今日は辺見康孝さんが出演されるコンサートを聴きに行ってきました。
レ トン クロワゼ
〜神本真理と仲間たち〜
神本真理:
boucle,sans jamais dormir...(廻る、それは眠ることなく…)[2008]cl,alt,vc
Cubic gradation[2008] pf, sax
空間(そら)に戯れて...[2007] pf
Comme un voyageur fantasque...(まるで気まぐれな旅人のように)[2004] guitar, electronics
Parfum de la nuit(夜の香り)[2008-2009] sop,vn,alt,vc,cl,pf
Diana Rotaru ディアナ・ロタル: Meandre(蛇行)[2008] sax
Sebastian Rivas セバスティアン・リヴァス: String trio(弦楽三重奏曲)[2007] vn,alt,vc
ヴァイオリン 辺見康孝さん
アルト 般若佳子さん
チェロ 松本卓以さん
サクソフォン 井上麻子さん
クラリネット 上田希さん
ギター 松尾俊介さん
エレクトロニクス 有馬純寿さん
ソプラノ 谷村由美子さん
ピアノ 神本真理さん
boucle,sans jamais dormir...(廻る、それは眠ることなく…)、という曲はファブリス・ピエール先生が指揮する現代音楽の演奏グループEnsemble les temps modernes アンサンブル レ タン モデルヌ が去年来日された際に初演されました。
Parfum de la nuit(夜の香り)は神本さんがお好きだというJules Breton(1827 - 1906、ブルターニュの景色や農民の姿を描いた写実主義の画家、詩人)ブルトンの「田園と海 les champs et la mer」の中の「アルトワ L'Artois」の第3節からインスピレーションを得て作曲されたそうです。
アルトワ、とはベルギーに隣接する北フランス地方の昔の呼び方。
このポエムはジョゼ=マリア ド エレディア(19世紀初頭の高踏派こうとうはparnasism, パルナシスムの詩人)に捧げられています。
ちなみに永井荷風の「ふらんす物語」冒頭、
パリからリヨンに向かう電車から眺める夕暮れの田園風景を眺めるシーンで引用されています。
Voici l'ombre qui tombe, et l'ardente fournaise
S'eteint tout doucement dans les flots de la nuit,
Au rideau sourd du bois attachant une braise
Comme un supreme adieu. Tout se voile et s'apaise,
Tout devient ideal, forme, couleur et bruit.
今の言葉で直訳すると・・・
今、影が落ち、 焼けつく炉が
ごくゆっくりと夜の潮に消え入る、
炭火に焦がれながら、森の沈黙の帳に、
まるで最期のお別れのように。 すべてが覆われ、鎮まり
万象は理想、形、色、そして物音となる。
「焼けつく炉」とは真っ赤に燃える夕日のこと。
夕日が沈んで静かな夜が訪れる様を描写しています。
ブルトンはミレーの「落ち穂拾い」などと同じく農夫の姿を描き出した第1人者の一人。
同じ写実主義でもミレーは厳しい現実を描いたのに対し、理想化された明るい農民の生活を多く手掛けています。
パリのオルセー美術館に「アルトワ地方の小麦の祝別祭」など、ブルトンの作品が展示されています。
↑クリックしてご覧ください☆

0