2009/12/21

臓腑の風景  










俺の臓腑を見ろ
俺の臓腑を見ろよ
ガラ空きの腹腔から滴り落ちる俺の臓腑
静かな臭いを放ちながら床に降る俺の臓腑
もはや曝す以外に手はない
もはや曝す以外に手はないんだ
見ろ、そして認識するんだ
感情により変形した俺の臓腑の形を
お前の目で然りと認識してくれ
その痛みを
その色味を
その形を
そんな奇形を生むためにどんな心を抱えなければならないのか
賢者の目を以て認識してくれ
ぼたぼたと零れる音がいつまでも聞こえる
俺はあとどのくらい生きていられるのだろうか
首筋に爪を立てているのは浮上しない思いか
俺はあとどのくらい生きていられるのだろう
なぞってみた、指先で、ゆっくりとなぞってみた、ガラ空きの腹腔、ガラ空きの腹腔の中を
こんなにガラ空きなのにどうして零れおちる音は止まないのだろう
肺を引きずり降ろそうとしてるみたいな
この絶対的な重力の正体はいったい何だろう
綺麗な線で描かれたものを綺麗だと思うことが出来ない
俺の心情はとうの昔から壊れているのだ
セメントに打ちつけた頭蓋の方がずっと綺麗だ
少なくともそこにはバランスを失ったなにかが存在しているから
整えられてはならない、少しも整えられてはならないのだ、俺にとって美しさとはきちがいじみた衝動の中にしかあり得ない
殺せ、殺せ、殺せ、もういっそ狂えないなら
感情の腹を裂いて詩情を殺してしまえ
ぼとぼとと、ぼとぼとと、零れおちる音が聞こえる、俺は狂っているのか、俺は狂っているのか?
狂っちゃいないよ、俺は正気だ、だって昔からこうなんだから
お、お、お、俺の腹腔、腹腔から、ぼとぼとという音がまだ
壊れ切った機械を愛せるかい、作動しないガラクタを
美を知ろうとしない心を愛せるかい、この足元の血だまりのことを
晴天の下で雨が降っているみたいだ、俺の足元だけがぼとぼとと濡れている、雨よ、雨よ降れ、なにも洗い流せない雨、ははは、はははは、ただどんよりとした溜まりを作っていくだけの雨
おおお、おおおお、まるで何かを殴りつけているみたいだ、お前は運命が憎いのかい、お前は人生が憎いのかい
お雨が憎んでいるものは他でもない自分自身だって知ってるか
その執拗さはきっと確かに理解しているんだろう
ガラ空きの、ガラ空きの、ガラ空きの腹腔、指でなぞると汚れたガラス瓶みたいだ、腐った水みたいな何かが指先にへばりつく、洗い落とせ、すぐに洗い落とせ、そこから二度と出られなくなるぜ
生命が悲鳴を上げる時は本当に駄目になる時だ、だけど決してそれでおしまいってわけじゃないんだぜ
帰ってこようと思えばどこからだって帰ってこれるんだ、こだまよりも確かに、約束よりも早くに
それがおしまいかどうかなんてその時だけの感覚に違いないんだ
なあ、見えるかい、俺の腹腔、俺のガラ空きの腹腔、俺の生命は駄目になっちまったんだ、だけどそいつはおしまいってわけじゃないんだ
俺の言ってること変かい、俺の言ってることおかしいかい、すでに壊れてしまっている奴にどんなまともさを期待しているって言うんだい、窓の外を俺から零れおちたものたちが泳いで行くのが判るだろう、あれは雲っていうんだぜ
内臓っていうのがしのびなくて俺が名づけた、綺麗だろう、ねえ綺麗だろう、俺から零れおちたものたちが空を流れていく、あの雲を見てくれ、あの雲を見て綺麗だと思っておくれ、そう思ってもらえるんならもう少し見届けたっていい
俺が幸せそうに見えるって?そいつは、多分……










勘違いだぜ









0

2009/12/21

明日ここに捨ててゆく花を選ぼう  








明日ここに捨ててゆく花を選ぼう
あまり綺麗じゃなくて
だけど見過ごせない
咲くよりは枯れるために
生まれてくるようなそんな花を
俺の言葉の代わりに
俺の人生の代わりに


時は流れゆくものだと
幾つものフェバリッツが掻き回したやるせないフィーリング
そんなもののために便箋の前で頭を小突きまわすよりは
近くの河原に出て
そんな花を選ぼう


俺の側にあるものはいつでも
はぐれた子犬のようについてきた灰色ばかりで
何かしら本当のことを言おうとすると
そいつがゆっくりと喉に指を喰い込ませた
嘘をつかなくちゃ生き延びてゆけない
そんな人生だってどこかにはあるものさ
それでいいんだと思えるほどには
俺は自分を割りきれなかった


ほんの少し出かけてくるよ
なにかを形にすることが出来たら
馬鹿みたいにニヤつきながらここに帰ってくる
楽しみにしてろとは言えないけど
余興みたいに待っていてくれたらありがたいと思うよ
明日ここに捨ててゆく花を選ぼう
プレゼントを贈るみたいに
コンセプトと誠実さで
あまり綺麗じゃなく
だけど見過ごせない
俺の言葉の代わりになるような花を
俺の人生の代わりになるような花を


さっきから何度も時計を眺めてしまうんだ
心に不安を隠しているとそうなってしまうものさ
一分がこんなにゆっくりと過ぎるとは思わなかった
長針があんな風に
なにかに躓くみたいにゆっくりと傾いているなんて


窓の外は夕暮れ
薄い赤がガラスに張り付いて
毎日にベールをまとった
俺のことを不思議そうに眺めている
お前の目的はあまりにも判りやすくて尊いから
俺が抱えてるもののことなんて想像も出来ないんだろう
世界を染めるのに飽きたら俺のところに来なよ
すっきりしないもののことならいくらだって話してあげられるぜ


明日ここに捨てていく花を選ぼう
あまり綺麗じゃなくて
だけど見過ごせない
俺の心がどこかに浮かび上がる時
誰かが俺のことをそんなふうに考えてくれるといい
明日ここに捨てていく花を選ぼう
それは俺のすべてについて話すことが出来る花だって考えてくれ
夕日があるうちに
夕日があるうちに
明日ここに捨ててゆく花を
夕日よ
もう少し待ってくれ
もう少しやらなくちゃいけないことがあるんだ
明るさが残ってるうちに
まだ花の形が
この目にはっきりと映っている間に










0

2009/12/21

パンク(夜がゼリー)  








ぼろぼろこぼれおちた
身体のかけらを眺めているまに
時が時がどんどん流れた
神様、俺は泥人形か
干乾びて崩れるのみか
アーハーハー、アーハー
笑気に聞こえぬ笑い声
やりたいことはそんなことじゃないだろう
明け方に根性が逃げてゆく
アーハーハー、アーハー
机をたたく指先が
いつかぐにゃりと曲がる気がして
怯えた、怯えた、怯えた、怯えた
歯が崩れる夢を見た、歯が崩れる夢を
俺はまだ眠ってもいないのに
心の方から流し過ぎて
身体には
透明な血しか残っていない
お医者さんならなんと言うだろう
せんせい、透過する血液を見たことがあるかい
死なない程度に、いやいっそ死ぬ程度に
ビーカーに溜めて検分しておくれ
お、お、お、採血の幻想
シリンダーがゆるやかに俺を吸い上げる
俺のささやかな喪失、だけど
それは当然の流れとして認知されているんだぜ
椅子に腰をおろしていると
足首を掴まれた気がして
慌てて身を引いた
床から、伸びた手には見覚えがあったよ
いま、ここで
キィボードを叩いているそのものだよ
亡霊の亡と忘却の忘は似て非なる、だけど
完全なる一致など存在しない、この世には
完全なる一致など存在しない
ぼろぼろこぼれおちた身体のかけら
塵とどれだけ違うのかね
パンク・ロックが内耳で膿みたいな夜で
ウーハー、こもり気味のエモーショナル
エモーショナル、だけどレスキューがない
お前の叫びは許容範囲内さ
効果的に選ぶことしかしてこなかったんだろう
判るよ、判るよ
俺にだってそんなことは良く判ってる
長く曲がった月が空でたゆたう
雨が降ったことなんか嘘なんだ
水の匂いを嗅いだ気がするけど
だったらこんなに渇いているはずがない
アーハーハー、アーハー、泥人形には骨なんかないぜ
アーハーハー、俺には骨なんかないんだ
きっと自由に動き過ぎたせいさ
だけどそんなこと罪みたいに話したりしないぜ
遺書は一番笑える言葉でなくっちゃあ
生まれた意味などないってことだ
公園で彷徨ってる幼児の幽霊が
ブランコで耳打ちしてくれたのはそんなこと
その時ははっきり理解出来なかったけれど
いまならよく判るって言ったら変に気にかけてくれるかい
ああ、墨が
セメントの流しの中の
窪んだ排水溝へ流れていくのを見つめているみたいなサウンド、ごごご、ごごごご
GO(行け)って必ずしも威勢のいい言葉なんかじゃない
ごごご、ごごごご
存分にやり過ぎたときのサウンドは
いつでも耳について回るものさ
セメントの流しの中で排水溝へ流れ込んでいく墨を見つめているみたいな
サウンド
サウンドになんか何の意味もない
夜がゼリー
夜がゼリー
夜がゼリー
夜がゼリー
水で戻す前のゼラチンのきらびやかな感じ、気の利かないスパンコールみたいな、ゼリーの記憶、なんて
一体どれだけのヤツに理解出来るだろう
水から上がった時に染色体をひとつ落として来ちまった抜けた種族が
繋いできた、繋いできた、繋いできた、繋いできた生命の、行きつくところに見慣れた顔面、ごきげんよう、新人類、生まれたときから滅びは始まっている、創造と欠落の綱渡り、落ちないでください、落ちないでください、見世物になる価値もないのに
サーカスから猛獣が逃げましたよってニュースを聞くたび
鋭い牙で噛み殺される夢を見てうっとりとした子供時代、ああそいつが官能っていうヤツだってそんなうちから知っていれば
もう少し器用な子になっていろいろなものを背負い込まずに済んだかもしれないのに
あの頃同じクラスに底なし沼って大好きって言ってた女の子がいて
不思議なくらいに気が合ってたな
いつかほんとに底なし沼に連れて行って沈めてあげるつもりだった、転校しちゃってとっても心残り、今でも夢に見る、今でも夢に
あの娘(こ)はにっこり笑いながらまっすぐ沼に沈んでいくんだ
約束って結局快感なんだよね
約束って結局快感なんだ
気持ちよくさせてくれる?
気持ちよくさせてくれる?
裏切りってオナニーみたいなもんだ
水の匂いを嗅いだのに渇いてるみたいな感じ
泣いて
泣いてよ
叶わないからって泣いて、虫みたいに泣いて
いろんなのに哀れんでもらえばいいんじゃないの、ねえもうすぐ年の瀬ですね
もういくつ寝ると馬鹿みたいにどいつもこいつもがおめでとうおめでとうって
ケチをつけたらパンクですか
そんなこといいたいんじゃねえよ







0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ