岩手県では医師思不足が急激に深刻化しています。
今日の岩手日報一面に特集記事がありました。
深刻な医師不足 県内自治体病院(岩手日報2005年3月27日)
我が県は明治以来、公的医療の充実に努めてきました。普通の4〜5県分の広大な領域を持つ岩手県では、明治以来、県民の健康を行政が積極的に守らなければならないと考えられてきました。
日本最初の県立病院が岩手県で設立されたのは有名な話です。
長い間、我が県の県立病院は地域医療の中核機関として、県民の信頼を得、県民の健康を守ってきました。
それが現在、壊滅の危機に瀕しているのです。
岩手県の医師数の割合は、人口10万人当たりで174人。全国平均の206人を大きく下回っています。それでも各地域の病院に医師を配置できていたのは医局制度のおかげです。
ところが、昨年、新たに臨床研修が必修化されたことによって、本県に十分な数の医者が来なくなってしまったのです。
新しい臨床研修制度は本来、医師免許を取ったばかりの者を全国の病院で研修してもらい、様々な現場経験を積んで優れた医者になってもらおうとする制度です。
ところが、この研修先を本人が自由に選べることになったため、症例が多く研修に向いた都市部の大病院に新人医師が集中するようになってしまいました。
これまで地方では、大学病院が新人医師を医局に囲い込むことで、一人前になった中堅医師を地域の病院に派遣し、医療と教育を両立してきました。
ところが、新人医師が大病院に集中するようになったため大学は人材を確保できず、止むを得ず中堅医師を大学に引き上げさせる措置を取らざるを得なくなってしまいました。
これが地方病院から医者がいなくなった原因です。
記事によれば、岩手医科大学では例年60〜70人の新人医師を医局員として囲い込んでいました。それが昨年度は一人も確保しませんでした。医局制の事実上の廃止です。
大都市から発信される報道や世論は、「白い巨塔」のイメージそのままに医局制を医療界の腐敗の温床と考えているようです。
しかし現実には、医局制が廃止されることで医療が成り立たなくなっているのです。
医師数そのものは全国的には増加傾向にあります。
それなのに新人医師たちが岩手の病院を目指さないのは、岩手に新人医師たちを惹きつける魅力が欠けているからに他なりません。
岩手の医療界には、現実が困難だからこそ優れた技術と人間味のある医療を実現して欲しいと思います。
教育に携わる側の人間としては、地元出身の医師の育成に力を入れなければならないでしょう。
我が県は長く「人材輩出県」を誇ってきましたが、要するに地元に職がなく出稼ぎをだしてきたと言うことに他なりません。
しかし、医師の数を見ても結局は人材の流出を放置して県民の幸福増大を実現できていないのが現実です。今では工業製品や農産品の地産地消を主張する人は少なくありませんが、人材についても地産地消を主に考えなければならない時代だと言えるでしょう。
どんな制度的な変化にあっても、郷土の発展を目指す人間、郷土の人々の幸福増大に尽くす人間の育成。これこそが根本的に我が県を支える力だと信じています。
教育界全体で、医師に足る学力と意欲のある生徒の育成に努めなければなりません。