いきもの、が、騒ぐから  





点、で描いた集合には
意識を委ねざるをえない、火災現場の
人間が集合して燃えた挙句の肉のかたまりのごとくに
神経が摩耗し過ぎて
どこにも回路が繋がらない
約束されたはずの眠りは
転寝にも叶わず覚めた
ディスプレイが点灯する
悪あがきを続けなさい
ひとつ終わったからとて
すべてを忘れることは出来ない


喉の奥底には痛みがあった
身体はけだるく
関節は外れそうに弛んでいた
目を見開いていると
攪拌機の中のように情景は揺らぎ続ける
言葉と肉体が
溶けあって
トレモロを響かせる
点で描いた集合には意識を委ねざるをえない
失うだけ失った今をこそ希望と呼ぼう
本棚に立てかけたまま目次すら
まだ目にとめたことのない本のように
呆然とした真夜中を希望と呼ぼう
血が言葉を語った
長い時間をかけて
書き連ねてきたいくつかのシチュエイションを
血が言葉を語った
そんな風に話してくれと
細胞に染み込んだ記憶が
目を伏せることを許してくれない
血が言葉を語った
こころは肉体をふるわせてこそ成り立つ
指先だけで済ませるつもりなら
四肢を切り取って舌に鉛筆を結び付けておきなさい
いきものが騒ぐから
黙っていられないんだ、誰も


あかるく明けてゆくことも
くらく暮れてゆくことも
飛び込めば大差ない
明暗など
判りやすく設えられた経過に過ぎないのだ
止めなければどこまででも続けられる
相応しい形などどこにも存在しない
止めなければどこまでも続く
止めなければどこまでも続く
いのちが命ずるままに展開すればよい
形式的な攻勢は安住よりタチが悪い
色を塗り替えるだけの同じ絵になりたくなければ
いのちが命ずるままに展開してゆけばよい
泉門であったところが鈍い電流を放っている
それは脊髄に記録された生理の放電
緩く痺れることは熱を伴わないから
そこに強迫的な感覚が生まれることはない
誰も殺さないかみなりが生まれ続けている


理由ではない存在なのだ、理由は
停滞と自己満足を常に要求する
理由ではない存在でなければならない
理由を欲しがるなら古い過程の節々に
理由を欲しがるなら整理済みの感触のどこかから
理性というキーで野性を変換するために生まれてきた
その新しいなりたちを
その新しいバランスを
言葉を語るものは血だから
いのちを語るものは血だから
壊れる限りは再生が始まるから
すべてはその中にある
すべてはその中に
ひとの数だけの祈りがあり
ひとの数だけのなりたちがある
言葉を語るものは血だから
いのちを語るものは血だから
傷みを孕んで口を開け
脊髄の記録を
進化し続ける野性のかたちを



吼えろ


こころは連続なのだ







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プラネタリウム  






プラネタリウムの一番後ろで
滅茶苦茶にキスをしたね
それはもう、呆然として
ふたりして、名前を忘れるくらい


きみはいつだって最強のラブリーで
ミニスカートの端っこから世界を見せてくれた
きみがくれるものにぼくはぶらさがって
世界一のナマケモノみたいに暮らしていたんだぜ


デリバリーのピザの豪華なトッピングが
ふたりに出来る最高の贅沢だった
安物のシャンパンで乾杯するとき
ラジオから聞こえるロックンロールも少しだけピッチを上げたものだ


だけどもきみは突然どこかへ消えてしまった
そんな暮らしに興味をなくしたみたいに
たったひとりのベッドに横になって自分まで
きみが残したくぼみになってしまったような気がしていた


眠れなくなって目の玉だけが
あっちこっち真夜中を彷徨って
48時間みたいになっちまった24時間
寝返りを打つたびに身体を見失った


新しいピザの宣伝がドアからやってくるんだ
玄関のところで雪みたいになってる
きみがやってきてくれなきゃどんな味だかわからないぜ
きみだと思うものがぜんぶ違うものなんだ


プラネタリウムの一番後ろで
滅茶苦茶にキスをしたね
それはもう、呆然として
ふたりして、躍起になって
バカになって、名前を忘れるくらい


帰ってきてくれって言ってるんじゃない
ただこの空っぽを埋めて欲しいだけなのさ
やりなおそうって思ってるんじゃない
消えた火をもう一度
灯してほしいだけなのさ


プラネタリウムじゃまだ星が輝いてるよ
うっとりとさせるピアノの曲が流れているよ
それはそれはとてもロマンチックで
それはもうきっとまたすごくキスが出来るに違いないのさ


だけどこんな話をどんなふうに話しかければいいんだい
きみだと思うものがぜんぶ違うものなんだ







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