あれ!ありえないだろう・・・
あれから50年ほど経っているのだから
その想いを即座に打ち消し
車を運転しながら今まで何度か
そう思っていた。
日常の買い物などで
近所へ車を運転していて
前を走る車のリアバンパーや
ハッチドアなどに貼られている
ステッカーを見かけ、
私が若い頃に描いたイラストに
偶然似ていると思っていたが
通りすがりにチラッと見て
特に気にしていないことだった。
それが最近たまたま停めた
近所のスーパーマーケット駐車場で
件のステッカーを貼った車が
駐車していたので
絵柄を仔細に観察すると
やはり私が昔に描いた
イラストだと確信し
大変に驚いてしまった。
覚えているのは1970年ころ
東京都世田谷区に住んでいた時に
デザイン事務所の依頼で
セイバンのビニール製学童用筆箱に
印刷するスーパーカーなどの
イラストを描いていたことがあるが
その同じ事務所から頼まれて
車に貼る仁王のイラストの
ステッカーデザインを
描いた記憶がある。
東大寺南大門の運慶一門が造った
仁王像写真を参考にして
その阿形と吽形の合体した
別の仁王像イメージを作り
前面に手のひらをつきだした
簡略化したイラストに
寺形の背景デザインだったが
実際に印刷使用される際には
当然スポンサーの寺院名や
交通安全などの標語文字も
デザインの上に重ねられる。
その当時はイラスト作品を
写真撮影などして保存する習慣はなく
現在のようにカメラは身近でもなく
イラスト仕事は全て描きっぱなしで
そのイラストデザインを
今に見ることはできない。
しかたがないので
その当時に描いたデザインを
思い出しながら再現するように
パソコン仕事の合間に描いてみたが
そのようなシンプルな図柄は
昔はポスターカラーと筆で
描いていたことを思い出した。
絵画と異なり
イラストは使い捨てられ
使用期間も短く月刊誌の一ヶ月や
カレンダー絵の一年くらいで
部分的に改変されながらも
同じイラスト作品が長期間に
使用され続けることはなく
50年近くもイラスト作品が
使われていたなんて
有り得ないので大変に嬉しく
ささやかな拙作ながら
使い捨て仕事でもなかった。
それにしても
若い頃に東京で描いたイラストを
古希過ぎて在住の千葉で身近なお寺の
名前で見ることになるとは
タイムトラベルのような
不思議な時を超えた感動であった。
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