2006/3/28

遠く離れた明かりの手がかり  






空欄に書き込む言葉をずっと捜しあぐねて暗幕の向こうに潜った
歪んだまま結束した均一、それをほどいて並べなおすには
気が触れるほどの無駄な時間が必要になる
下手な音楽がきちんとキープされたリズムより心に響くことだってあるさ、その線引きを何処で決めればいい?
吐き出され、連なるものはいつの間にか前例ばかりを気にして
不実なパズルのように崩壊していく
薄暗い一角の中で手に触れるものが、鋭利なものだとしたら…俺は探すことを止めるだろうか?
傷みなど留まっている場所からも絶えず溢れ出して来るものだ
何も見えない暗幕の向こうで真理臭いものから余計なものまで見つめた―それは一種の制約の外だった―問われるでもなく、見せられるでもなく…なんと言うかな
それは風の匂いのようにそこにあったんだ
カビのような、鼻を突く空気、どれだけ長くここは閉ざされていたんだろう?窓を探せ、窓を探すんだ
閉ざされたままの場所などあっていいはずが無い
見えるか、見えないか…その選択に比べたら
どこかをすりむくかもしれないなんて予感はこの際どうでもいいじゃないか
全てを見たくなるのは本能さ、だけど
明かりの無い場所で何を見つめることが出来るって言うんだ?
窓を探さなくちゃ―明かりを隠してる窓を、思えば俺はいつからそれを探し続けているんだろう
疲労や苛立ちを感じないのは…きっと何もまだ片付いていないせいなのだろう
風が欲しい、本物の風が
俺はいつでもそれを探しているんだ
執拗に繰り返されるカウント、それは何処にも居ない誰かの声で聞こえてくるんだ―それが何を数えているのか
俺には、それすらまだ判らない
散らばったものは幾つだ―!?出すべきでなかったものは幾つだ―!?自問を続けるが、そのほとんどは俺が決めるべきものではなかった
そんなことに気付くことすら今まで出来なかったのさ
言葉があれこれと飛び回るばかりで、何も先に進みはしない―なぁ、まずはスイッチか何かを探せばいいのかな
それとも、手探りか…要は暗闇の中じゃ、出来ることは非常に限られてるって事ぐらいさ
マッチか、ライター…ポケットに


あったかな?






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2006/3/18

Sunshine Note  






連続するまどろみのヴェールの向こうに、そのあと予想されることは全て追いやった
アストラッド・ジルベルトのボサ・ノヴァ、ウィスパーボイスに必要以上に掻き立てられるのは
きっとボリュームを絞りすぎているせいさ
珈琲を飲もうよ、豆を挽いて
葬送曲のようなリズムのサイフォンで落として欲しい…春の雨は誰かのことを思い出す
並木道にはぽつぽつと色がつき始めて…チェリーがもうじき五月蝿く儚さを主張するだろう
君、準備が全て終わったら窓辺のソファーにおいでよ、もうすぐそこに陽があたるから
絵画のような情景で人生に少し嘘をつこう―咎められることなんて何もない、それは僕らだけの表現なのだから
そうだな、そんなに固執するような題材ではないけれど、例えば、ブルースは嘘かい、ゴスペルはどうだい
現状なんて結局のところバスの停留所とそんなに変わりは無いものさ―目的の表示さえ見逃さなければ
時間はかかってもたいがいのことは上手くいくものだ
午前に日の当たる部屋では哲学はあまり頓挫することは無いね
いい香りがしてきたようだ、僕らは嗅覚から目を覚ます
カレッジに向かう奴らが自転車のベルを鳴らす、野太い声、黄色い声―それらはまるでちょっとした希望のパレードのようだ
映画みたいな気分なら罪なんか無いさ
向かいの雑貨屋の馬鹿でかい時計の針が十時を回ったら、少しましなシャツに着替えて表通りに出よう―予約していた小説がそろそろ届くころなんだ
なに、ちょっとしたミステリー…本当はサムスン・シリーズの新刊が出ないかな、なんて
ずいぶん待っているんだけれど
ねえ、このカップどうしたの―ずいぶん素敵な形じゃないか―ふうん、フリーマーケットもあながち捨てたものではないねぇ
豆が古くなってきたね、ついでに新しい豆も買おうよ
この前久々に入ったあれを試してみようか

そうして僕らは珈琲を啜った、君はおしとやかに、僕は無作法に


まるでいつまでも続く穏やかな朝のように





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2006/3/17

不調法な配列の渦中、明滅するモノローグの集合  






風に濡れて削がれた観念のひとかけら、時間の後に劣化した岩石の様な点在を生きてきた
微細な誤差すら無い心臓の直前の硬質のプレッシャー、ゆっくりと裂ける氷山の様に助骨は啼いていた
鼓膜には機能が無い、研磨剤のプールで永く泳いだ後の様に遮蔽してしまっているんだ―この周辺の空気は振動しない、配線を断ち切られた警報のオブジェ
新世紀の少し手前、マンチェスターで重宝されたビートみたいに心魂がコラージュされる、むやみな浮遊感が乱雑に体幹部を乱獲している
お前の舌先は背徳的な動脈からのそれで静かに滴っている…生体組織から零れるそれの韻律はアルカリ性の単三電池に尻を叩かれて動く小さな時間装置のそれよりもずっと旋律的だ
フィルムで撹乱された灰色の真夜中、見当もつかないおぼろげな影を探しながら
陰惨な痙攣が四肢に浸透するまで強欲な床の上にずっと立っていたんだ、時など刻まれはしなかった―断層に落ち込んだ愚かな生命には気付きに要するいかなる仕掛けも進呈されはしない
梵天の残像を模倣している様な昨日の紺碧、雲の行末は俺の穿孔済みの様々な落度に侵略して焼く様な真相を垂れ流した、金属が軋む様な痺れがまだ肉を弛緩させる
崩壊する蓄積にはもはや独解の余地は無く、翻弄された神経が暴走して表皮を脅かす、焦れた様に沸点手前で泡を吹く血流
ストロボ・フラッシュの様に視界が眩み始めている、もう何も認識出来ないかもしれないと
それが寸前の様に知る瞬間があるんだ―液体窒素の悪戯の後、軽率な刺激に呼応する亀裂―それが水晶体で気を吐くんだ
水溜りの飛沫みたいに寸断的に混濁していく階層…カット・アップされる遠い夢の様なリアルタイム―それは屍骸と呼んで差し支えないものだ
気狂いじみたテンションの高音域の揺らぎだ、がらんどうの首があらゆる流れに触れようとして―なにもかも、鉤爪の不始末の様に傷痕を刻まれてしまう―零れ落ちたものがそこで停滞して、徹底的な哀しみの記憶となって腐食してゆくんだ
動転だろう、動転だろう!?脱落した意識からえぐり出せるどす黒い色の果実は
25階の、あらゆる逡巡がさよならの様に手を振っていたあの非常階段は零下の感情によって凍結していたんだ、俺には何も証明することは出来なかった
喉笛は負によって塞がれる、窒息ほどでは無いが喘息の様によどむ…木材の様に気管が欠損していく、求めれば求めるほどそれは悪い増減を繰り返して
…どうして肉体はこんなに音を有するのだろう、分類出来なければ俺はきっと七色の灰の中で不明だけど懸命だった日々の痕跡を戯言の砂場で無くしてしまうよ
ハンマーの一撃、ハンマーの一撃が脳髄をぶん回す、根本的な喀血、根本的な喀血のランブルなアートワーク、ああ―濡れていたのか?泥沼の様に濡れて―足元までもこんなに―
反転された様に不明瞭、座標を教えてくれ、俺を確認して…
割れた頭骨にひとつ羅列してくれ―乱雑なもので
無作法なものでもぜんぜん厭わないよ







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