2011/7/31

ジェネレーター  







またたくあいだに裏切るような
そいつがいちばん愛おしい真理だ
カット・イン、カット・アウト
見過ごしたものも
見咎めたものも


瞬間的ななにかをあさい傷のように残して
このおれの前から居なくなる


定義できない人生を求めているんだ
にんげんなんかじゃにっちもさっちもいかないような
はしからはしまで振り回されるそんな人生を
イデオロギーで膝をつくひまなんかない
時間の絨毯爆撃の
なかを
かいくぐるみたいな人生を


ほーら、おまえは自分を素晴らしい人間だと宣伝したいが
肝心の宣材がそれじゃあだれも食いつかないだろう
所詮おまえのなかだけで解決を見たものを
わざわざ気にするやつなんかいるわけもないじゃないか


終わらないものを差し出せ
終わらないものを差し出せよ
一生そいつと絡んでいくんだって覚悟を
終わらないものにしてこちらに差し出して見せろよ
食料の近くでぶんぶん飛んでるハエみたいな
うるさいだけの自己主張なら金輪際口を閉じてろよ


どんなにくたびれても止められないときがある
どんな場所に追いやられても
叫ばずにはいられないひと言ふた言がある
だれかがおれに叫ばないかと声をかけてくる
だからおれはなるべくなまぐさいやつばかり集めて
こぎれいな床の上でポエトリーリーディングするのだ


またたくあいだに裏切るような
そいつがいちばん愛おしい真理だ
カット・イン、カット・アウト
見過ごしたものも
見咎めたものも


まれにいたみつづける傷があるぜ
ほんの一瞬のあさい切り傷でも
なぜか治癒せずにいたみつづけるものがある
そいつが教えてくれるものをむさぼりたい
教会にあつまる薄汚い路上のにんげんみたいに
屠れよ、そのすがたを見せつけてみろよ
おきまりのフレーズ以上のなにかをおまえがまだ持っているのなら
だれかにたちむかうとき以上に
おまえが自分にたちむかえるのならよ


小理屈は本屋の、一番売れない奥まった本棚に
青白い言葉は図書室の資料室のところに
それぞれはみ出さないようにきれいに並べておきな
ほんとうに生きようとするときそんなものはなんの役にも立たない


嘘をつきながら正直になれるかい
汚いものをうたいながら美しくなれるかい
おまえが欲望以上のものになろうとするときに
そこに摩擦をかけてくるものがあとどれだけ存在するんだい
純潔のファシズムは一切のスローガンを必要としない
ひっくり返しに来るだけの言葉なら
またひっくり返されて終わるだけのことだろうさ


またたくあいだに裏切るような
そいつがいちばん愛おしい真理だ
カット・イン、カット・アウト
断面からふきだしたものは
濡れたと思いきやほら乾いている
わかっているのに必要以上にぬぐってしまうものさ


ほーら、せめても肉体の感触だけで
今日あったことを確かめているがいいさ




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2011/7/18

ホワイトで滅菌的なBurn  







溶解炉からゆっくりと流れだしてくる
ついさっきまでなにかであったさまざまなもの
強い熱が視界をうねらせて
喉を焼く臭いは断末魔さえサイレントに踊らせる
きみの手を取り世界の線路の上だ
おれは地図を知らないままの旅人で
いつでもそんなこころのなかでなにかが消滅する音を聞いている
ほら聞こえる、またなにかがあったというだけのものに変わる


滅菌的に白い壁の上に放たれた吐瀉物
美しいと思えばなんだってたいしたことじゃないさ
二粒の錠剤が気分を塗り替えてくれるなんて本気で信じたりなんかしてない
いつだってそいつの取り分はかなり利己的なものだったはずさ
静止したままスライドして滑り落ちてゆく
どんなに滑落してもどこにも叩きつけられない
お終いがなくて恐怖だけが脊髄に浸透してゆく
滅菌的に白い壁の上に放たれた吐瀉物


愛した小動物たちの骨が食卓の上でぎこちない愛を交わしている
ポケットの中の鍵みたいな音が非能率的に鳴り続けている
その音を聞きながらうとうとと目の中に見る夢は
どんなことをしても取り除くことの出来なかった膿に口づけをしてる夢
果てしなく変化する速度の中に一度握りつぶした写真のようなきみが居た
いびつなカスタネットは本当に口にしてはいけない言葉の代わり
誰も使わなくなった洗面器にうっすらと溜まったいつかの水溜りに
ふいに一滴落ちた非制御な感情のクラウン


数値化された眠りの中でおれの手を取ってくれたらいい
そうすればおれはきみのなかをどこまでも侵攻していけるのに
冷却された夏の夜があらゆる関節に違和感を上書きして
俯いたレコードのジャケットの下に隠れた小さな虫が舌打ちをする
眠らせてくれ、ただ静かに眠っていたいんだ
たとえ明日のカーテンを照らす朝日がプログラミングされた偽物だとしても
子守唄とは呼べないようなもので眠らせてくれたらいい
おれはきちがいだからまともな気づかいは苦痛になるばかりなんだ


天使たちは加齢しないことにどうしようもないいらだちを覚えて
運命の矢の矛先を少し致命的なポイントに変えて
ほんのちょっとした小競り合いが殺し合いにまで発展する
どれだけの撤去出来ない血液が街路を濡らせていっただろう
美しいと思えたらなんだってたいしたことじゃなかったはずさ
多方向に交差した横断歩道の上で白いハンカチを手にした人だけを撃つ
ハンカチが彼らの死の証明になってお終いは劇的じゃない?
良質な演出は済んでしまえばブルドーザーで処理していいことになってる


今度たくさんの花火が上がるからそれを見に行こう
たくさんの火が頭上で何度も何度も爆発するんだ
それを見て歓喜の声をあげよう、まるで幸せを享受出来る人種みたいにさ
もしも自分を殺すことが出来るならおれは花火がいいな
良質な演出によって非現実的に処理されてみたいな
弔われるよりは片付けられたい、死んじまった後のことなんか
逐一お願いしたって誰が聞いてくれるわけもないじゃないか
約束は出来る相手とだけするものだっておれはずっと思っているんだ


花火になって、花火になって、花火になって、花火になって
ひと夏でいいからファンタジックなきみの一枚になりたいな
和紙や火薬にまぎれて黒焦げたおれが降り注ぐけれど
きみは恐れないで髪や衣服に付着したそれを連れて帰宅してくれ
そして汗やほこりと一緒に鮮やかな白さを生む洗剤で洗濯してくれ
こだわり設定が出来る全自動洗濯機でおれを真っ白にしてくれ
花火になって、花火になって、花火になって、花火になって
「生まれてきてよかった」と言えるような白がもしもそこにあれば…


コーラスのいちばん細かい隙間を縫いながら
吐き出された吐瀉物たちが時間差的に描いてゆく詩情を
人生そのものだって言って、子供みたいに、人生そのものだって
サイレントな断末魔は結構ドラマティックなものだって
レクイエムは送ることなんて考えてくれなくていいから
参列した人間がこぞって眉をひそめるようなものにして
どんなことでもいいから一個の命への完全なる冒涜をかたちにして
和音だってどんなふうにも狂うことは出来るから


静止したままスライドして滑り落ちてゆく
どんなに滑落してもどこにも叩きつけられない
お終いがなくて恐怖だけが脊髄に浸透してゆく
滅菌的に白い壁の上に放たれた吐瀉物
いつしか激突を夢見るようになる
恋焦がれるみたいに完璧な加速と重力で摩擦に負けない衝撃を
生身の身体なんか絶対にどうにもならないような完璧な激突を
だけど慣れてしまえばそれは次第に減速していくように感じられるのだ


もしも激突して飛散してもそこで終わっていなかったらどうする?
ただの破片になったあとでまだ先が残されていたら?
おれは地図を知らないままの旅人なのに
身体に欠片になってどこかも判らない床に投げ出されたままでいたら?
数値化された眠りの中でおれの手を取ってくれたらいい
そうすればおれはきみの中をどこまでも侵攻していけるのに
ポケットの中の鍵みたいな音が非能率的に鳴り続けている
目は見開かれた、絶対的な寝床の中で


鮮やかな夢をください
眠ったかどうかなんてどうでもいいから






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2011/7/6

愚劣な牙のトランジスタ  









減光の刹那から始まる気狂いをなだめる為の契約が必要、ショット・ガンが脳漿を撒き散らす幻想、不精の爪で肌を掻いて俺の身体は赤線だらけ、叫びを選択しない衝動は、そう、綿雪のように静かに積もるばかりさ…考え込むことが得意だからすぐに撃たれてしまう、考え込むことが得意だからすぐに狙われてしまうのさ、イマジネーションは、そうだよ、本当は停滞からしか生まれてくることは出来ないというのに、軽いものを接着するボンドみたいに速乾性ばかりを求めては…左脚のつけねからメスそのものを追及するとき、左手は制限の小袋の封を開けている、本能に安心出来ない理由が世界には溢れている、溢れて、漏れ出している、汚れた机を綺麗に拭くのはいったい誰の役目だい、こぼれたミルクを冥界に返すのはさ、誰も理性の正しいプロセスをきちんと踏もうとはしない、そうしないと壊れてしまう小さな世界を、確かに肌で感じたことがあるんだろう、窒素充填された果汁の飲料をシェイクして成層圏まで打ち上げたいと笑うインテリジェント気取ったメス、左側の脚のつけねでしか正しく感じることが出来ないらしいんだ、俺は舌だって使ったのだ、そのとき、確かに見ることが出来た…正しく機能しない本能が丸い小さな石のようにそこにあることを…そんなことがあると俺の夢はその先を拒否するんだ、だけどそんなことばかり気にしてはいられない、もちろん俺はきちんと進行したさ、だけどそれは欲望じゃなくて意地みたいなもんだ、そうさ、本能で生きて行くことなんてそんなに大事じゃないはずさ、少なくとも二〇一一年の今となっては…執拗なまどろみの寸断のあとに翌日が窓ガラスにへばりついて圧力をかけてくる、明けない夜はない、明けない夜はないぞ、明ける夜は、明ける夜はまるで霊魂のようだろう、霊魂のようにネクストを彷徨い続ける、だけど霊魂に行けるネクストなんて大概限られている、留まるということが霊魂の宿命であるのなら、だったら彷徨うしかないのさ、だったら彷徨うしか…ネクストのない彷徨い、ネクストのない彷徨いだけがそこにはあるんだ、ネクスト、いまこの時しか感じることの出来ない生き物に、そんなもの果たして存在するのか?ある、というのなら、それはどんなふうにして確かめることが出来るのだ?逆にだ、先の保証がなければ動くことは出来ないのか?確かに保証されるゴールがなければ動くことは出来ないのか、そんなの小さな話だと思わないか?生きてるうちに得られる悟りなんか本当に欲しいか?本当に、欲しいか…?混迷と混沌と停滞と悪足掻きこそがこの俺の安泰、この俺の心を安らかにさせる騒ぎさ、生きてる限り確かな感覚など手に入れたくはない、生きてる限り一〇〇万の騒ぎの中で呆然としていたい、それこそが俺を進行させるのだ、判るだろう、先の判ってる道なんか何度も歩きたくはないだろう?知りえたものには気晴らし以上の意味なんかないさ、俺はそう思っているんだ…生まれる為の苦しみの様な狂気に溢れる夜毎、叫びを噛み殺すたびに胃袋が膨張して固まるような感覚の発芽、腹を裂けばきっと腐った声が、無数の腐った声がアメーバのように這いだしてくるのさ、成長とはいっそう近くに死を感じることだ、いっそう近くに死の感覚を垣間見ることだ、心当たりがないだなんて誰にも言わせやしないよ、そのことを理解出来ない生き物など、本当は一匹もいないはずなのさ、本当は、そう、どんな生き物だって本当はきっと、死を見つめることで生を覚えているはずなんだ、見つめて、そうだ、震えながら近づいてゆくのだ…近づいて触れた時、世界は塗り替えられるだろう、漆黒か、白色に…おお!また夜明けが来る、また…また夜明けが!いったいどれぐらいの時が流れたのか?混迷と混沌と停滞と悪足掻きが濁流のようにこの身体を嚥下していく間に…震えろよ、畏怖が、恐怖がなければ触れることは出来ないぜ、人生は恐怖だろう、運命は恐怖だろう、暗闇を見せている黒幕は実は未来だ…生きる!生命は舵のない船の様なものだ!乗り込んだ、ことも、始まった、ことも、もう、やり直しは効かない!甲板に立って、高い波の向うを見つめていると、定義することが困難な感情が幅広の刷毛で塗られるみたいに心に忍び込んでくる、舵がないことで…そこに立っているという現在をどんなふうに呼べばいいのか判らないのだ、立っているのか、立たされたのか、選択したのか、選択の余地があったのか、なかったのか、希望なのか、絶望なのか…ただ立って波の向うを眺めているというそれだけのことを、舵がないという一点がフォーカスを曖昧にする、海は激しく、猛烈な波をいくつも燃え上がらせる、例えるならそんな調子だ、例えるならいつだってそんな調子だ、そんなことになんらかの傾向を見出さなければいけないのか?整頓された感情に本能は宿ることはないよ、机の上だけで吐き出されたものからは涼やかな内臓の臭いがしない、内臓の臭い…もしも俺にこだわれるものがあるとすればきっとそれさ、もしも俺に傾向のようなものがあるとしたら…この両手は己が内臓に触れたい、手首まで突っ込んで温度を感じたい、総毛立つような感触、いつか俺がそんなことが出来たと感じるとき、指先に感じるものは、生きているのだろうか?ドクドクとした血と、その他の体液の流れを感じるだろうか?それともじっとりとしたままで、草臥れて動かないのだろうか?体内に思いを馳せること、体内に思いを馳せること、体内に思いを馳せることがネクストを予感させる、ネクストは曖昧なものでなければならない、曖昧なものでなければそれは完成している、それはもうネクストとは呼べない、完成させたいわけじゃない、今もっともふさわしいやりかたで吐き出したいと考えているだけ、身体が最も欲しているやりかたで、最も近づいたと思いたいだけ…そもそも近づく以上のことなど人ごときに出来ることではないのだ、そうさ、左脚のつけねからじゃなければ感じられないメスを攻略するようにさ…なあ、生命とは、魂とは、いったい何なんだ?触れることのない臓腑の様なものか?超自然的な暗闇の中で目を見開いて、吾身が亡霊になるのを見ている、その時間、声はどこにもエコーしない、それは放たれる声ではないから、発音される言語ではないから…未発達な胎児の群れのようにそれは零れてくる、すべてを救うことなんて出来ない、すべてを育むことなんて…選ばれなかったものたちは膨張して破裂していく、ごめんよ、ごめんよ、お前たちをすべて抱えるには俺の感情は脆過ぎるんだ、断続的な気狂いが俺を正気に引き戻す、そうさ、まるで観念的なカルテを目の前でばらまかれているみたいさ、柔らかで湿気た破片を浴びて、鼻が曲がるような臭いはなぜかどうしようもなく哀しくて、だけど泣けない、泣けない、泣けない、俺は泣けない、俺はそれを認めるわけにはいかない、俺は涙とともに在るべきではない、涙とともに在るべきでは…それは許されるための理由みたいなものだから…感情的な詩人は笑えない道化、心の底で死んだものたちがポエジーになるのに、なぜ生身のままで曝そうとした?すぐに生まれるものは育まれない、すぐに生まれてくるものたちは育まれる運命にないぜ、吐かれた唾みたいに路の上で渇いてゆくだけだ、インパクトなんてヒロイズムと同等の滑稽で醜い代物にすぎないさ、すぐに勃起するイチモツと同じ事さ、人気のない路地でしか輝けない哀しみになど俺はなりたくない、俺はなりたくは…膨張する虚ろな影、最早昼も夜もないある一点で、試すみたいに重力を変えるなにかがくるぶしを噛んでいる、そのせいで俺の歩行はほんの少しいびつな影になる…ハロー!噛みつきやがれ!








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