2011/5/19

アダムの林檎  








膨張する血管の中を流れるフラストレーション、悪い虫みたいに組織を押し上げて軋ませる、それがほんとに起こっていることかなんてどうだっていい、いまそんなものに苛まれているのさ
呻いたり叫んだり、嘆いて見せたりすることにいったいどんな意味がある?本当に痛いときには声なんか出ないものさ、耐えるか崩れるか、それしかない、耐えるか崩れるか、耐えるか崩れるか…
洗面台で俺じゃないものみたいな顔をすることが得意だ、洗面台でべつの存在みたいな顔をして映って見せることが…流れ落ちる水は渦を巻きながらうすら笑いを浮かべる、ほら、あの野郎、またやってやがるぜと…知るもんか、流れちまえばいいだけのお前らに何が判るっていうんだい
ロックミュージックの性急なビート、感情が関与しないところで思考を繰り返さなければならない、思考回路がなにひとつ関与出来ない段階のレベルで…そういうものがきっと一番正しいんだ、考えないところから生まれてくる答えがきっと
指先が踊るのを感じながら世界を歩いていたい、指先が次々と新しいものを弾きだす音を聞きながら…クラシック・ギターのアルペジオみたいな感じさ、きっとそんなリズムで生み出されるものが心地いいんだ、調べを、調べを聞かせろ、たった一人でグルーブするもの達の調べ、背骨の中心からするすると生まれる根源的なアルペジオ…
欲しいものはノーマルじゃなくて、欲しいものはアブノーマルでもなくて、欲しいものは、欲しいものは、そのどれとも違うもの、違うが故に正しいもの、いまこのときに絶対的に正しいもの、それが生まれないならなにをする意味もない
エンター、エンター、エンター、エンター、何を終わらせようとしている、次々とエンター、次々とエンター、なにを結論づけようとしているんだい、それを押すことで何かが変わるのかい、違うんだ、違うんだ、違うんだ、そんなことじゃない、言いたいことは…
なにが、なにを、どれが、どうして、そんなことをいちいち考えることが果たして正しいのか?いいか、思考は人をどこに連れて行くこともない、ただなにか考えたってことでなにかした気になれるだけのことさ、理由づけなんてリアルタイムで決して生まれてきたりしない、まともに歳をとってきたんならそんなことぐらい理解していなくちゃ…繰り返してきたもの、我知らず…繰り返してきたもの、我知らず、それが理由でいけないわけがあるのか?すべての出来事にすべての理由は必要か?ノ―だ、ノ―だよ、ノ―だ、絶対にノーだ
そこからはみ出したい、納得づくのお題目がなければ一歩も踏み出せないような連中の群れから、どの道に外れても正道しか求められないような、聖者と愚者の群れの中から!そんな欲求がなにを生み出すのかなんて知りたくもないぜ、絶対に知りたくはない、自由さ、陳腐な言葉で言えば…自由とは、制限されない美学のことさ、判るかい、ええ、アウトサイダー?正しく道を外れ過ぎるんだよ、絵に描いたように…正しい道を歩きたくはない、正しく道を外れたくなんかない、それは当然のことであるべきだぜ
なにを語ろうとしているのか?いまここで指を躍らせている一個の人間のことか?それならば、そうだ、それは制約で持って語られるべきことではないだろう!システムに則って語るものに、血肉など宿りはしないのだ!それが証拠に、見ろ、これを頭で理解しようとしているだろう…
壁をぶち破るときには力と、スピードが必要だ、そして最も大事なものは、それをぶち抜くという確固たる意志だ、制約とは、それにブレーキをかけるもののことさ、ブレーキをかけて…ブレークさせるのさ、そのやり方は本当に正しいのか?もっとうまいやり方があるんじゃないのか?そもそもこれは、この壁を破ることは本当に正しいことなのか?なんてことをまことしやかに囁きながらね
ヘイ、ヘイ!疑問が一層魅力的、なんて、子供のころに済ましておかなくちゃいけない気持ちのことだぜ!いつまでそこで甘えたしかめっ面かましていやがるんだい?ぶっ飛ばして、ぶち抜いてやることさ、そうしなければ、先に進むことは出来ないんだ、やり方を思案しているだけじゃ、ずっとな
こういうことだよ、進んだ分だけたくさんのことを知ることが出来るのさ、知識の実は、身体で感じなければ実ることはないんだ、どういうことか判るかい、成長とは、変化し続けることさ、受け入れる変化だけではない、なんらかの、能動的な変化という現象を求めて鼻息を荒くすることさ、判るかい、心当たりがあるだろう、どんなときに覚えてきたかを…思い起こしてみれば自然と悟ることが出来るだろう
膨張する血管の中を流れて行くフラストレーション、早くしないとそいつがすべてを駄目にしてしまう、回転数を上げて、最高速度で躍らせるんだ、そうしなければ知ることは出来ない、それを知るために生まれてきた、知るために、感じるために…
ガ、ガ、ガ、身体が軋む音が聞こえるかい、肉体は消耗品だ、ポンコツになる前に少しでもたくさんの路を行かなければならない、少しでもたくさんのものを口に含まなければならない、頭の中だけで解決するエンターになんてなんの意味もないのさ
消耗品だ、有限なのさ、いつか灰になる、灰になって…魂は永遠でも、記憶は持って行けない、それは理解の範疇のことだからだ、ならば、それを超えたところで、たくさんのことを知らなければならない、次の身体が困惑しないようにさ、受け継いできたものがきっと、新しい命を生み出すのさ
もっと先に行けるかい、もっとずっと先に…永遠なんて絶対に信用しない、消耗するものを信じる、摩耗していくものを信じる、それが継続しようとする意地を…先がある限りはそこに行きたい、求めるのならとことんまでやるべきだ、格好つける分だけ蓄えは減っていくんだ、ぶっ飛んで、たまには激しくぶち壊れるくらい…なにが出来あがるかなんて気にする必要はないのさ、それはきっとどこにも出来あがったことのないものだから
同じ世界に、同じ世界で、同じ世界を、同じ世界で太った腹を満足げに叩くやつらばかり、次だ、次だよ、次だ、次だ、次がなくちゃ駄目なんだよ、次をよこせ、次を…存在だけで理由になるようなやつを…感じるものに注釈は要らない、注釈をつける分だけそいつは本当じゃなくなるぜ






魂は継続する
それが


新しい実をつけることをそうと知ってきた魂なら







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2011/5/17

ほんとうの真夜中の在り方は知らねえ  






些細に行き倒れ
網膜は硬直を始める
騒ぎ尽くしたはずの夜
なぜ眠りはここを離れる
狂った蛇が食らいつく
後先のない牙の痛み
ぬるい温度を漂いながら
呼気に紛れた贄を吐く
雨だれの染みを
拭い続けるような営み
されど孵らぬときを
もう知らない振りをして
いくつかの壊死した感覚が
また往生際を蘇らせる
クラブハウスサンドイッチの
レタスみたいにぶつ切りの意地
くすんだ硝子の向こうに見える
白色だけのネオンの跳躍、は
忘れた頃のどん詰まりで
鈍い笑いを漏らすのだ
浮遊するのはいつも、釈然としない怒りと
釈然としない哀しみのタペストリ
存在し得ない言語を
手に余るほども抱えたような
真夜中の物言わぬ争乱
すでに分裂症を抱えた
卵の中で目を開く雛鳥
音波のように眼球は震えていた
ほんとうに真っ白な空っぽな夜明けを
幾度となく俺は見てきたよ
執着だけを残したまま
気体になったヒトのような気分さ
音符のひとつもない
ピリオドだけの楽譜の終楽章さ
長く息を吸い込んだらなにもかもが終わっていたんだ
鼠がなにかを求めて天井を鳴らしている
そんな直線的な夢中を
かつて感じたことがあっただろうか?
ひかりのない時間は
どんなものを軸に進行しているのだろう
結局のところ
見えるもののことしかひとは判らないのかもしれないな
スピリットだって結局は
媒体の上で結論するんだ
俺は悲観しているんじゃないよ
俺は諦めているわけでもないよ
俺は途方もなく心細くなっているわけでもないよ
ただ真夜中をどんな風に泳ぐのか
まだ知らずにいるってだけなのさ
ほんとうの暗さじゃない夜は
カーテンを開けてもあっけらかんとしてるもの
思い出したようになにかが蠢いて
空っぽの上空で反響しつづけるもの
眠りのためにあるものを知りたい
だけどそれにノーと言うような手段ばかりを
俺は選んできてしまったわけなのさ
たったひとりだけで歩道を鳴らす
靴音こそが真実なのかもしれないんだって
いつか考えちまったからに
他ならないせいなのさ
誰も歩いていないときの
壁や床はよく喋りやがるね
少し温度が変わる度に
小姑みたいに敏感によく喋りやがるねぇ?
あんたはさ、誰彼が居ないと遊ぶことも出来ない子供のようなやつなんだから
これ以上言葉を漁るのはよしなよ
これ以上自分の話を
すべてみたいに語るのはやめておいた方がいいよ
誰の知ってる真夜中もきっと明るすぎるとしたものだから
すべての明かりが消えてもきっと
窓からなにかが部屋を照らしてるものなのだから
なにか、そう、隠れきった不文律みたいな
不思議な成り立ちの調整が行われなければ
誰もがきっと眠りを求めないものだから
誰もがきっと明日を求めないものだから
かすれた喉に水でも流し込んで
潤うのを待つ間に新しいいざこざを片付けるのさ
不具合が立て続けに起こる方が
そんな夜には退屈しないでいられるというものさ




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2011/5/16

Absinthe  








剥落する幾許かの、幾許かの輪郭を、新規の過去を手繰る輪転機の脈絡に乗せて、点滅する電灯の落胆のような痛み
病み落ちた魂のホメオパシー、降る闇の狭間の脱落、板張りの壁で散らばった羽虫の黄ばんだ複眼
零度、から数えて何度めかの目盛りの夜半、湿気た寝床の上で目を見張る早合点の夢魔の長い、途方もない苛立ち
ソプラノで小さく嘶く幾つかの電気機器の、和音を拾えば大抵短調だ
焼土を敷き詰めた脳漿の疼きは頑丈に仕上がって、瞬きにうろたえる水晶体は被写体のフォーカスを絞り損なう
白濁した視界の臨界はおそらく俺をどこにも連れては行かない
心房から滴る血液の乱気流、存在点は盲目に昂り、潜在意識は放熱を訝しみ、咆哮にはおそらく獣のそれとは程遠い、幾許かの輪郭しか残されてはおらず
回転する限界の融点、ああ不要物は流れだすのだ、異常な放出の停止を執行出来ずに、ただ放り出されて流出していくのだ
逆遺伝学を唱える卓上ラジオの周期的な歪み、電波構造が解析されるには不十分な緯度と経度で三半規管は天秤がしっかりと釣り合う地点を探す、でも盲目だ、おそらくは
ケビン、ケビン、ケビン、何時か名付けた窓の外の女郎蜘蛛、甲虫の血を吸い尽くして萎んだ殻を廃棄している、風が強い日女郎蜘蛛は居なくなる
天鵞絨の目をさげた何かが静かに此処を窺っている、姿無きものはいつでも目的を気配に変えるのだ、次第に濃くなる霧のリズムで
便槽に沈殿した遺言の修正箇所、すべてを書き変えた誰かが整えた明日の準備
グラン・ギニョール忍び寄る不整脈的な足音のインプロビゼイション、群生する感情の性器の不作法な射出現象、錆びた思春期が偶発的に生き永らえたら最も見慣れた鏡像の…


時代錯誤な戒律のメロディ、離断した部分に異端者の施術、不透明な体液は培養する細胞の分類を容易くする、幻灯機が映し出した悪夢の様なイマジネーション、蝋燭の炎のように首を振りながら、そう、初めも終わりもない眩みの仕様、夜が眩めいている、部屋が眩めいている、俺が眩めいている、未整理に進行する時、生まれるはずのものたちの躊躇い、悟れるはずのものたちの血迷い、すべてが便槽の沈殿した遺言のように、脈絡、短調、執行、遺言、脈絡、短調、執行、遺言、遺物の形状はどこかに憎しみを湛えているように見える、だから眩むのだ、僅かな揺らぎを確かに感じ過ぎて…移動する泥土に紛れ込む体躯の蠢きは概ね無意味で、咥えこまれることには慣れっこだひと通り…天鵞絨の目をさげた何かの金属的な嘶き、伽藍の中の死体の腐乱、指をねじ込んで水晶体を定位置に戻せ、俺はまだ血流を止めることを許されてはいないのだ…






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