昨秋、ジャパンファイナルを1ヵ月後に控えた時に、ブルースの左の太腿に出来た腫瘍の手術をした。
1週間前になってやっと引き運動が出来るようになったけど、筋力は大分落ちてたみたいだった。
本番では私のスローミスも有るけど、ブルースも流石にきつそうだった。
昔から自分の体をかばって無理はしないジャズも、2、3月頃から、遊ぶ⇒ハ行⇒休む⇒遊ぶ⇒ハ行⇒休むの繰り返しだった。
やはりね、歳には勝てないのかと…。
そこで短く柔らかいスローを目指したんだけど、それは迷いのスローでもあったわけで。
Wanはそんな人間の心を敏感に感じ取るものなのね。
ブルースは心配掛けまいと頑張るけど体が付いていかない。
ジャズはそれ以前からだけどスグに諦める。
それを見てまた迷う。
もうね、迷いが迷いを呼んで、どんどん悪い方向に向かっていくんですね。
んなもんだから『もういいや』なんて思ってみるんだけど、心の中では諦めきれない。
『楽しもう』と思ってみても楽しみきれない。
でね、全てを忘れる事にしたんです。
日課だったHP巡りも止め、大会の事とかも考えないようにね。
それは1年半前の引退宣言の時のようにね。
で、何もかも全て忘れるようにしてディスクで遊んでみたんですよ。
ラインも何も書いてない河川敷、短かろうが左右に曲がろうが、キャッチしようがしまいが、そんな事は全然関係無く。
するとね、Wanがキャッチしてくれれば無条件に楽しく、キャッチしてくれなくても尻尾を振って戻ってくる姿を見ると嬉しくなってきてね。
そうなるとWanもまたまた心を見抜いてくれてね。
『父ちゃんが楽しそうに遊んでくれてる』から頑張ってくれるようになる。
Wanが頑張ってくれるんだから、人間も頑張らにゃイカンと楽しさの中にも真剣なスローを心掛けるようになる。
今まではその場しのぎの人真似スローとかで、お茶を濁そうとしてたんだけど、結局身に付かない。
だって時間が無いんだもの…Wanに残された時間は僅かなんだもの…。
でもね「間に合わなくてもイイや」って思えるようになって、投げ方変えてみた。
成功しても失敗しても、この投げ方で決めてやろうと。
それにね、ブルースもジャズも応えてくれてね。
特にジャズは最後まで諦めないようになった。
ディスクって競技は人間とWanの共同作業なんだけど、実際は人間の手から放たれたディスクをキャッチするのはWanだけなんだよね。
人間とWanで共に闘ってるんだけど、実際はWanだけが闘っているのよ。
年老いたWanが懸命に走ってるのを見るとね、ついついタオルを投げ入れたくなる。
だけどWanがファイティングポーズを取っているのに、それをしたらWanにしてみたら「ナゼ?俺はまだ出来るんだぜ…」って落胆すると思う。
かと言って、気力だけで立っているのに、それをしなかったら取り返しのつかない事になる。
その見極めがね、これから大事になってくると思うの。
それを何で判断するのかと言えば、
目の輝きかな?
ヤツ等の目が輝いてるうちはタオルを投げ入れない。
そしてヤツ等の目を輝かせるのは、健康な体と人間の楽しむ心。
それのあるうちは「ネバーギブアップ」