2009/12/21

残留思念  












甘い歌を繰り返してよ
甘い夢を繰り返してよ
気が済むまでどうぞ
気に病むまでどうぞ
凍てつくようなゆうべの空に
指をはなれた蝶が飛ぶ
ふわり
ふわり
ゆらり
ゆらり
旋律をたどるのには飽きた
届くか判らぬか細い声で
誰かの足音を待ちながら
歌うことにはもう飽きた
夕焼け
小焼け
まばたくと夜だ
道祖神の背中で
いっそう暗いなにかが笑う
ゆらり
ゆらり
はらり
はらり
はや駆けのようにすすきを突き抜けてゆく北風
ふっとかたわらに飛んだ小さな草の切れっぱし
沈む一瞬
燃えてるみたいに見えた
沈む一瞬
空が燃えてるみたいに
行きたくないよう
行きたくないよう
明日になんか行きたくないよう
乳飲み子のように泣いて見せても
母親の乳房はもうないのに
平手で頬をはるような寒いときが
薄い膜のように降ってくる
ふわり
ふわり
はらり
はらり
死者の目のような満天の星
新しいさよならを待っているような静けさ
もう過去すらも行き来しない通り
途切れた往来の一点
けして移動しない一点
母親の乳房はもうない
隠さないで
隠さないで
怖気を
怖れを
かえりみることの出来ない種類の成り立ちを
甘い歌をたどることに飽きたら
確かにもうそこにはやることはない
枯れた土地の片隅で死んだ
痩せ犬はいつしか白骨になる
空から幾千の水が降ってももう戻ることはない肉
真白
真白過ぎて涙が流れてしまう
生まれたときには判っていた遠くまで駆け抜けることの大切さ
まだ昨日までは判っていた遠くまで駆け抜けることの大切さ
一瞬でなんの意味も持たないものになった
指先が白く透き通った時のあきらめ
どんなことをしても元に戻らなかった
心まで冷たくなるのにあとどれだけかかるだろう
ただしんとしただけのかたまりになるまでにあとどれだけ
出せなかった手紙みたいな心残り
それは出してしまえば済むというような
種類のものではないのだ
遠いね
なにもかもすべて
無限の中へ吸い込まれてゆくみたい
いまにして思えば
全部なんでもなかったことみたい
ただぬくもりにはりついて
満たされたみたいな気分になっていただけだった
たましいみたいな虫が飛んでいる
むきだしの身体はさぞかし寒いだろうに
冬生まれなのか
あたたまることを知らぬままずっと輪廻していくのか
凍えぬ羽をはばたかせることは
誇らしかったりもするのだろうか
そんな風に出来あがってみたかったけれど
もう
いまでは済んでしまったことだ
あの北極星が新しい時間に溶けるころ
わたしは



産まれなおすことが出来るだろう













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2009/12/21

Punk is Dead  












オー、ジョン・ライドン、お前の毛根にまだこびりついてる砂糖水の匂いに
ぞろぞろと群がってくる小汚いアリどもを笑えよ
まるでそこにしか歩くところがないみたいに
お前の後をついてくるそいつらのことを心から笑い飛ばしてやれ
Punk is Dead、あたりを見回してみることはない
70年代が終わる頃にゃそんなこととっくに分かってたさ
あれはもう20年以上も昔のことだ、俺の通っていたハイスクールに
ロンドンからやってきたブロンドの英語教師
誰かが面白がって投げつけたFuck youってフレーズを
「rock’n roll words」ってひと言で片付けちまった
あれはとても印象的な出来事だったぜ、そのころには、もう
パンク・ロックなんてリンカーンの銅像と同じぐらいの意味しかなかったのさ
90年代、黄金の国ジパングが土台からぼろぼろと崩れる準備をしていたころ
突然誰かがパンクって言い始めて
スリー・コードと鋲つき革ジャンが巷に溢れかえった
少年ジャンプでやたらと目につくような安っぽい自意識に
カワイクはないけどカラッポの小僧どもがこぞってこぶしを振り上げた
オー、パンクス、お前たちはばっちり決めていたけど
ピストルズの面影なんてそこにはひとつも見当たらなかったぜ
そうさ俺はとっくの昔から気がついていたんだ
パンクなんて初めからこの世の中には存在しちゃいなかったんだってことに
最初っからそんなもんは
マルコム・マクラーレンの寝言に過ぎなかったんだってさ
黄色い肌のパンクはまるで
腐った卵みたいな歌ばかりだった
夢や希望、俺たちの明日、こんな俺でも夢中になれるものを見つけたんだ
誰にも縛られたりなんかしない、ウルセエヨ
クリスマスの歌なんか論外だ
自分が考えたみたいに甲高い声で歌いやがって
パンクなんかどこにもなかった、パンクなんか
内なる闘いをくぐり抜けようとしないやつに
壊すという概念なんか理解出来るはずもなかったんだ
ようイエローマン、イエローモンキー
中指を立てた時点で一生パンクスになんかなれない自分をこの上なく恥じろよ
デタラメのいいわけ、デタラメのいいわけ、初めから
みんなすべてデタラメのいいわけだったんだ
愛してしまったからオシマイだったんだ、ろくに音も合わしちゃいないスリー・コードのストロークに
レイプされちまったときからそのことはよく分かってた
ライドン、ジョン・ライドン
俺だってお前の毛根に群がった小汚いアリの一匹さ
こんな俺をどうか笑っておくれよ、ほかにやりたいことなんてひとつも思いつけなかったんだ
Punk is Dead、Punk is Dead、踏襲するしかノウがないノータリンの小僧どもよ
お前の歩いてきた誰かさんそっくりの道のりを笑えよ
そんなの初めから
始める意味なんかひとつもなかったのさ
あんたは本当にメシを喰わせたくなかったのか
あんたは本当にメシが喰いたかったのか?
地獄に落ちた野郎どもには歌を歌うヒマなんてない
ロンドンはとっくに鎮火してしまってる
電撃バップは間引きされてもう電圧が足りない
さらばベルリンの陽、共産主義は冷たい土の下に
ロウ・パワーはアメリカの犬になり
ジーザスが死んだのがアンタのせいであるはずがない
吐気がする、吐気がする、吐気がする、吐気がする
栄光がつかめるなんて本気で思っていたんだろうか
ああいと哀し自主製作盤のエレジー
ソノシートの幻影がデジタル・コンテンツの片隅で音割れしながら泣いている
トモグイ、トモグイ、トモグイ、トモグイ
ジーザスが死んだのは、アイツ自身がパンクだったせいさ
Punk is Dead、Punk is Dead
コピーばかりを繰り返し輪郭をなくしていく愚かな小僧どもよ
死んだ赤子をあやしてる気のふれた女のようだ
Punk is Dead、カワイクもないのにカラッポ、頭の中にはウメボシの種が
たったの一個転がっているだけさ
Punk is Dead、Punk is Dead
それでもまだそれを信じ続けるって言うんなら
それでもまだそれを信じ続けるって言うんだったら
俺の存在を
頭から、頭から、頭から、頭から、頭から、頭から、頭から、頭から、頭から、頭から…











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2009/12/21

Cry Baby (Good Night)  











明け方は残像、未来の癖に思い出みたいな余韻をはらみながら、「見えない壁」のパントマイムみたいに窓の所でこっちを見てる
FMのチャンネルからはハイドン、俺は一気に歳を食ったような気分になり、食卓のトーストはほんの少し焦げすぎていた
イデオロギーのない朝はインスタントで事が足りる、朝刊から拾ったニュースは汚職2、離婚1、死者数6、またかよえっもう、ご愁傷様
玄関を出ると見える近くの山の電波塔、あそこから何かが飛んでいるなんて俺は考えたこともない、需要と供給の関係、アンテナとチャンネルだけの関係
空気は冷えていて肩をすくめる、べつに雨の後ではないのにそれみたいな反射、無数の針で眼球を刺されたみたいで小さくため息をつく
学生たちの自転車はネズミみたい、サラリーマンたちのバイクはドブネズミみたい、程度が下がれば無秩序も常識さ、服着るケモノが繋いでゆく無駄な遺伝子
駅の構内に浮浪者、寒くないのかと気まぐれで尋ねたら、そう思うならなんかくれよとぶっきらぼうに返された、昨夜街でもらってそのままだったピンサロのチラシを渡してやると真っ赤になって怒鳴り散らした、馬鹿にされたくないのならそんな暮らしをするべきじゃない
揺られている、揺られている、揺られていると消化出来ない眠気と朝食で横隔膜から煙があがる、俺が目覚められないせいなのかね、ねえ横隔膜、そいつは俺が目覚められないせいだってお前は言うのかい?降車してコーヒー買ってベンチに座り急いで飲む、タイム・カードにゃこのところ、芳しくない印字が続く
ブートレッグの専門店の、汚れた壁にミック・ジャガー、ヘイ、ヘイ、ミック!「やってみりゃつかめるものもあるかもしれない」って、あれはどれだけ本心なんだ?あんたはいまでもブルースの行先以外にゃまったく興味がないくせに
次の角で曲がらなければ出社出来ない、だけど直線道路の向こうはこの上ないほど魅力的、ネクタイを緩めるか、それとも締め直すか、週に三度は訪れる自問自答、行きたいところに行ったらその分、行くべきところに行けなくなること、これまで何度経験してきた?
タイム・カードは仏頂面でギリギリセーフの時刻を返す、ああ尊き労働、機械までもが病んでるみたい、挨拶をして席につく、近頃ここで流行り始めた俺に関する妙なデマ、生憎ですが皆様方と同じ目線でいさかうほどには、当方時間の空きがございません、お手数ですが他の落度をお当たりください
昼食は悩みもせずにカロリーメイト、ビタミンカロチン食物繊維、山ほど奪ってもしょうがねぇ、惰性で流すに燃やす種など、バランスフードで上等さ、責任持って腹6分目で流して見せましょ午後の焦燥、面白くもないディスプレイ、眺めているうち短い夢を
今何時だろう時計の針を、見るたび死体のヴィジョンが浮かぶ、そいつの顔まで確かめない、確かめたりなんかしないよ、目を見開いて横たわってる、見知ったなりのそいつの顔など
酒が飲みたいわけじゃない、女とヤリたいわけじゃない、薬を買いたいわけでもない、欲しいものなどなにもないのに、賑わう通りで時間を潰す、正気になるのが怖いのかい、よれて汚れた自分を知るのが
駅の構内に朝と同じ浮浪者、俺と目が合うとそっぽ向いて寝たふりを始めた、その仕種に俺はムカついて奴の鼻先へ酒臭い息を存分に吐きかけてやった、少し歩いて振り返ると、奴は声を殺して泣いていた、さすがに少し悪かったと思った
あんなふうに死んでく自分が頭をよぎらなくもない、本当こいつはマジな話で、こんなボンクラいつ弾かれても俺にはちっとも不思議じゃない、ふふ、よう、おい、その浮浪者の顔を確かめるなよ?
シャワーを浴びたら死にかける、消化試合に子守歌はない、それを堕落と言うのならあんたの暮らしを見せてみな、スタンプみたいな笑顔の女が、ペチコートで踊るのを見てた


















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