こんなことになったいきさつは今年五月に襖いっぱいに龍の絵を描いたことからだった。黒一色で大きな絵を描く奇妙な爽快感にハマッちゃって、次々と壁掛け用の大きな巻物絵を三点も描くはめになった。巻物にしたのは絵の運搬や収納に便利なことと、絵が描けそうな巻壁紙が身近にあったからだった。
一作めの巻物絵「昇運龍」は黒一色でのペイントだったので、後にパソコンでカラーに描き直し「龍珠」と題をつけたが、大きな絵を描く方法として先にデジタルで構想を練りながら小さく描いた後にアナログで同じような絵を大きくペイントする方が、二度描きになるが失敗がないだろうと思った。
それで、二作めの巻物絵はデジタルで「竜魚」を描いた後にアナログで大きな巻物に「滝登り竜魚」としてペイントした。この方法はパソコンでの下絵ができているので次の巻物絵は迷うことなくスムーズにペイントすることができた。
こんど描いた三作めの巻物絵も実は先のデジタルで描いた「竜鳥」絵の方が下絵の役割になり、アナログで同じような絵を大きな巻物に一気にペイントした。やはり先にパソコンで下絵を描いておいた方が良いと確信した。
こうなったのも、縦長の階段壁面が空いていたので壁掛け絵を三作も描いたのだろう。と言うのも拙宅の階段壁にぶら下げた一作めの「昇運龍」は外国へ送ってしまい、二作目の「滝登り竜魚 」は夏イメージで秋冬シーズンには合わないと思い、季節限定ではない別の三作めの巻物絵を制作しようと思ったからだった。
ほとんどのイラスト原画サイズは小さいので手先だけのデスクワークだが、大きな絵を描く場合は緊張感と共に全身で画面と対決し、運動不足の私にはヨガかスポーツをしているような気分を体感した。
こうなったらマイペースで自由に描き続けようと思っている。未知の宇宙や深海などの世界は現実に存在するが未知の不可思議はありえる。さらに存在しない想像を視覚化することも絵画の存在意義だろうと思っている。
「竜鳥の壁掛け 」Tapestry of DragonBird 壁紙にペイント サイズ97cmX199cm 2014年9月制作

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