最近開店した店だと思うのだが、いつ頃出来た店だろうか。
本来は夜に酒を楽しむ店なのだが、昼には定食を出している。
『しゅもん』の場所は
この辺です。
いわな屋で蕎麦でも手繰ろうかと思ったのだが、魚もいいと思い寄ってみる。
入口も看板も良い感じで、店の中も狭いながらも落ち着いた雰囲気。
気さくなママさん(?)と板前、手伝いの3人で店を回しています。ママさんの優しい人柄が店の雰囲気を丸くしていて、大柄な板さんと手伝いの女性の対応も感じがいい。
ランチには日替り定食と焼き魚、刺身の3種類がある。
この日の日替りはネギトロ丼。焼き魚は『さば文化』と書いてある。
刺身も良いと思っていたのだが、『さば文化』ってなんだろう?
頭の中には『文化史』『天平文化』『食文化』などの文字が浮かんで来る。
『さば文化ください』と言うのも憚られるので、『焼き魚定食』と言ってみた。

どんなさば料理かと思ったら、普通の干物の焼き魚でした。
ちょっと拍子抜け。
なぁんだ、と思いながら一口すすった味噌汁が
旨かった。
居酒屋の定食では、味噌汁のまずい店が多い。
これは手間をかけられない店では宿命のようなもので、味噌汁は何度も温め直すと味噌に含まれるでんぷんが粘り気を出してドロドロになる。安い昼飯を食べるときは、至極真っ当な味噌汁を期待するほうが悪いと言うものだ。
この日伺った時間は昼の営業時間ギリギリだったので、旨い味噌汁なんか期待していなかったのだ。泥のような味噌汁が出てきたとしても、『遅い時間に行った自分の責任だ』ぐらいの気持ち。美味しい味噌汁が飲みたければ早い時間に行くことだ。
ところが、これ以上味噌が少ないと味が薄くて美味しくなくなると言う手前の、さっぱりした味噌汁が出てきた。ネギの香りも良い。
嬉しいですね、遅い時間でもこう言う味噌汁を出してもらえるのは。
拍子抜けしてた気持ちが、一気に盛り上がってきました。(^^)
お膳にはさばの干物の他に、とろろ、煮凝り、漬物がついてきます。
とろろも出汁との調和がよく、粘り具合が良い。とろろの旨さは喉越しだね。

自然薯、大和芋、長芋などいろいろ種類があって等級もあるのだけれど、昼飯を掻き込むのには、一にも二にも粘り具合とメシと絡んだ喉越しだ。
煮凝りがついているのも嬉しい。
熱々のご飯に煮凝りを乗せて、溶けかかったところを頬張ると幸せです。
自然に固まった煮凝りが最高だけど、寒天で固めたものでも魚の滋味が溶け出して旨い。
さて肝心の『さば文化』です。
どこをどう見たって干物ですよね。干物を醤油で付け焼きしたものです。
これ、結構脂が乗っていて美味しいです。大き目の小骨数本を除いて、皮も何もかも食べ尽くしました。
変なさばは脂が臭くて好きじゃない。そもそも腐り易いと言う先入観があるせいで、あまり食べません。でも、
ここの干物は旨かったですね。
食べ終わってから一息ついて聞いてみました。
『さば文化』とは、さばの文化焼きのことだそうです。『焼き』の文字を書き忘れたんだって。
文化焼き??? ここでまたも混乱。文化焼きって、マヨネーズをかけて魚介を焼くものじゃなかったですか?
明治の文明開化とともに入って来た西洋料理の手法を取り入れた和食。
もしかしたらよく使う言葉なのかもしれないが、これって『文化干し』を焼いたと言うことなのでしょう。
文化干しって知ってますか?
天日干しに対する文化干しと言う意味と、灰干しセロハン包みの2種類の意味があります。
前者は冷風乾燥機を使った干物。スーパーなど、どこでも売っている干物ですな。天日干しは高いので普通は冷風乾燥物を買いますが、最近は安物と言っても、技術革新で旨いものが出来るようです。けれど天日干しにして太陽の光で淡白を分解し、旨味を凝縮させたものにはかなわないと言うのが一般的。
後者は火山灰でサンドイッチにして魚の水分を抜きながら熟成させるもの。陽に当たらないので脂が劣化しにくく、臭みが出でずに旨味が凝縮される。熟成管理が重要で、温度管理が出来るようになった近年に飛躍的に旨くなった。
昔セロハンで包んで売ったことから『文化的』とのイメージがあり、文化干しと呼ばれるようになりました。
このさばの干物がどちらなのか分かるほど、素晴らしい舌は持ち合わせておりません。(^^)
普通に考えると、灰干し熟成を使って850円で定食は出せないでしょう。結構高いんですよね、灰干し。
しかし、焼き方がいいです。脂がのった魚を上手に焼いている。
どんなに良い素材でも、調理がダメだと台無しです。私は干物の目利きは出来ませんが、当然かけられるコストの範囲内で良い物を選んでいるのでしょう。それを旨い焼き魚に仕上げています。
なかなか美味しい定食でした。
今度は刺身も食べてみようかな。
そして是非、夜にも伺ってみたい店です。

投票よろしくお願い致します。

1