私が10歳の時から18年間飼っていた雑種犬のトラが、2005年5月15日、
虹の橋を渡りました。
今から20年前の春の日、近所の雑種犬が産んだ子を1匹もらってきたのでした。
ずっと犬が欲しかった私たち兄弟はとにかく嬉しくて嬉しくてしかたなかったのを覚えています。
白くてふわふわで、手のひらに乗るくらい小さくてとってもかわいいワンコに、家族会議の末「トラ」と名付けました。
当時は珍しくなかった外飼いでしたが、体重8キロの立派な犬に育ちました。
中学生くらいまでは私と妹と弟で交代で散歩に行っていましたが、高校生、大学生になると部活や遊びに興味が移り、散歩は時々になりました、
一緒に生まれた兄弟が亡くなってもトラは元気でした。
13歳を過ぎた頃から少しずつ老いてきた感がありましたがまだまだ元気なトラ。
そのうち、耳が聞こえなくなってきました。
15歳、近所のなえぼ公園への散歩が大好きでした。
だんだん匂いがわからなくなってきました。
目も少しずつ見えなくなってきました。
17歳、かなり衰えが目立ってきました。
冬は家族交代で犬小屋に湯たんぽを数時間おきに入れてあげました。夜中は私と妹が担当しました。
痴呆症が出てきました。
歯が抜けてきました。
それでも散歩は好きでした。
もうすぐ18歳になる春を迎えました。
痴呆が進み、足腰も弱りちゃんと立てなくなりました。
立てないし、歯もないのでご飯を自分で食べられなくなりました。柔らかくしたフードを箸で少しずつ口に入れて食べさせてあげました。
玄関の中にいれてあげました。
18歳になりました。
ご飯も水も受け付けなくなり、家族が見守る中、妹の腕の中で静かに息が止まりました。
本当に見ていて辛かったのは最後の何日かだけでした。18年、本当に長生きしてくれたと思います。
そして親バカですが世界一かわいい犬でした。
最後の別れとその後の寂しさが辛すぎて、もう二度と犬は飼うまいと思っていました。
それなのに数ヶ月たつとやっぱり犬が欲しい気持が出てきたのです。
でも犬を飼うことの大変さもわかるので、飼うという決心はなかなか着きませんでした。
飼う決心のつかないまま、
札幌市動物管理センターの里親探し会に毎月出掛けました。
大型犬にあこがれますが、短い期間ですが寝たきりの老犬の介護をした経験から最後まで責任持って飼うには抱き上げられる重さの犬でなければと思っていました。
でもたまたま私の参加した里親探し会にいたのはいつも大型犬の子ばかりでした。
そこで、里親探しで見つからないのであれば自分の好きなフレンチブルドッグを飼おうと決めて2006年2月頃からペットショップ巡りが始まりました。
毎週探してもなかなかこれといった子に巡り合えずにいたところ、2006年4月1日、あるペットショップで初めて見たフレンチブルドッグを抱かせてもらった瞬間、「この子にします」と言っていました。
そう、それがリトです。
たくさんのフレンチの子犬を見てきて、初めて連れて帰りたいと思った子でした。
こうしてちょうど1年前の今日、リトは我が家にやってきたのでした。

名前の由来は「リトル・トラ」から。
今ではトラより5キロ近くも大きく育ちましたが(^^)
最初はしょっちゅう、今でも時々間違って「トラ」って言っちゃうことがあります。
さて、ここからまた大変な日々が始まりました。

一番大変だったのは、夜中に1〜2時間おきにウンチをして泣くことでした。
ペットショップの人からも言われたし、どんな犬の本を読んでも「泣いている間は無視して泣き止んでから構うこと」と書いてあります。
泣くたびに構っていると泣けば構ってもらえると学習してしまうからとのことでしたが、実家なので夜中に泣かせておくと家族に迷惑が掛かるし、体中ウンチまみれになっているし食糞もするので、とりあえずウンチを回収してリトを洗って乾かしてベッドに入ったと思ったらまたウンチして泣くの繰り返し・・。毎日ほとんど眠れませんでした。
これが2ヶ月続き、私の体は限界を迎えました。
もともとニキビの出やすい体質ではあったものの、2ヶ月間の睡眠不足で皮膚科の先生にも「ひどいね」と言われるほどの肌になってしまいました。
そして軽い育犬ノイローゼになりかかっていたので、「自分の方が優位だと思ってしまうこともあるので一緒の布団で寝ない方がいい」という説もあることはしっていましたが、もういいやっっと思ってリトを私のベッドに入れ、抱っこして寝てみました。
すると、なんと朝まで1回も起きることなく眠っているではありませんか!!
結局リトが夜中に何回もウンチしていたのは分離不安というストレスからだったのです。
一緒に寝ることで不安が解消され、安心して朝まで眠れたようでした。
こうして私とリトは一緒に寝るようになったのです。

そうして今に至るのですが
リトを見ていて犬ってこんなに人が好きで甘えん坊で寂しがり屋なんだと思わされると同時に、トラになんて寂しい思いをさせていたんだろうと認識させられ辛くなります。
トラに犬を飼うことの大変さと別れの辛さ、でもそれ以上に一緒に暮らすことの素晴らしさを教えてもらったからこそリトとの出会いもありました。
ありがとうトラ。
そして今一緒にいてくれてありがとうリト。
何か?
出会って1年。12キロにまで育ちました。重いです。