2006/6/9

いつか月のように忘れる  







孵らない言葉を抱えて、静かの騒ぐ砂浜を歩く

夏の初めだというのに凍えて、唇がうまく動かないので

告白のつもりでメロディーをハミングした


眠りの浅い子に薄い毛布をかぶせるように

君の拒絶を覆うことが出来たらいいのに

夢見心地はほんとうは厳しいのだと、数億のときを超えて

暗色のグラデイションを

無数に織り成す空の中で星たちが呟いた



理想、と口にしてしまうのはそれだけの距離を感じてしまっているから



拾った子猫の処理に困るみたいに

君は僕とのことを考えている

どこか悪いことだと感じているらしく

足元の波に敏感に反応する



僕らは満ち引きのリズムを間違えた海のようだ



出足を躊躇い、爪先を弄び

いつか




月のように忘れてしまう




そしてさよならと君は言った

まるでもっと違うことを話そうとしてるみたいに

弦楽のように、波がユニゾンして

偶然の成り立ちに僕は拍手した




いつか

月のように忘れてしまう





悲しまなくていい、僕らは

冗談のように意思を持ってしまった微生物なんだ

いつか

月のように忘れて





引力に返す



今夜のことも

そのほかの






すべてのことも。







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