Jaxさんからのトラックバックで、新小岩の
匠屋が閉店するとの情報を頂いた。
よく読んでみると閉店ではなく休業だったのだが、いずれにしても驚きだった。
あれだけ流行っていて支店も出しているのに、突如の休業宣言とは。
しかも最終日は28日だと言う。
27日に行って来ました。
昼の用事をはしょって、3時の閉店に間に合うようにタクシーを飛ばして新小岩まで。
なんとか2時半過ぎに店の前に乗りつけ、店内へ。
さすがに月末の金曜日のこの時間ですから、如何に繁盛店と言えども空いてます。
4人ですぐさま注文したのは『醤油らーめん、焼豚、煮玉子』。

先客は1人だけだったし、好い具合の昼下がりだったのでビールも呑みたかった。
でも醤油らーめんの後に、あわよくば塩らーめんも食べようと思っていたのでビールは我慢。匠屋のらーめんは麺が多めなので、ビールを飲んじゃうとさすがに2つは食べられない。
匠屋でビールとくれば、ツマミは餃子。
ビールがなくても当然美味しさに変わりはない。
餃子ならシェアすればいいから頼もうかと思ったら、この時間では既に売り切れ。
ここの自家製餃子もかなり美味しいかったので残念です。

ツマミで頼む焼豚もいいんですよね。
たっぷりのモヤシの上に焼豚が6枚。
これでビールも最高です。
だがしかし、2杯目に塩らーめんを食べるために我慢。
普通なら一杯食べればいいじゃないかとも思うんですが、匠屋の場合は違うんですよ。
しかも当分休業になってしまう。
醤油らーめんの美味しさについては既に
レポートした通りなんですが、この店の塩らーめんも旨いのです。
丼の中央に南高梅の梅干が鎮座している。
この塩らーめんは病みつきになります。
醤油も捨てがたいが、塩も食べたい。
だからビールを我慢しても、焼豚を頼まなくても、出来れば2つ食べたいのです。
これは前回のレポートの写真ですが、ご勘弁を。
焦ってタクシーに乗ったのでカメラを忘れました。^^
相変わらず旨い醤油らーめんです。
9席しかないカウンターからは店主の手元が丸見え。
こだわりの醤油ダレに注ぐスープは黄金色の透明なスープ。
出来上がった醤油らーめんは随分と黒々としたもの。
でもこれが実は驚くほどアッサリとした味わいなんですよ。
全く醤油辛くない。
醤油と出汁の旨味が、舌から口の中全体に、そして胃の中から全身に拡がっていく感じすら覚える。
私はらーめんを食べ歩いているわけではないので詳しいことは分かりませんが、匠屋の麺については特に思うことはない。別にこの店ではなくても出会える麺のような気がします。メンマだって西葛西の『
達人』とか、門前仲町の『
こうかいぼう』の方が美味しい。
でも、このスープだけは他では味わえない。
そしてこのスープだから、普通だと思える細縮れ麺が活きてくる。
コッテリ系が圧倒的多数となったラーメン界に於いて匠屋の醤油らーめんが引き続き高評価であると言うのは、絶滅寸前の東京醤油ラーメン派の私にとっては嬉しいことなんです。
あっさりさっぱり、しつこくないのに後を引く旨味。
醤油と出汁の相乗効果。
あぁ、来てよかった。
一緒に来たうちの2人は既に食べ終えて外に。
大盛を頼んだ若者が食べるのを待っている間に店主と少し話をしていたら、やはり塩らーめんが食べたくなってきた。でもお腹は結構膨らんでいる。
大盛を食べている若者は平気で3食ぐらい食べられる頼もしい奴。
塩らーめんも頼むのかと聞いたら迷っている。
この若者は匠屋は初めてなのだが、醤油らーめんがあまりにも旨いので塩らーめんも食べてみたいと思っていたらしい。
二人のやり取りを聞いていた店主はニコニコしながら、『塩も作ろうか?』と聞いてきた。
店主はお客さんがスープまで飲み干すと非常に嬉しそうな笑顔になる。
『ご馳走様、旨かった』と言ってお勘定をすると正に相好を崩した笑顔になる。
自分の作ったラーメンを美味しそうに食べてもらうのが嬉しくてしょうがないんでしょうね。
だから『塩も作ろうか?』と言う問いかけには『もう一杯分の売り上げを上げよう』なんて嫌らしい感じは微塵もない。チェーン店でマニュアル通りに『○○もご一緒にいかがですか』と言われるのとは全然違って、清々しいんです。
さすがの若者も大盛り醤油らーめんの後にすぐもう一食と言うのはきついみたいだし、私は一杯完食出来そうにない。塩らーめんは二人で分けることにした。
透き通ったスープが丁寧な仕事振りを現している。
鶏がら、豚骨、魚介で時間をかけて取ったスープストックは黄金色。
強火で一気に煮出していくと力強いストックが取れるが、こんなに綺麗な色にはならない。
フレンチでフォンを取るときに『微笑むように』と言われるのは、大きな寸胴の中で小さな気泡が微妙に水面を揺らすぐらいの火加減で時間をかけてフォンを取れと言うこと。時間が旨味を抽出し、透明なフォンにしてくれる。
フレンチのフォンとラーメン屋のストックは違うだろうが、匠屋のストックは濁らないように細心の注意を払われて取られたものの筈だ。そのストックと何種類かの醤油を合わせた醤油ダレのハーモニーは最高なのだが、粟国の塩とも絶妙な旨さを出してくれる。
粟国の塩は沖縄で作られる自然塩。
海水を汲み上げてから製品になるまで半月かかると言うもの。
化学薬品は使わず、昔ながらの工程を踏襲して手作業で作られている。
尖った塩辛さではなく、ほんのりとした甘みが感じられる自然塩です。
自然塩にもいろいろありますが、どれを使うかは料理人次第。
何処の塩が一番などとは言えるものではありませんが、粟国の塩は間違いのない塩のひとつである事に疑いはない。
過剰な旨味のないスープストックと丸みすら感じる粟国の塩が合わさった塩らーめんのスープは、醤油同様アッサリとした中にも充分な旨味をたたえたもの。醤油よりもすっきりと仕上がってます。
このらーめんを途中まで食べてから、中に入っている紀州南高梅の梅干をくずす。
すると柔らかな酸味が加わって、キリッとした味わいになります。
旨味でいっぱいになり始めた口の中が、もう一度覚醒する。
さっぱりとした塩味。
これがまた好いんですね。
あぁ、追加で頼んでよかった。
大盛りの後に塩を半分食べた若者も、一気に完食。
そこでまた店主の笑顔。
若者は後から食べた塩らーめんの方が旨く感じたそうです。
お腹が一杯になりかけてから食べたものの方が美味しく感じるって言うのは、この塩らーめんのサッパリとした美味しさを物語るものですね。
休業は借りている店の建替えのため。
前回の更新時に、建替えの時には更新出来なくても好いと言う条件で続けさせてもらうことになったのだとか。そして大家さんはいよいよビルに建替えることにした。
実際に建替えた後に同じように入居できるかどうかは未定ながら、来年始めには再開出来るんじゃないかと言ってました。
本日から休業に入ってしまったわけですが、店主は
御徒町と
船橋の支店の方を回るそうです。
最後にいろんな話をしている中で、煮玉子の作り方まで教えていただいた。
またこの場所で再開できると良いなぁ。
たったの9席の狭い店だったけど、小奇麗な支店とは違う、温かみのある店でしたから。

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