今年は喪中ハガキが11通ほど届き、年賀状の準備をしながら
年末になると何故か過ぎ去った日々の事を色々と思い出したりしています。
地元の公立中学校のY校長から依頼され、
1999年から校長が転任する2003年までの5年間
ボランティアでイラスト講師をしました。それは、技能を持った地域の人が
生徒に教える課外授業「いきいきワクワク講座」の一環で、
手品教室や茶道教室やアクアダイビング教室や囲碁教室やパソコン教室
など他にも色々あり、生徒がそれぞれ希望する講座を選択します。
私はイラスト講座の内容を毎回事前に立案し、サンプル作品を制作して
必要な道具などを担当の教師に連絡しました。
その担当の教師も生徒と共に私の講座を継続して受けられ、授業中に
校長や他の教師も何人か教室に見学に来られ撮影などされていました。
イラストレーションは目的に沿って描かれ、印刷などのマスメディアを通じて
社会の中で機能する絵です。使用目的のために注文されて成立する絵が
イラストレーションだと私は思っています。
イラスト講座の最初、イラストレーションの使用目的やテーマを提示し、
生徒の自由に描かせると、驚くことに、どの生徒も一様にアニメマンガのような
絵を画用紙に描いていました。
イラストの中にはマンガ的表現も当然含まれるが、イラスト イコール マンガで
はありません。イラストというのはアニメなどのキャラクターマンガと同じと
生徒に認識されていたのを知り私は愕然としました。
それで、イラストの広範囲で豊かな表現の一部を知ってもらいたいので、
講座内容は多様な表現方法を強調しました。
例えば、
彫刻刀を使わない木版画的絵、小石に描く絵、ガラスに描く絵、
キャンバスにボカシ表現する絵、似顔絵、
不用品に描くリサイクルアートなど講座内容を毎回変え、
画用紙に普通の水溶性の絵の具でしか描いた事の無い生徒が
興味の持てる楽しい表現方法をテーマにいたしました。
具体的には、版画道具を使用しないで木版画的表現のイラストを描く方法の
場合、イラストの原画は版画のように複数枚の絵は不要で、
印刷するための原稿原画が一枚だけ必要なのです。
それで、木版画独特の絵を実際に版画として彫ったりするのではなく、
一枚だけ紙に直接描く方法を教えました。
その内容をご参考までに簡単に説明いたしますと、
水溶性の白色ポスターカラーで絵の空白バック部分を粗くマスキング塗りして、
ヘア・ドライヤーで乾かした後に、その上から耐水性黒インクを全面に塗り、
水道水を流しながらポスターカラー部分を洗い流すと、
彫り残し痕の味わいある独特の木版画的表現のイラストが出来上がります。
水溶性絵の具と耐水性インクの特性を利用したテクニックですが、
意外なマジックのような表現方法だったようで、
生徒はもちろん担任教師も驚いていました。
講座の後で生徒全員から感想や感謝の手紙が届き、
私は生徒それぞれの顔を思い出して感激しました。
中学校のイラスト講師をさせていただいた事は貴重な体験でした。
彫刻刀を使わない木版画的絵を描く方法を
連絡いただければ詳しくお教えいたします。

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