私がS市に来るたび足を運ぶ、ここS駅構内のソバ屋「そばS」の蕎麦は秀逸だ。
 駅ソバのチャンピオンと言えないだろうか。
 今日は、道内「幌加内」というところのそば粉を使ったそばを提供しているという。
 すっきりした喉越し、絶妙なつなぎの割合。ふんだんに昆布出汁を使ったそばつゆも美味。
 おまけに店内にはあの名曲「島唄」がBGMとして流れ、最果ての旅情をかきたてるではないか。
 いつの間にか私は涙を流しているのだった。
 この間、ブログの更新ができなかったのは、多忙だったからでも、病気だったからでも、パソコンの調子が悪かったからでも、パスワードを忘れたからでもなく、ブログを更新しようとするとなぜか人に怒られることが続き、更新恐怖症に陥っていたからなのであった。(病気だったということか。)
 あれは3月半ば頃の新幹線「のぞみ」の車内だった。
 私は、自分の席でせっせとブログ更新のためのタメになる記事の数々をパソコンで打ち続けていたのだったが、途中で尿意をもよおし、車内の便所に向かった。
 最近の電車の便所は、便器の下に線路が見えたりすることもなく、実に清潔なのである。
 私は大いなる満足感をもって便所の外に出た。そのときだ。
 かなり暗い感じのする中年男性が、私に声をかけてきたのである。
「まだパソコンしますか?」と。
 ハッとなった私――つねに弱気である私――は、とっさに、「うるさかったですか。もうやめます。」と、ほとんど無意識のうちに返答していたのである。
 そして、実際に席に戻った私は、パソコン上のファイルを閉じ、電源を切った。
 …が、それにしてもだ。いつもたしかに力いっぱいキーをたたくという何事にも全力投球の私ではある。しかし、新幹線の車内でパソコンをしているのは私だけでない。むしろ、パソコン用のコンセントがある車両だって珍しくない。どうして私だけ叱られなければならないのか。そんなにうるさかったか?
 疑問を禁じ得なかった私に、さっきの暗い男性が、席に戻ってきて、こう続けた。
 「申し訳ないですねぇ。となりの女房が眠れない…っていうもんですから。」
 よほどの恐妻家なのか。しかしそれにしても、その奥さんの席は、私と通路をはさんだ反対側の、しかもその夫である男性を隔てた窓際の席ではないか。
 どうしてそこまで私のキーをたたく音が届くだろうか。しかもこの走行中の車内である。それで「眠れないの、アナタ・・・」だと?
 どうかしてるんじゃないのか?
 だが、もういい。私も、この際、日頃の睡眠不足をこの車内で補うことにしよう。
 騒々しい車内ではあったが、私はあっという間に深い眠りについた。となりにパソコンどころか、チンドン屋がいても私は目が覚めることがなかったろう。名古屋を出て豊橋か浜松にさしかかるころだったろうか。
 実に、いい休養になった。
 そして、私は、「のぞみ」の車内で、宝くじに当たったが、その宝くじの当選金を時効にかけるという大河ドラマ並みの、長年月にわたる夢を見ていた。
 ところがだ。おそらく「のぞみ」が新横浜に着こうという頃だった。
 くだんの暗い男性が寝ている私の二の腕を強くつつき、私をわざわざ起こしてくれ、そして言ったものである。
 「今日はすみませんでした。失礼しました。」と。
 すまないと思うんだったら、起こすなよ!
 そう叫んでやればよかったと思ったのは、東京駅についてだいぶ経ってからだった。
 女房が眠れないといって私のブログ更新に抗議した彼に、どうして寝ている私をわざわざ起こす権利があるのだろう。
 しかし…、と私は反芻するのだった。
 彼は、暗い。
きっと、世間にもあまり相手にされず、妻にも日頃邪険にされ続けているに違いない。そんな彼にとって、今日はもしかしたら、彼の主張が認められ、彼が彼の妻の期待にこたえおおせた、おそらく前にも後にもたった一日だけの、本当に彼にとっては祝福に値する大変な記念日となったのではなかったか、と。
 おめでとう! 暗い男よ。
 暗い男の妻よ!
 しかし、それにしてもどうしても釈然としないことがあった。
 それは、新横浜駅の下車間際に見たその「暗い男」の妻が、実に目をみはるばかりの美人。ミス・インターナショナル世界大会で惜しくも優勝を逃したが、翌年ミス・インターナショナルになった森理世さんよりもきれいじゃないかと新橋SL広場近辺のサラリーマンの間でもっぱら評判の知花くららさんと瓜ふたつの美女だったことである。
 それにしても、こんな恐怖体験もあり、私のブログ記事作成の機会はますます限られてしまったという次第なのである。
 そのためブログの更新がなかなかできなかった。
忙しかったわけでも、病気だったわけでも、パソコンの調子が悪かったわけでもない。
(なお、この記事は、飛行機の待ち時間に書いており、このために、なにかほかの仕事を犠牲にしたなどという事実はまったくありません。)
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2012/2/12

東京地裁の食堂 1  グルメ・クッキング

 食文化、旅行文化を論じるブログの開設者であり、しかも、弁護士でありながら、ここ東京地方裁判所の地下食堂の多彩なメニューについてこれまで一度もコメントをしたことがなかった。
 私自身、東京地裁の食堂でご飯を食べることがあまりなかったからでもあるが、どうしてあまりなかったかといえば、この食堂が空前の人気レストランであり、いつ行っても大混雑、たっぷりとした空き時間がないと、ここで食事を楽しむことなどできない。だからである。
 さて、どうしてそんなに人気があるのか。
 霞が関官庁街の食堂たちの中では群を抜く食材の鮮度、オリジナリティとバラエティーに富むメニュー、抜群の調理感覚、そしてこの安さである。
 道理でいつも、法曹三者や裁判所職員のみならず、霞が関のエリート官僚や国会議員の美人秘書らがいつも食券を求め長蛇の列をなしているわけだ。
 しかもその列の先には、自動販売機ではなくて、いまだに食券売りのおばさん(またはお嬢さん)がいるという一見昭和にタイムスリップしたかと思うような光景。
 ・・・ところが、今日の昼、私がたまたま裁判所の地下に立ち寄ったら、食堂はなぜか嘘のように静まり返り、ほとんど閑古鳥が鳴いていると言ってよいほどの有様であった。
 いつからこうなってしまったのか。それとも今日だけたまたまなのか。
 いずれにせよ、裁判所食堂で食事を楽しめるまたとないチャンスではないか!
 私はさっそく食券売り場に直行し、いつもショーケースの中の見本を見るたび「いつに日か、きっと、どうしても、必ず、食べてみたい。」と希求しやまなかった裁判所名物「きしめんセット」700円の食券を買い求めた。
 そして、調理場の配膳カウンターに向かう。(つづく)
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2012/1/31

ただのひとりごと  弁護士・法律

 今日は、午前9時50分から午後1時10分まで、それに午後2時から午後5時30分まで、ぶっ続けで法律相談を受けたため、とても疲れた。法律相談でさえこうなのだから、5時間53分もテニスをしたらさぞや疲れることだろう!
 ここのところ宿題もためてしまい、本来ならここ2,3日のうちに仕上げなければならない文書が約10個に達してしまった。(文書はどういう単位で数えればいいのかよくわからない。)
 さすがに切羽詰ったので、今日は、本日の予定を終えて、本来ならまずとりかかるその日の書類のファイリングや、期日報告書の作成、決まった裁判期日の請書の送信、メール・ファックス・郵便物のチェック・送受信など――いわゆる私が雑務と呼んでいる仕事(ただ、決して大事でない仕事という意味ではない。細々としたいろんな用務が含まれる。)――は後回しにして、すぐに文書の起案にとりかかってみることにした。
 いつもはその日の雑務を先に終えてから文書の起案に着手しているのだが、そうすると起案を始めるのがいつも12時を回ってしまい、ついついバテバテになってしまう。だから逆にしてみたのだ。目先を変えて普段とは違う道順で家に帰るようなものかもしれない。
 しかし、それはそれでダラケてしまい、こうして息抜きにブログの更新がしたくなったりしてしまう。
 違う道順で帰ったらへんてこりんな見知らぬ店に寄っちゃったようなものだ。
 どうも人間がだらしなくて困る。
そういえば、このブログのために出張先で書きためた記事も、パソコンに移すのを面倒がっているうちに、だいぶ時季遅れになってしまった。
 気合を入れなおさねばならない。まだ1月だ。
 豪雪地帯の人々も皆がんばっている!
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2012/1/23

まだまだ旅は続く  旅行

 恋の街札幌は、深い雪だった。
 私は羽田発朝一番の飛行機で新千歳空港に降り立ち、そのままここ札幌にやってきた。
 さすがに寒い。最高気温が氷点下だというこの日。
 しかし、それにしてもこんなに雪が積もっているとは思わなかった。
 私は午前中の早い時間に、当地で裁判をすませ、いつかこのブログでも紹介した市内のカレーショップで「オムカツカレー」980円というのを食べ、そのためついに所持金が10,000円を切ったが、明日の予定に備えるべく、札幌午前11時51分発の特急「スーパーおおぞら5号」で、一路釧路に向かうことにした。
 釧路まで4時間以上の旅である。
 北海道というのは、東京や大阪から来るよりも、道内の移動の方に手間ひまがかかるところである。
 しかし、それにしても実にあったかい車内。
 私はコートはもちろん、背広の上着も脱いで、ワイシャツ姿になった。
 まわりのお客さんにもそういう人が多い。
 ディーゼル特急は、うなるような音を発しながら、雪の札幌駅を定刻に発車した。
 実は、昨晩徹夜していたため(今年に入ってもう何日徹夜をしたことか。情けない。)、窓の外からのまぶしいほどの雪の照り返しの中、私はじきにぐっすり寝入ってしまった。
 で、携帯電話で目がさめたのは、列車が南千歳に近づくころ。
 車窓の外は果てしない雪原だった。
 それが、南千歳から石勝線に入るとなおさら深まる。
 人工物がまったく視界に入ってこない、ただただ静まり返った深い雪の原野が続く。
 特急「スーパーおおぞら」は、雪煙りをまき散らしながら、轟音を立てて突っ走る。まるで人跡未踏といった感じの白い世界の中、単線の線路だけが心細く続いている。
 よく「銀世界」というが、一面の雪の世界は決して銀色には見えなかった。
 午後1時過ぎ、特急は、スキー場で有名なトマムに停車したが、駅のプラットホームもまた半分雪に埋もれており(外はいつしか吹雪になっていた。)、特急からは1人か2人が降りただけのようだったし、逆にこの駅から特急に乗ってきた客もほとんどいないようだった。
 私は、寝たり、電話に出たり、寝たり、電話に出たり、を繰り返した。こんな山間なのに、私のこの古い携帯に電波が届くのが意外だ。
 特急は、トマムを発した後、さらに古びたスノー・シェルターを何度もくぐりながら、やがて石勝線とは別れを告げ、根室本線に入り、新得(しんとく)、帯広、池田…と鉄路を刻む。
 次に私が目をさましたときは、右手の車窓に太平洋の冬の海原が迫っていた。
 白糠(しらぬか)、そして終点釧路も近い。
 このあたり海沿いは積雪はそんなにないようだった。むしろ海があるのに乾いた感じの景色が続く。
 そして、午後3時半ころ、まだそんな時間だというのに、早くも真っ赤な夕日が太平洋に沈もうとしていた。
 帯広で半分くらいのお客をおろした特急は、定刻よりも5分程度遅れた午後3時50分、無事に釧路にたどり着いた。
 それにしても、少しでも油断すれば雪に埋もれてしまうだろう雪国の鉄道路線を保守する鉄道マンの苦労はいかばかりだろう。よほど緻密な計画や備えがあるのに違いない。しかし、石勝線にせよ、根室本線にせよ、JR北海道。決して黒字のドル箱路線とかいうことではないはずだ。
 こうして凍え死ぬことなく、あったかい車内で無事に移動できるのもそういった努力のおかげなのだ。
 時間を要するとはいえ、こうして旅行を楽しめる。本当にありがたいことだと思わずにいられなかった。
 鉄道旅行には、飛行機旅行にはない、なんというか重みみたいなのを感じる。
 旅のブログでないのに、旅行のことばかり書いてすみません。
 次は法律家らしい記事を書こうと思います。
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テーマ: 国内旅行

2012/1/21

旅は続く  ホテル・旅館

 正月くらいは、高級な宿に泊まろう。
 そう思って、今年初めてのこのU市への出張、私は、駅から5分ほど歩いたところにあるこの「Uセントラルホテル」に、1泊3,980円の部屋を予約したのだった。
 もちろん、はじめての宿泊である。
 まず、ホテルの建物がとても大きく、しかも、ロビーなどが異常なまでに明るいのに驚かされる。蛍光灯がこうこうと灯り、どこかの事務所にいるようだ。
 午後10時半。
 すでにあたりはとっぷりと暮れており、中国山地から吹き下ろす北風には、粉雪さえ混じっている。しんしんとした街並みの中で、ただひとつセントラルホテルの明るさは、文字通り異彩を放っていた。
ここはもしかしたらもともとホテルではなかったのかもしれない。
 その思いがさらに強まったのは、エレベーターを2階で下り、客室232号室に向かっていたときだ。なぜなら、客室の配列がどう考えてもホテルらしくなかったからだ。
私はエレベーターを降りてから、宴会場やトイレの前などを通った後、階段を何段も下り、あたかも1階に戻ったかのようなところで目的の232号室に到達した。
 ドアをあけてさらに驚かされたのが、ムムムムォーッ、ボボボボワーッとした煙草臭であった。
 たしかに、禁煙ルームを希望…とは、私は言わなかった。しかし、喫煙室を希望とももちろん言わず、ましてやヘビー・スモーカー専用室を…なんて所望しなかったのも事実である。
 しかし、ここではついさっきまで世界愛煙家会議が開かれていたかのよう。壁、床、ベッド、クローゼットの中、すべてに煙草のにおいがしみついていた、というより、こびりついていた。
 たまらず私は部屋の窓を開けようとしたのだが、見るとそこには「窓は絶対に開けないでください。」との掲示が(★写真1)。
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 ★写真1

 いったいなんのための窓なのか。2階なのに。
 それに「絶対に」とまで言われると逆に開けたくなるではないか。
 しかし、開けようとしてもガッチリ固定されていて開かないではないか。
 そしてそれなら「開けないで」という必要ないではないか。
 …おそらく、お客がチェックアウトをせずに部屋から逃げてしまうことを警戒しているのに違いない。
そういえば、ごく最近ここU市の近くの刑務所では脱獄事件があったけな。
 脱獄を断念した私は、さっそく風呂に入ることにし、高級ホテルに似つかわしい、洗面台とトイレとバスタブが見事コンパクトに収納された浴室へ。
ここもたいへんな煙草臭だ。愛煙家会議の面々は、風呂の中でまで煙草をやめられないのか。
 いずれにせよ、湯を注いでいる間、改めて見回すと、浴室とは違って、部屋は異常なほどの広さである。ここは元大会議室だったのにちがいない。こんなに広い部屋が1泊3,980円だなんて…。
 そして、この部屋の片隅に、私は実に懐かしいあるものを発見した。
 そのあるものとは…。
 そのあるものとは、空調機の無骨な調節スイッチなのであるが、そこにはあの懐かしい「ナショナル」のマークがくっきりと記されていたのである。
 水戸黄門の前などで、「あかる〜いナショナル、あかる〜ナショナル、みんなうちじゅうなんでもナショ〜ナ〜ル〜」などという平和な歌が流れていたころの、あの骨太の「N」をアレンジした松下電器の商標(★写真2)。
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 ★写真2

 昭和の原風景を見た思いがした私は、そうだ、あのころは、禁煙室なんていう概念自体がなかったよな、映画館の中だろうと飛行機の中だろうと、みんなタバコを吸っていた・・・と、今はむしろ猛烈な煙草臭にも慣れてきて、ノスタルジアにも似た感懐に浸るのだった。…おっと、風呂の湯がいっぱいになっちゃう。
 風呂に入ってまたひとつ、私は発見をした。
 こういったビジネスホテルでは、必ずと言っていいほど、パジャマやバスタオルなどをひっかけるためのフックが浴室のドアの裏に、そう、必ず決まってドアの裏にくっついているものなのだが、ここのホテルのドアにはそれがない。
 私は、本当に珍しいビジネスホテルだな、と思った。
 そして、よく見ればそういったフックの代わりに、フックが取れた痕がひとつドアの裏にくっついているのだった。
 風呂から上がった私は、チェックインからまだ2時間たっていない夜12時前には就寝。前の晩ほとんど寝てないこともあったが、あっという間に深い眠りに陥った。
 だから、結局どんな宿でもいっしょなのだ。
 そういうことを強く認識させてくれた、ここUセントラルホテルでもあった。
 こうして私の旅は今日も続くのである。
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2012/1/16

G駅ビルの「2こ2こ寿司」 2  グルメ・クッキング

 しかしそれにしてもさすがだ。G市は、寿司の本場として東京でも名高いが、私はこの「2こ2こ寿司」をいただいて、うべなるかな、とうならずにはいられなかったのである。
 そりゃたしかに、値引き前でも2人前弱で1,199円程度のにぎり寿司である。
 各寿司ネタに高級感がないのは否めない。
 そして、たしかに鉄火巻きの赤身は筋ばかりで歯にひっかかるし、軍艦の海苔は、時間がたってることもあり、ビチャビチャとお茶漬けの中のお茶漬け海苔のようだし、マグロは薄っぺらいし、エビは水道水っぽい味がするし、穴子にかかっているタレ(つめ)はやたら甘ったるいし、帆立は歯ごたえを完全に失っているし、逆にイカはチューインガムのように噛み切るのに苦労させられるし、玉子も安手のカステラみたいなのだが、いずれもきちんとした嘘のないネタを使っていることが明らかであり(寿司屋によっては、お客がわからないのをいいことに、ネタの名前そのものでない近縁種の深海魚とか、普通は日本人が食べないザリガニとかウミヘビの仲間をネタに使っているところもあると聞く。)、いわゆるごまかしがないきわめて誠実かつ率直なにぎり寿司。
そして、いずれもちゃんと「あぁ、お寿司を食べたな。」という満足度をもたらしてくれるきちんとしたにぎり方(宅配寿司などでは、機械でにぎった真四角なにぎり寿司も珍しくない。)。また、ちゃんとしたご飯(シャリ)が使われており、その酢加減も、なんとも申し分のないものであったのだ。
 考えてもみてほしい。たった839円ですよ!
 839円で、上記のとおり、これほどの、銀座の高級寿司屋にも負けないようなちゃんとしたにぎり寿司を食わせるのである。
 それに、穴子とマグロの間には、笹の葉を模した緑色のビニール仕切りまでちゃんと添えられているではないか。
 …うぅむ。手抜きがない…。私はつぶやいた。
 私は、実はG支部の裁判がうまく運ばないこともあって、若干うつ状態になっていたのだが、この「2こ2こ寿司」を食べ終えた後は、ああ、本当に今日はいい買い物をした、素晴らしい「食との出会い」をした…。このG市のお寿司屋に対する畏敬の念に、まさに魂を揺さぶられる思いだったのである。
 人生の幸せって、これじゃないだろうか!
 いずれにせよ、G支部にいらっしゃる方には、ぜひ、お食事は、G駅駅ビルの中のレストランとかでなさることなく、この寿司売店で売られている寿司を、しかも午後5時過ぎくらいのディスカントどきを狙ってお買い求めになり、それを帰りの電車の中などで召し上がられることを強くお勧めします。
 本当です。(おわり)
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2012/1/15

G駅ビルの「2こ2こ寿司」  グルメ・クッキング

 ここ静岡県のG市には、静岡地家裁の支部がある。私は、ある事件の関係で、ここ1年くらい、毎月1回のペースでここに通っている。
 さて、1月も10日を過ぎれば、そろそろ生ものとかが食べたくなる。とくにお寿司を。
 私は、G支部からの帰途、G駅の駅ビル1階の食品売り場をうろついていたのだが、そこにかなりスペースの広い寿司売り場があるのをみつけた。
 パックに入ったにぎり寿司が、ズラーッと並んでいる。
 うれしいことに、夕刻過ぎということもあり、すでにディスカウントが始まっていた。
 私は、帰りの車中での夕食にすることにし、並んでいるパックの中から、正価1,199円、それが3割引きで839円になっている、「2こ2こ寿司」というのを買い求めた。
 まぐろ、イカ、穴子、ホタテ貝、エビ、玉子、中落ちの軍艦が2個ずつ、それに鉄火巻きとかっぱ巻きが4個ずつ入っているという、けっこうなボリュームのパックだ。
 そして帰りの車中でさっそくそれをパクつくことにした。
 ところが、間違って「さび抜き」のパックを買ってしまったのに気付いたのは後の祭りだった。
 さび抜きの寿司はどうも気が抜けた感じで、いくらネタがよくてもあんまり好きではない。
 見ればちゃんとパッケージには「さび抜き」と書かれたシールが貼られている。
 さっきは、「3割引き」というシールが「2割引き」のシールの上に重ね貼りされているのを見つけ、そうか、ちょうど2割引きから3割引きに切り替わったときにうまく出くわしたのだな…と内心気をよくしていた私だったのだが。
 でも、なんでこの「さび抜き」のシール、もっと目立つようにしないのか!
 これじゃぁ目が悪いお客は見落としてしまうじゃないか。
 …と、こうしてなんでも他人が悪い、自分は悪くないと、自分の至らなさを棚に上げる私なのであるが、ところがだ。ガックリしていた私を大いに勇気づけてくれたのが、パックの片隅に投げやりに放り込まれていたわさびの小袋なのである!
 このお寿司屋は、わたしみたいに、3割引きのパックが売り切れる前に早く買っちゃおうと、あわてて「さび抜き」のシールに気付かぬままレジに持って行っちゃうお客、しかもそのうっかり加減を「シールがちっちゃいのがいけない!」とか責任転嫁しようとするお客がいることをちゃ〜んと見越して、こうしてわさびの小袋もパックに入れておくという見事な周到さ…というか、お客に対するサービス精神にあふれるお寿司屋なのに違いない。もっとも、本当にさび抜きでいいお客にとっては、このわさびは無用の長物以外のなにものでもない。使われぬままゴミ箱行きなのであって、上記サービス精神のためには資源の無駄遣いさえいとわない、という意味では、サービス精神は買うにしても、この寿司屋が果たして地球にやさしいエコ寿司屋といえるのか否か。私は、夕日が沈もうとしている東海の海を右手に眺めながら、地球環境に思いをいたし、つかの間ひとり思索にふけるのだった。(つづく)
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2012/1/8

深夜の電話相談  弁護士・法律

 正月気分もすでに抜けたが、いわゆる水商売の人にはまだお正月休み中の人が多い。
 Aさんもそういうひとりであり、今もまだ故郷の青森にいるという。
 で、その青森から、夜中の12時過ぎに電話をしてきたのだった。友人の相談だという。
 どうも水商売の人には、自分たちと同様、私のことも夜型の人間で、2時、3時まで当然起きていると思っている人が多い。
 ま、それはともかく、Aさんの相談というのは、自分の友人B君が、婚姻届を勝手に出されてしまった、その婚姻は取り消せるか・・・という相談なのだった。
 そして、いまそのB君と地元の酒場で飲んでいるところだというのだから、近くにいればどついてやりたくなるが、とりあえず聞いてみると、その婚姻届はB君が自分で署名捺印したものだ、という。
 しかし、それは相手の両親を安心させてあげるために書いたもので、まさか相手が本当に役所に出すとは思わなかった、というのだ。
 ところが、さらに聞けば、B君とその彼女は今は別々に住んでいるが(だから、こんな夜中にAさんとふたりで酒を飲んだりできるのだろう。)、婚姻届を出された前後は同棲をしていたというのである。
 私は答えた。
「それではどうしようもないね。」
 厳密にいえば、婚姻を取り消せるかどうか、ではなく、婚姻は有効か無効かの問題なのだが、婚姻届が偽造されたわけでもなく、しかも、共同生活の実態があった。それで婚姻無効を認めてくれる裁判所が日本にあるだろうか。
「わかりました。」
 Aさんは、自分のことではないからか、実にものわかりよく引き下がった。
 そのAさんに私は言ってあげた。
「あなたも気をつけてくださいよ。それに、B君は妻帯者ってことなんだからね。よくわきまえてくださいよ。」と。
 この電話のあとのAさんとB君の足取りがどうであったか、もちろん私には知る由もない。
 青森はとっても寒いとのことだった。
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2012/1/3

安全運転でお願いします  弁護士・法律

 新年、はやばやと多くの方から年賀状やお電話、メールで年始のご挨拶を頂戴した。
 ありがたいことである。
 無病息災でお元気に新年を迎えられた方々には、なにより・・・とお喜び申し上げます。
 ところが、中には早くも交通事故を起こした人もいた。
 一年の計は元旦にあり、というが、元日早々交通事故を起こした人の気持ち、いかばかりか・・・と、相談を受けるこちらも暗澹たる気持ちになる。
 もちろん、お屠蘇気分で運転をするような人ではないし、比較的軽い事故で、重篤なケガ人が出なかったのは不幸中の幸いであった。
 しかし帰省先からのUターンのラッシュなど、疲労をかかえたままの運転を強いられる新年でもある。
 自動車というものは、人間が使用する「道具」の中では、それを使用する者に殺意がなくても使用の結果相手を死なせてしまうことがある、ほとんど唯一といってもよい危険な道具だ。
 自動車を運転する方は、ぜひ2012年も安全運転を心がけていただきたいと思う。
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