2006/8/12

ハウリン・ウルフ  







土に汚れた、本物の爪を鳴らして
この夜の向こうまで駆けてゆけ俺のオオカミ
誰かがライフルでお前の横腹に狙いをつけている
誰かが草むらに細工をしてお前を捕らえようとしている、すべての優しさに
すべての優しさに唾を吐いて駆けてゆけこの俺のオオカミ
真夜中過ぎは野性がむずがる時間
遠い記憶の塊が鼓動の源泉でレゾンデートルを突き上げる
牙を無くしてしまったからと、何物にも喰らいつかずに終わるのか
白か黒かしか、お前の真実は無いのかと?
目を閉じろ、いつか遠い昔に
本物の爪で何処かも知れない荒野を駆けたときの
昂ぶりがすっかり消えたわけではないだろう?
お前はまだ覚えているはずだ、生温かい身体を持つ以上、俺たちは変わらずいきものなのだから
まだ脈を打つ生肉に喰らいついたとき、生命のすべてを知ったじゃないか、血や、肉や、臓腑の
冷やりとしたしかし力強い、誰のものともつかない教えがそこにはあったはずさ
何もかも違う風に生きようなんてそいつはきっと許しちゃくれないはずだ、だって俺たちは今でも食べているのだから
記憶の中で
何もかもを焼き尽くすほどの夕日が荘厳な夢を唄う、ああ、腰を抜かさんばかりの神がそこには居たのさ
土に汚れた、本物の爪を鳴らして
この夜の向こうまで駆けてゆけ俺のオオカミ
お前は誰にも撃ち殺されることなど無い
お前は誰にも捕らえられたりなんてしないはずさ
だって俺たちの野性は剥き出しなんだもの
狙いをつけるのは卑怯者のすること
罠を仕掛けるのは臆病者のすること
お前はただ爪を鳴らして、ニュー・ワールドの煌めきをその眼に焼き付ければいい
駆けることが出来る、駆けることが出来るその世界の速度を思うと、俺は溢れてくる涙をこらえることが出来ない
なんという風、なんという風景、すべては一体のオオカミの描くいろとりどりの線画となりて
いきものとしての一番誇らしい何かを左胸に埋め込んでくれる、鼓動を聞け、俺のオオカミ
それは連鎖だ
それは真髄だ
それは悟りだ
それは昂ぶりだ
それは残酷で、そして見事なまでに美しい
両極端が巨大な天秤の上で見事な調和を生み出して
秤をぶら下げる腕は地平線のように真っ直ぐだ
俺は信じている、お前が再び太陽に出会うことを
俺は信じている、お前を殺せるやつなんてどこにもいない
俺は信じている、お前の牙は誰よりも強く
釈迦よりも様々なことを知っている
駆けてゆけ、駆けて行っておくれ
永遠の足音を俺に聞かせておくれ
太陽は死ぬことは無い、だっていきものは生まれ続けている
駆けてゆけ、駆けて行っておくれ
そして吼えておくれ
その声はきっと



俺の痺れた脳髄を新たに揺り動かすから











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