2011/1/15

愛すべきクセ玉(レンズのお話し)  デジタルカメラ
現代のレンズはほとんどすべてと言っていいくらい、コンピュータで設計を行っています。
そのため、何十年も前のレンズのように、逆光でとんでもないようなフレアがでたり、絞り値の違いによって大きく描写が変わったりすることが少なくなりました。
また、工業製品としての品質管理も素晴らしいため、製品ごとのばらつきも非常に少なくなっています。
だから、レンズを変えてもあまり写真に違いが出にくくなっています。

でも、すべてのレンズが同じような描写になるわけではありません。
最新のレンズでも、ずいぶんと特徴的というか、クセというかを持つレンズも結構あるものなのです。
レンズを変えることは、このクセをどう生かすかを考えながら撮ることだと思うのです。
自分の好きな写真、好きな色、好きなトーンに仕上げるために、どんなレンズを使うか、これがレンズ交換式カメラの楽しさではないでしょうか。

昨日、某カメラメーカーのレンズ設計者の方々とお酒を飲んできました。
そこで、なぜコンピュータで設計されたレンズでも特徴やクセがあるのかという話になったのですが、
どうやらコンピュータという最新技術を用いて、どんなボケのレンズにするのか、どんな味のある描写にするのかというのを一生懸命に考えながら作っているようです。

現代のレンズですから、光学性能は十分なものにしなくてはなりません。でも、それをクリアした上で、さらにボケやコントラストなどの味と呼ばれる部分に関しては、開発者のこだわりで突き詰めていっているようです。
だから、開発者のこだわり、もっといえば、レンズに対する理想の方向性によって、できあがるレンズが違ってくるわけなんですね。

「レンズの良し悪しはMTFで決まるものではなく、写した人が好ましいと感じるものが良いレンズなのだ」とも言っていました。
ただ、その一方で、「カメラ誌や一般ユーザーなどがチャート撮影をして、解像力や周辺光量などのチェックをし、それでレンズの良し悪しを判断する傾向にあるもの事実。その評価方法が、レンズの良し悪しの一つの基準のようになってしまっているため、企業としてはそれをまったく無視してレンズを作るわけにもいかない。」というようなことも言ってました。

私は「MTFなんかどうでもいいから、思い切りクセがあって、そのクセが楽しくてたまらないレンズを作って欲しい」とリクエストしたのですが、それもなかなか難しいようです。(開発者はノリノリで作りたがっていましたが)

写真はコピー機ではありません。
自分が撮った写真がこんな風に写ったという驚きと喜びが感じられるレンズがいいのではないでしょうか。
もちろん、お仕事用に精密なコピー機のように写るレンズもあっていいと思います。
でも、それだけじゃ写真がつまらないと思うのです。
カメラもレンズも、「愛すべきクセ玉、クセカメラ」に出会いたいのです。
だから、私は、レンズもカメラも自分の好きずきで判断して、使っていこうと思っています。
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私の中の愛すべきクセ玉の代表選手、Summarit 5cm f1.5。
私が生まれるずっと以前から、いろいろな風景を見て、そして誰かの思い出の一枚を記録し続けてきたレンズです。

まともには写るとは言い難い性能ですが、
これで撮った写真を見かえすと、なんだが遠い日の思い出があたまの中でぼんやりとよみがえってくるような気分になります。
マウントアダプターを使いLUMIX G1に取り付けて撮ったものです。
全部がこの手の写真だと困っちゃいますが、こういうのが混ざっているのも楽しいものです。
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