2007/7/23

それだって明日にはお前を裏切ってしまうのかもしれない  











属性は陰湿に脅迫を繰り返す形で喪失までの放熱を辛辣に散布して蒸発、硝子の粉の様な水蒸気達が空へも行けず夜行する、おお、お前等は重過ぎるんだ、透明度の高い肌の内側にまだ生きているころの血糊を隠し持ってしまっているんだろう…視線なんか合わせようとしない、すべてを見通してしまうにはまだ早過ぎるから、痩せた神経質な笑顔のままで逝きたくはないから―手の甲で弾いたら腐肉の様に弾けた、余りにも脆い人の世の一幕だ…ぽおん、と、微細な血液が朝露の様に散り…見事なまでに紅いのにそれは穢れている、それは世界とは不釣合いなほどに白い壁に吸い付き粗末な刺青の様な跡を残す、そんなものきっと一日経ったら消えてしまうのさ、それが血だったことなんて、多分…偽善的な三面記事よりも意味のないものだ、そこに在ったものが果して何であったのかなんていったい何処の誰に思い出すことが出来るだろう?白けた口調咬ましてんじゃねえよ、在ったのか、無かったのか…在ったものが無くなったのか、無くしたものが在ったのか?在ったと思っていたものは本当は無いものだったとか…?存在の上皮で何時まで遊んでいるつもりだい、お前等―あの国の拷問の様に人の皮綺麗に剥いで己に被せたら皮の名前が手に入るとでも?憧れの為の履歴書は夢物語ばかりだぜ、どんなに言葉を並べてもそりゃ手に届くものは無いってことさ―ほらまた、在るだの無いだのと…呆れっちまうぜ!!手にしたものが真実か、見過ごしたものは陽炎か?お前のその掌はいったいどれだけ確かにこの世に存在しているというんだね?俺は吾身を見つめる、舐める様に、確かめる様に…どれだけ見つめてもそこに確かなものは見当たらない…それはいまたまたまこうして俺に被さっている手の込んだ気ぐるみだ、それ以上のことなど信じても仕方が無い…指先が綴る言葉だけがすべてではないし、また、空気を震わせる音律こそが真実だというわけでもない、そもそもそんなものを定義してみせたところでいったい何になる―実存主義なんてこの世でもっとも馬鹿馬鹿しいお遊びに過ぎないさ、違うかい?何も無い路、誰も来ない路、そんなものに―交通法規を設ける事は滑稽な事だと思わないか、好きな様に走れ、好きな様に動け…よっぽど派手に転ばなきゃくたばることなんか無いさ、何処を殴っても構わない、そんなもののことを本当は孤独と呼ぶんだ、おっと、勘違いしないでくれ、これは「定義」じゃない、これは「感覚」と呼ぶんだ、こういうものは…お前の「触覚」にはそのことは伝わらないのかい…?FM電波の様にクリアーなのに!夜行!!おお、夜行!!報われない者達が夜を逝く、蛞蝓の様に這いながら、夜を…夜を……俺はそれを哀しいと思わずには居られないのだ、姿形ではない、もうそれ以上は何処にも行くことが出来ないという魂とでも言うべき何か!あいつ等は結びを拵えた強固な鎖の中へ自らその身を差し入れたのさ…それが自由だって信じていたんだ、それが自由だって信じていたんだ、それが自由だって奴等は信じていたのさ―そいつ等をぼんやりと眺める俺は微かに中空へと浮遊している―眠ってしまったのか?閉ざされた井戸の底へと一瞬で落ちるようにか?そんな80年代的センチメンタリズムは擦り傷だらけの病んだ魂に果して有効打を残す事が出来るのか…センチメンタルってことは嘘の様に綺麗ってことだぜ、ああ、判るかい、判るかい、お前…俺がどうしてこんな世界を抱え込んで生きているのかってことについて…俺の抱えているものの姿をお前なら上手く見ることが出来るかい、お前の豊かさも貧しさも俺の方がより知っているみたいに鮮やかに…?程度の様に汗がまとわりつく夜行の日、おお、魂なんて語るのは時代錯誤さ、




それだって、明日にはお前を裏切ってしまうのかもしれないよ













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2007/7/15

かくして鳩は世界を循環する  











左手首にうっすらと残る執拗なカッターの傷を眺めながら風に流される霧のように私は夢想に落ちていた、その日世界とわたしとの間に見えないけれど確かな境界線を引いたのは一羽の鳩だったが、その羽根はなにか古生代の生物のように長く伸びて、先端は剣のように細く鋭かった―指先で触れると一瞬にしてもぎ取られてしまうような、そんな感じがして―ともかく、その一匹の鳩がその日境界線を引いた、見えないけれども確かにそこにある、世界とわたしとのあいだに存在する確固たる壁…わたしは質感を持たない部屋の中に閉じ込められてぼんやりとする、いつもそこにいるのに、そんな風に観念的に存在されてしまうと、本当にわたしという存在はいつもこの壁の内側で何をするために生きているのだろうという気分になる―別にそんな気分が私だけの専売特許だなんて主張するつもりは毛頭無いけれども…そこは往々にしてわたしの部屋のかたちを取る、何もないわたしの部屋の間取りをそっくりと真似てみせる―本当に何もない、それは、世界の中にかろうじてとどまっているわたしの部屋とて大して変わりはない―読みかけの本とか、書きかけの詩とか、そんなものがこの内側の部屋の中には置いてない…違いといえばそんなことぐらい―もしもわたしがあの部屋の中で突発的に死ねば(あるいは殺されれば)、あの部屋はこの部屋と同じになるだろう―わたしは部屋を見回す、いろいろなことが少しずつ変わっていることがあるからだ―その日は鳩が居た、さっきささやかな仕事を成し遂げた鳩だ、こちらを向いて佇んでいる―鳩と呼ぶには少しサイズに欠陥があるようだ―大型犬くらいある、そのせいなのか、あどけない顔つきのはずなのになぜか途方もない苦しみを背負っているように見える…それは賢者が現世にて背負ってしまうようなたぐいの苦しみ…わたしは鳩の目がこんなに暗い色を秘めているなんて思ったこともなかった、鳩はわたしを見ている、任務に忠実な警察犬のように、起動したばかりのパソコンのハードディスクドライブのように、わたしが何らかのコマンドを実行するのをじっと待っている、みたいに見える―わたしはまずこの鳩に名前をつけることを考えた、それはすぐに浮かんだ、「ライン」―線という名前の鳩…ライン、とわたしは呼んだ、まるで昔からその名前だったとでも言いたそうな顔をして―ラインはピクリと首から上だけを転がすように動かしてからわたしに視線を戻した、それはたぶん受付が完了したということなのだろう―ラインはコマンドを待っていた、「ライン」わたしはもう一度その名を口にした、まるで自分に出来る事の限界をいちいち数えているみたいで暗い気持ちになった―「飛べる?」ラインは頷いた、「じゃあ、飛んで―飛んでどこかわたしに見えないところに隠れていて…わたしは少しこの部屋の中で落ち着きたいの」なんでもないこと、とでも言いたげにラインはまた頷くと、今度は羽ばたきすらせずに浮き上がり天井を突き抜けてどこかに消えた―駄目よ、とわたしは言った、「そんなの駄目だわ、きちんと羽根を羽ばたかせてくれなくちゃ―それじゃあ昔のマジックみたい」ラインは同じ速度で最新式のエレベーターみたいに戻ってきて、そして、やれやれと言うように首を軽く転がすと、鞘から刀を抜くみたいな仕草で翼を広げて飛び立った…ものすごい風圧で私の身体は少し窓の方へ後ずさった、さて…もうほかに変わったところはない…とりあえずベッドに腰を下ろそうとしたが、そのときにさっきまでいたところの窓が気になった―歩み寄って、鍵を開けようとして、愕然とする…その窓は開くようには作られていない、そういえば…そういえばこれまで一度も窓を開けようなんて考えた事はなかった、こちら(・・・)側(・)の部屋の中で、窓を開けようなんて考えたのは今が初めてのことだった―なぜ?どうして?…わたしは軽く混乱した、本当に一度もないのか?考え直すまでもなかった、その窓を開けようと思ったのは今夜が初めてだった―それまでそこに窓があったことを知っていたかどうかすら危ういのだ…わたしは窓を割る事を考えた、が、すぐに考え直した、多分、きっとこの窓は開く事も出来なければ割る事も出来ないに違いない、わたしはそう確信した、それは窓のかたちをしているがきっと窓とは違う何か別のものなのだ…もしかしたら窓とは違う種類の役割を抱えているかもしれない「ライン」ラインはすぐに現れた、わたしは自分のことを乗せて外に出れるかどうか聞いてみた、ラインは例の瞳でわたしをしばらく眺めたあと、乗れよ、という感じで身体を沈めた―わたしはなぜかプリンスを想像した、「パープル・レイン」の中でブロンドの女の子をハーレーに乗せようとして意地悪をするときにプリンス…そんなことはどうでもいいことなのだけれど…「どこでもいいの、この部屋の外に出て、この世界がどういうものなのかをわたしに教えて」ラインの背中に乗りながらわたしはそう頼んだ、酔っ払いがタクシーの運転手を困らせるみたいに聞こえなければいいがと思いながら―僅かな沈黙の後、ラインは飛んだ―飛んで、天井を突き抜けたが、わたしは天井につっかえてベッドの上に派手に落下した―



気づくと、わたしは自分の部屋(ノーマルな世界の方の)に居た―ベッドで眠っていた―そういうことになっているらしかった、ふう、とため息をついてベッドから起き上がる…見覚えのない小さな鳩が、わたしの隣で眠るように死んでいた。










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2007/7/8

七月、脳味噌の弱いオウム  








ふっと見放した拍子に気が触れる七月、脳味噌の中で果てしも無い騒音…静かにしている事は命取りなんだ、よ、慣れというのは恐ろしいものできちがいじみた焦燥だの厭世だのとアトミック・ボム・ガールみたいな駆引きの巧みさで付き合うことが出来るようになったんだ…ねえところで今何月だか知ってるかい?俺はどうも知らないうちに知ってることをすべて忘れてしまうみたいだよ
電子ビートのミレーヌ・ファルメール、余裕シャクシャクで歌いこなす唇、それを徹底的に汚してみたい欲望、なんて80年代的な時代錯誤、ダーツの矢はとんでもない方向にしか飛んでいかない…俺はいつでもれっきとした会話を確立させようと目論んでいるんだけど、いったい何人が俺のことを案山子でも見るような目つきで見ていったことだろう…それについちゃ別になんとも思っては居ないけれど…自信なんていつでも人間をそういう風にしてしまうギミックなんだね
もう少し自分の中で気持ちが弾むものを作りたいと思って出来るだけたくさんの言葉を出来るだけ画期的な方法で積み上げたらオウムになったような気がした、思惑なんてただの冒涜に過ぎないものさ、バイプレイヤーはノーマルよりもきっと性病にかかる確率が高いだろ?そういうことってきちんと理解していないと大変なことになる…いつも、いつの時でも…今は七月でいいんだよな?畜生、いつの間に抜け落ちてしまうんだろう、こういうのって?ハチミツのありかをぼんやりと考えている間に食パンが誰にも食うことが出来ないトーストになる、昨日も、一昨日の朝もそうだった…それが夢だったのかどうかも釈然としない感じだよ、おお、俺は塗るほどに白くなっていく紙みたいだ、躍起になっている間に何を描こうとしていたのかすらさえ思い出せなくなっちまう
ファンダメンタル、そんな風にうそぶいて知らん顔をすることは出来るだろう、ファンダメンタルってなんについて使う言葉なのかもさっぱりだけど…こんなときに言っときゃ格好はつくんじゃないか?何年か前に本のタイトルに使われてたのさ、なんだか響きがいい言葉だなぁと思ってね…意味を引いたことがあったんだけどなにぶん古い話なんできれいさっぱり忘れてしまったんだ…今話してる類の忘却とはまったく種類の違う健全なありがちな忘却だけどね、まてよ、忘却に健全とか不健全とか…まあいいや、話が長くなっちまう、きりもみ飛行のモノローグ、落下地点は誰にも見極める事が出来ない、轟音と軌道に眼を凝らすしかない、ある種の不安は墜落する事無しに旋回し続ける事がある、つまり安心なんてありえないなんて時もあるものさ
今夜これから眠るには穴ぼこを見つめすぎた、少しもセクシーじゃない穴ぼこ、少しも扇情的じゃないただの穴ぼこ、レゾンデートルとかつま先を引っ掛けてすっ転んじまうただの穴ぼこ…怪我をしないようにするんだ、そんなところで転んだら下手したら命取りだぜ…心中で流れる血は血小板にはどうにも出来ない、言葉を積み上げたらオウムになったような気がしたんだ、俺はただただ繰り返す鳥類なのさ



クェーッ







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