
すごく良かった。
心ずっしり。
胸を通り抜けておへその奥の方までずっしり来るような出来上がり。
芸術劇場大ホールは4階席までいっぱい。
私は2F席から観ましたが、前半のずっしり感が重すぎたのかなあ。
両サイドのお客さん、後半始まったときにはいませんでした。
後半すごくよかったのに、なんともったいない。

読んだのは10年くらい前。
好きです。村上春樹。
重松清が実生活の心を深いところまでなぞるように書くのとは対照的な、幻想的で現実と現実でないものが入りまじり、残酷だけどやさしくて、究極のコミニュケーションとして、SEXを深くきれいに描く。
『ノルウェイの森』の映画化には、小説をビジュアルに変えると生々しいな・・・文字の方がよかったかな・・・が率直な感想。
でもこのお芝居はすごかった。
2F席で、柳楽優弥の類をみない鋭いまなざしが見えないのが残念でしたが、ピッタリの役どころで素敵でした。
15歳の葛藤って、これくらい深いよなってつくづく思いました。
デビュー作の『風の歌を聴け』は30年以上前の作品で、さらっとその言葉が出てくる。
大学生の「僕」が東京から里帰りして過ごした夏休みの話で、「筋立て」もなく「僕」がジェイズ・バーに通って「鼠」と呼ばれる相棒とビールを飲むのが作品の骨格。
鼠はピンボールにつながっていった。
羊博士や羊男が登場して次の小説につながっていく。
本棚の奥の方には『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険 』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 『ノルウェイの森』 『国境の南、太陽の西 』『ねじまき鳥クロニクル 第1部 第2部 第3部』 『スプートニクの恋人』 『海辺のカフカ』 『アフターダーク』 が今もある。
買ったのは夫。夫がしまったのを読むのが私。
『あなたに私のことを覚えていてほしいの。あなたさえ私のことを覚えていてくれれば、ほかのすべての人に忘れられたってかまわない』のセリフは小説そのままだった気がする。
田中裕子がしゃべるとなぜか私にはもののけ姫のエボシが浮かんでしまう。
そっけない粘着力のない話し方がエボシも佐伯さんもぴったり。
佐伯さんに『ノルウェイの森』のレイコさんが重なる。
寓話的な筋立てや空想的な人物や幻想的な仕掛けを駆使して、それでいてリアルな物語に収まる村上春樹節は私にはおなかの底まで響く。
どこにもたどりつけない純粋な「悪意」や「病い」のようなものって、日常のどこかにいつもある気がする。
ないもののようにして、清く正しく美しく明るく元気で友達いっぱいみたいなのて薄っぺらい。
もしかして私の中では今まで見たお芝居の中で一番かも。
ガラス張りのBOXがくるくる動く舞台演出はこの作品にはあまりにもピッタリでした。
読んでいた時、図書館司書の大島さんや、猫と話ができる中田さんがとても好きだった。
最初に出てくる『野方駅前商店街』の文字。
一人で暮らしてた時、沼袋に職場があって隣駅の野方商店街を通って鷺宮のアパートまでを毎日自転車で通ってた。
なんだかあらためて私にとって特別の作品。
重松清の『かあちゃん』はもうすぐ終わる。
『からのゆりかご』に移る前にもう一度『海辺のカフカ』読んでみたくなりました。


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