今回はコピーライティングの話です。キャッチフレーズ(ヘッドコピー)の作り方にも当然「ハコ」は存在します。たとえばユージン・シュワルツの「BREAKTHROUGH ADVERTISING」(邦題「プロ広告作法」)。ながらく絶版状態にあったため、ebayで900ドルの値が付いた伝説の書。今年ついに復刻版が出ましたが、236Pで95ドルは強気のプライシング(邦訳は絶版したままです。誠光堂新光社さん、もったいない)。この本でジーンは通信販売の現場から生まれた実戦テクニックを余すところなく紹介しています。とはいうものの:
「ヘッドライン強化38則」なんて、ハコがこんなに多くては手も抜けませんね。しかも、本人が断っている通り、これらのテクニックは「分析」のテクニックであって、「公式」ではないということ。
『分析とは、適切な質問を発する技術であり、問題自身に適切な解答をさせる技術なのだ。それは市場の壁を打ち破る技術である』(同書「はしがき」より)
ということでこの本は、現在では、コピーライティングのハウツー本というよりマーケティングの教科書として読まれているのですね。それはさておき:
優れたキャッチフレーズを生み出す公式はなくても、すでに生まれたキャッチの良し悪しを簡単に見分ける方法(クシ)ならあります。隠しておいてもメリットがないので公開しましょう。私は仮に「ダカラカッテネ検査」と命名しておりますが、それは:
キャッチフレーズの後に「だから買ってね、(商品名)」とつけてみることです。「買ってね」の部分は、商材にあわせて「来てね」(商業施設)になったり「乗ってね」(交通)になったりしますが、基本は同じです。早速ためしてみましょう。まずは最悪の例から
例1)恋を何年、休んでますか。だから来てね(商品名)。
例2)人は、人を思う。だから買ってね(商品名)。
例3)愛に雪、恋を白。だから乗ってね(商品名)。
何が最低って、( )の中の商品名、思い浮かびますか? 公平を期すため商品名いれてみましょう。
例1) 恋を何年、休んでますか。だから来てね、伊勢丹。
例2)人は、人を思う。だから買ってね、キリンラガービール。
例3)愛に雪、恋を白。だから乗ってね、JR東日本。
思わず「なんでやねん!」とツッコミをいれたくなりませんか。
実はこれ、「明日のコピーライターを夢見るコピーライター養成講座に通う、コピーライターの卵たち」が回答した「あなたの最も印象に残っているコピー」の1〜3位(宣伝会議2004年11月号)。う〜む、卵たちの評価はちょっとちがうようです。
それにくらべると
例4)トクしたね。と、目でうなづきあった、帰り道。だから来てね、西武。
例5)燃焼系、燃焼系、アミノ式。だから買ってね、アミノ式。
例6)ハワイに飽きたら九州の夏。だから乗ってね、JR九州。
の方がだんぜん優れていると思いませんか?卵には無理かな。
キャッチフレーズが商品を連想させなければ、それは効かないコピーです。効かないコピーは、ただの寝言です。表現が新しいだとか、きれいだとか、は一切関係ありません。そこのところ、「ダカラカッテネ検査」は明快に示してくれます(自画自賛)。
(おすすめTEXT)
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