どの絵だったのだろうか?見当がつけられなかった。拙作を取り扱っているフランスの画商が参加したニューヨークのアート品評会(cutlog NY contemporary art fair may8-11,2014)で拙作が2点売れたと連絡があったとき、その画商は昔の拙作イラストレーション原画をたくさん持って行っていたので私はどの絵が売れたのか全くわからなかった。
それで画商から売れた絵の写真を送ってもらったが、売れた絵の1点は偶然にも今すでに描いている絵の元になった昔のイラストレーション原画だったので驚いた。その絵はたいした作品ではなく小さな鉛筆画だが、初期のイラストレーションはアートのように自由な感覚で描いていたので、その売れたイラストレーション原画はアートとして展示されたのだろう。
その画商から新作を催促されていて自由に好きな絵を描いてくれと依頼されたが、注文された内容を描くイラストレーターとしての習性で具体的注文内容がないと描き難いので、手始めに昔のイラストレーションをエスキースとして構成し直し、とりあえず手近かにあった小さなキャンバスに絵の具で描いていたところだった。
イラストレーションなので題名は特に無かったが、画商が作品リスト作りの都合上適当な題名を付けて作品整理している。この原画の題名は「鳥と魚の悲しい物語」と題名を付けられ私も気にいっているが、リメイクの新作と区別するために新作の題名を少し変更して異なる世界の葛藤を意図した。
若い頃には進めなかった画家への道がその画商の後押しでひらけてきたのかもしれない。今までのようにデジタルでイラストレーションも描くが、これからの晩年には特にアナログでのアート絵画制作に専念したいと思った。
「空と水の悲しい物語」
キャンバスにアクリル金泥 テクスチュアジェル サイズSM(227mmX158mm) 2014年5月制作

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