Tの音ってば、先頭に立ったときはどんどん前に出て気(摩擦音)の強いやつ〜みたいなイメージ。ところが、他の子音が前後に来るとその性質がころりと変わってしまったりして、意外と
周りに影響されやすいタイプだったりする。
地域により事情が違うと思うが、アメリカ英語では「Twenty」を「トウェンティ」ではなく「
トウェニー」と発音する。「t」の音が前の「n」とに引っ張られて同化してしまうのだ。事実、耳で聞いて覚えるのが先の子供達のなかには「Twenny」と綴ってしまう子もいるそうである。
「Little」が「リトル」ではなく「
リル」と発音されることも、よく知られている。この場合は後ろの「l」に影響を受けて「Lill」のような発音になってしまっている。
「t」も「n」も「l」も、発音する時に歯茎に舌を当てるという点で同じ。つまり舌の位置が同じで、別の発声法を行なうよりは一つにまとめてしまったほうが楽?という自然な流れとみることができる。
ていうか、ネイティブはそんな理論的なことは考えたこともなく、無意識のうちにそうしているというのが当てはまると思われる。
「t」と「r」が組み合わさると、また全く違った音声学的反応が起こる。二つの音の舌の位置は違うので、同化は起こらない。でも「t」の音は明らかに本来の音とは違う音に変化している。
これは研究者の間でも、いろいろ議論があって見解は一致していないらしいが、すぬの大学時代のアメ人先生は「t∫」と発音されているとおっしゃった!
発音記号「t∫」は、「church」などのchの音に相当する。かなで表すと「ちゅ」の音に近い。え”え”?!ほんとうですか〜?
ためしに「try」と発音してみなさいと先生は言う。確かにネイティブは日本語的「トライ」とも、英語の通常のT音を含む[trai]とも発音してはいない。[t∫rai](かなで表すと「
チュライ」)ですよ、と先生は力説した。
うわ〜、そうなんですか?確かに「tr」と続けて発音しようとすると、その時の舌の位置は「t∫」の音の時と同じである。そうかあ、「try」は「チュライ」、「tree」は「チュリー」だったんだ、、、。
どちらの発音記号で表されようと、ネイティブ・スピーカー達が発している音は一つである。その音に近づくことができるなら、その「t∫」の音、利用しない手はないのである。
折りしも、間もなく
ハロウィーンがやって来ようという季節。仮装した子供達が菓子をねだる時の決まり文句、「Trick or treat!」。ここまでお読み頂いたあなたは、なんと発音すれば良いかもうお分かりですね。
日本のハロウィーン紹介サイトなんかを見ると「トリックオアトリート」って書いてあったりする所もちらほら。「or」はリエゾンしちゃいますので、せめて「トリッカートリート」と表記してほしいところ。
すぬ的には、さらに突っ込んで「
チュリッカーチュリー」と表記してしまいます。「treat」の最後の「t」はほとんど聞こえないので、かなで書くときはとってしまいましょう。
今までにも何回も書いてきたが、英語をかなで置き換えるのってホント困難で悩ましい問題なんですよねえ。