2005/7/30

残骸、陳列する衰退の午前  


唇に滲ませた血はもはや熟れ過ぎた果実酒のそれに似て
鮮明に鋭角する自己保存の独房の致命的なしきたり
眠気は眠ることそれ以上に意地の持続を軟化させて
俺は温いまま横たわる束の間の死体の振りで汚れた口腔の塊を吐き出す
心の奥にこちらを向いて倒れたままの出さずに済んだ手紙の文面
後悔はごめんだと執拗で乱暴な殴り書きがしてあった
呪文なんか無いだろ、敬虔な信仰なんかお門違いだ
振付通りに外に出られたらこんなに幸せなこたないや
俺の回収をしてくれ魂の塵拾い、直接神様に差し出せばもしか慈悲もあるかも
長い長い歌の後に十字架になんか掛けられたくはない
祈り?って首を傾けたらそれだけで狂信者の刃物に背中からやられそうだ
俺は形式なんか信仰しちゃいない、本物の神様に名前なんかつけられる訳がないだろう
聖書を破け鳥居を押し倒せメッカを破壊しろ、お前の覚悟と認識が本物ならきっと罰せられない
墓参りの度に誰かに引け目を感じるのは金輪際止めにしろ
多少粘ついた血液でも心臓が回してくれるうちは
自分以外の誰かを信じちゃいけないってのが本当のところじゃないのかね
前時代的な建築の回廊で長い長い詩を読んで革命なんて片腹痛いよ
真横で繫いだ手を離せよ、覚悟なんて一人になってから初めて語るもんだ
俺は野晒しの名前の無い死体で構わない、やりきれない真夜中がどんなに内臓を噛み破っても
一度選んでしまったものを捨てるなんて出来ないものなのさ
堪える為に唇を噛みちぎる癖がついたもう長い晩年、歳と同じ位汚れた便器には吐き出した血の轍
ご満足なんてそれなりの出来事の後ででも、訪れるのかどうかなんていささか疑問だぜ
噛みちぎれ横たわる力無き生き物、お前の意地はいつか誰かを貫くかもしれない
旗の下に集うのは臆病者ばかりだということを肝に銘じておかなければ
俺はこのまま腐敗してフロアーのシミになっちまう
俺の信仰は俺のしきたりは俺の覚悟は俺を身動きの取れない場所に追い込むけれど
今夜以上の夜はきっと何度も胸を痛めてきた、今度からは大丈夫
生命の蓄積がちょっとした自慢になる世代なんだ、何も無駄にはしてこなかった
血まみれで笑う亡霊、鏡を覗く必要は無かったけれど
その声はまだもう少し楽しさが足りない気がした
こちらを向いて倒れたままの出さずに済んだ手紙の文面
明日はひとつ遂行してみてやろうじゃないか今生の亡霊
笑顔は、もう少し、これからは
唇のはじをきつく歪めるこったな

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2005/7/26

古い苔むした忌々しい橋を渡るとき麻痺した頭で僕が考えることは  


古い苔むした忌々しい橋を渡る
スニーカーなんかで来たことを僕は後悔する
古い苔むした忌々しい橋を渡る
僕はくたびれていて上手く渡る自信があまり無い
その橋は切り立ったふたつの断崖を繋ぐためのもので
どうしてこんな大事な場所にそんな橋しかないのだろうと僕は不満に思う
橋は風に揺れてぎぃぎぃと不細工な鳥のように鳴いている
はるか下の谷底では荒々しい馬のような濁流が海を目指している
古い苔むした忌々しい橋は
自分がそんなみすぼらしいなりであることを少しも気にしていないようだ
私がどんななりであろうとあなたがあちらに行きたいのなら私を踏みしめていくしかないのだからと
風に揺らぎながら僕に笑いかけている
僕は何度も決心する、古い苔むした橋は
なんだか僕を裏切って谷底まで送り届けようと目論んでいるみたいで
古い苔むした橋は枕木のような足場を見せつける、大丈夫だよ
心配要らない、私は向こうに渡るために造られたものだから
僕にはそれが牧師の話すことみたいに聞こえてどうにも信用が置けない
鳥が鳴きながら木々の間を飛び交う
もっと強そうなものが見当たらないところで鳴いている
このままここに居てもらちがあかないと思って
今度こそ僕はきちんと決心をして古い苔むした忌々しい橋に向けて足を踏み出す
古い苔むした忌々しい橋は僕の最初の一歩を受け止めてワーオ、と声を上げる
その軽薄な調子については僕は何も気に留めないことにした
古い苔むした忌々しい橋を渡るとき麻痺した頭で僕が考えること
どうかこの橋が僕を裏切ったりすることがありませんように、それから
どうかいつか帰ってこようと思ったときにもこの橋が僕を受け止めてくれますようにと、そして
橋がどんなものであれ渡るというのはなにがしか気持のいい行為であるということ
本当ならば在りえない中空に僕は存在しているのだということ、この次もしもこの場所でこの橋に誘われたときには
それがたとえ忌々しい裏切りを含んでいたとしても僕は迷い無くこの橋に足をかけるだろうというようなことで
古い忌々しい橋を渡るときに麻痺した頭で僕が考えることは
つまりは渡ることを躊躇っていたときには思いもよらなかったような事柄だったのだ
橋は僕の足を受け止めて不細工な鳥のようにギイギイと鳴いていた
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2005/7/21

絡みつく思考の蔓を解く釈然としない遅い午前のサンプル  散文



お前の胸にしがみついた小さな悔恨のことについて考える覚悟はあるか?俺は悔いてばかりいるうち踏み出せない身体になってしまった。それでもときおり気が違ったように明日が見たくなって真夜中の街に駆け出したりするけれど、手に入るものは決まってうんざりするような倦怠感といつの間にそんなに過ぎたのか判らない時間だけだったよ。すべての解釈は温度差を持ちながら通り過ぎていくねぇ?集めた昔から使えそうなものと使えなさそうなものを選り分けているうち次の目覚ましが鳴ったら何をするつもりだったのかすっかり忘れてしまっていたよ。言葉が含んでるものなんか決して信じてはならない。言葉は君に決して良い結果をもたらしたりなんかしない。何とか自分が意図するところを目の前の誰かに伝えようとして先走る情熱が空回りばかりすることを恥ずかしいと感じたことは無いか?そこに理解があろうと無かろうと、判ってもらおうと努力してしまう自分を惨めだと感じたことはないか?そもそも言葉それ自体にそこまでの責任をかぶせること自体間違っているんだ。言葉がそれほど確かなものであるのなら俺たちが他人同士であること自体大して意味は無いことになってしまう。窓の外で蝉ががなり続けるのを耳にするうち、自分もあんな風に懸命に鳴くことが出来たらなどとたわけたことを考えてしまう自分がいる。確かにそれは一見美しいことの様さ、だけど俺たちの命は一週間で終わるような代物じゃない、一週間なんて時間は眠りの長過ぎる俺たちには明らかに短過ぎる。夢を見ている間に何かを知っているんだと思ったことはないか?夢を見ている間に何かがすり変わっているんだと考えたことはないか?俺たちは五感を信用し過ぎている。なまじ見えるから、なまじ嗅げるから、なまじ聞こえるから、そこに入ってくるものがすべてだと考えてしまう。だけど考えてごらん、本当に真実がそんなものだとすれば俺たちはこんなにお荷物を抱えて生きることはないじゃないか。分厚い筋肉で一週間鳴き続けてぽとりと終わればいい。それが出来ないのはなぜか。それだけの理由を俺たちは抱えているからだと考えるべきじゃないのか?一度記憶されたものが時間軸を飛び越えていると感じてしまうのはどうしてだ?昔の傷がほんの数分前のことのように猛り狂う紅い血をどくどくと流すのはどうしてだ?すべては知覚を押し広げるためのストックだ、積み上げられたもののすべてに唾をつけて理解することから始めなければならない、良識者とやら、お前さんがたは簡単なものに寄りかかりすぎだぜ!そいつはリアリズムなんて上等なものじゃない、お前さんたちのモラルはただの日和見さ!本当のリアリズムはロマンチシズムの中にしかないってことが何十億の遺伝子を抱えてもまだ判らないのかい?生命として追い求めるものはスローガンじゃない、俺たちは俺たちの新しい本能を提示するためにここに産まれてきたはずじゃないか!正しいと主張するならこの俺の確信を覆してみろ、その歪んだ瞳を、荒れた肌を、破れた歯茎を、こけた頬を。それでも真実だって主張するつもりならお前たちの生き様で俺に落雷を食らわせておくれ、そのすべてを知ることが出来たらお前たちの言うことを何でも聞いてやろうじゃないか。ともあれ、ロマンというのは簡単なことではないよ。俺にだって目がある、耳がある、鼻がある。無防備に空いた間抜けな穴からは絶えず情報が流れ込んでくる。識別するにはいつでも太陽のようなピュアネスが必要になってくる。だけどもちろん俺にはそれだけのキャパシティは無いのさ。ロマンチシズムなんてただの憧れだって感じる時だってある。辞められないことは強さではなくてただの弱さだと感じることもあるよ、だけどこれ以外に俺を納得させてくれそうなものは当面見当たらないんでね。蓄積を無駄にしたくはない、俺はもう少しここで遊んでいることにするよ。

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