せちがらい世の中になってしまったものだ。酷暑で不快なのに更にムカつく話題で恐縮だが、高齢化社会になり一昔前には考えられないような暮らしにくい世の中になったという出来事が私の身近にも起きてしまった。
いつものようにテレビを見ながらの昼食時のこと、窓の外を行きつ戻りつ徐行しながら拙宅前に黒いセダンが停まった。そして直ぐにチャイムが鳴ったのでインターフォンのモニタを見るとN警察の者ですと言いながら男が立っている。不審に思いながらも玄関ドアを開けると、アメリカドラマで見るような縦開きバッジホルダーの新型警察手帳を提示した刑事がいた。
その用件というのは、拙宅近所の独居老人Hさんが大金を振り込みしたとの銀行からの連絡で振込め詐欺被害の事情聴取に来たが車を停める場所がなく拙宅の駐車場を拝借したいということだった。もちろん警察に協力して快諾したが、その話を聞きながら直ぐに先日妻が言っていたことと関係がありそうだと直感し玄関先へ妻を呼んだ。
その妻が言っていたこととは、拙宅脇の私道に普段見かけない都内ナンバーの不審な高級セダンが停まりスーツを着こんでいるが如何にも怪し気な顔付きの男二人がHさんの家を訪ねて長時間いたそうだ。妻は気になったようで、その時のセダンのナンバーをメモっていた。それを参考のため刑事さんに知らせた方が良いだろうと思ったからだった。
いつの間にか拙宅脇の私道には更に軽自動車も停まっていて、その軽自動車の人がHさんの家の前を右往左往していた。そしてHさんは今不在のようだと刑事に知らせていたが、そうこうしているうちに当のHさんが自転車で帰ってきて、何の騒ぎかと驚きながらも刑事さんたちと共にHさんの家へ入っていった。
その拙宅駐車場に停められた警察車両をよく見るとリアウインドウは黒いフィルム貼りで中が見えずトランク脇に短く太いアンテナを立てた覆面パトカーのようで中に他にも誰かいるのかエアコンを作動させたまま駐車し続けていた。疑り深い妻は本当に警察か信用できないかもと言いながらその黒いセダンのナンバーもメモっていたので唖然とした。
一時間ほどHさんは事情聴取か説得されたのか、刑事さんが再び拙宅の玄関先に来てお礼がてら簡単に説明された。それによると、やはりHさんは振り込め詐欺に遭われたようで投資契約に100万円を振り込みしてしまったそうだ。軽自動車の人は市役所職員で、これから消費生活センターへHさんを連れて行きクーリングオフの手続きをするという。
後日、犬の散歩帰りにHさんと会った。ご挨拶すると79歳のHさんは10年後に儲かるかどうかわからないし、それまで生きているかもわからないので消費生活センターの職員にクーリングオフしてもらったよと自嘲ぎみに語っていた。数日後Hさんの弟さんが訪ねてこられたようだが、同居家族のいない独居老人を騙すような抜け目のない詐欺商法には本当にムカつく。いかがわしい電話勧誘に警戒して、ご近所の異常を察知したら家族に相談したり、直ぐ警察などに通報する方が良いのだろう。
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