腕時計のデザイン図を依頼され制作しました。バングル型のブレスレット
ウォッチで、金色のバングル部分にライン・ストーンが配置されて北斗七星
と南斗六星の星形を表す風水デザインの時計です。さらに、文字盤中央の
軸を避けて円形内におさまるように龍を赤い線画で描く注文内容でした。
ご存知のように北斗七星は北の空に柄杓(ひしゃく)形に並んでいる7つの
星形です。江戸時代には北斗七星の信仰があったようで、葛飾北斎の号
の北斎は北斗七星や北極星を神格化した日蓮宗系の北辰妙見菩薩信仰
に因むと云われています。北斗の「斗」は中国語で水をくむ柄杓のことです。
中国では柄の部分の3つの星が日周運動によって示す方向を「斗建」と呼
び、季節、時刻を示すものとして北極星と並んで重視 しているようです。比
較的に明るい星々から成り立っていて、日本からほぼ一年中見られるので
全天を通じて最も目立つ星の配列の1つです。星座ではないが、昔から北
斗七星として親しまれている。ちなみに、柄杓の先端の2つの星を結んだ線
を柄杓の開いた方向へ5倍伸ばしたところにある明るい星が北極星である。
さらに、「ウィキペディア」で調べた事を引用させていただくと、北斗七星を
構成する星々の名前は、ドゥーベ天枢・天魁(貪狼)、メラク天璇(巨門)、
フェクダ天璣(禄存)、メグレズ天権(文曲)、アリオト玉衝(廉貞)、ミザール
開陽(武曲)、ベネトナシュ揺光(破軍)別名アルカイドと書かれてあります。
中国名は史記・天官書など正史の天文志の名。中国では天帝の乗り物と見
立てる説や、北斗七星を司る北斗星君という神がいる他にも、北斗七星の
各々の星々に伝説がある。例えば、宋の仁宗皇帝には文の包拯(包青天)、
武の狄青の二人の名臣が居たが、この二人はそれぞれメグレズ(文曲星)、
ミザール(武曲星)が仁宗を助けるために天帝の命によって天下ったもの
であるという伝説が水滸伝に記されている。水滸伝の主人公宋江もドゥー
ベ(天魁星)の天下ったものとされ、そのことから「星主」とも呼ばれている。
日本でも北斗七星を逆さに描いた「破軍星」を背にして戦うと必ず勝利する
という中国の故事により、戊辰戦争において酒井玄蕃率いる庄内藩二番
大隊が掲げた軍旗「破軍星旗」がある。榎本武揚が蝦夷地へ渡るときに用
いた江戸幕府の船「開陽丸」の名前は開陽星に由来すると云われている。
南斗六星(なんとろくせい)については私は全くの無知でしたが、多くの伝承
で、南斗六星は北斗七星と対をなす存在としてとらえられているようです。
南斗六星は射手座の上半身と弓の一部からなる6つの明るい星で構成され
ていて、位置とその形から北斗七星に対してこの名前が付いた。二十八宿
(にじゅうはっしゅく)の斗宿の別名で、二十八宿とは天球における天の赤道
を28のエリア(星宿)に不均等分割したもの。二十八舎(にじゅうはっしゃ)
とも言い、その区分の基準となった28の星座で中国では星官・天官と言う。
中国の天文学・占星術で用いられ、江戸時代には二十八宿を含む多くの
出版物が出され、当時は天文、歴、風俗が一体になっていたことが、多くの
古文書から読み取れる。28の星宿は、4方位の7つずつのグループ に分
けられ、それぞれの方位に青龍・玄武・白虎・朱雀という各方位の獣神の
姿を当てはめている。やはり、この風水腕時計のデザインは風水や占星術
に由来するようで、文字盤の龍は北極星という意図になるのだろうと思う。
興味深い風水腕時計のデザインを描かせていただき、製品化が楽しみです。

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