2012/6/24

剥いだり切ったり生やしたり  








よう、あんた誰だい
俺のことを知りたいのかい、たとえば俺がどんなやつで
どんなことをして暮らしているか知りたいのかい
俺は皮剥ぎさ
毎日人間の皮をはいで暮らしている
このナイフでさ、おっとっと、身構えるなよ
おまえに危害を加えるつもりなんかないぜ
俺が剥いでるのは自分自身の皮さ
その下に何があるのか知りたくてな
こうして、顎の下から刃物を入れてな、ゆっくりと下へ剥いでいくんだ…
どうだ、手慣れたもんだろう?今じゃ服を脱がなくても全部剥げるようになった、ほら、子供の時、水泳の授業の時さ、服を着たまま下着を脱いだりしたじゃないか、あんな要領でさ、こうやって剥いでいくんだ、靴下履いてたって何の問題もないぜ…ほら…こうして背中は剥いでいくんだ、ティッシュ・ペーパーの箱みたいな感じさ…このナイフみたいにな、ギリギリ届くか届かないかのヤツでやるのが面白いんだよ…最後は、シャツを脱ぐみたいに、こうさ…どうだ、するりと抜けただろう?
シャツだけ脱いでやろうか、ほら、どうだい
この俺の筋肉と神経組織の成り立ちは?そんなことして死んでしまわないのかって?こんなに血が出て、死んでしまわないのかって…?
毎日、やってるって、言ったはずだぜ?こんなもの、毎日やってたら身体が慣れてしまうものなのさ…毎日毒を少しずつ飲んでいると、毒を盛られても利かなくなるっていうの、あるだろう?あれと同じようなことさ…納得がいかない?まあそれも判るけどさ―でもこうしてげんに俺は生きているんだし…二時間もすれば皮だって新しく出来てくるよ…不思議だと思わないか、剥ぐときいろんな順番で剥いでみたんだけど、生えてくるときは必ず爪先からなんだよ…爪先がむずむずしてきたと思ったら、そこから皮が生えてくるんだ…まったく人間の身体ってやつは不思議だよね、触ってもかまわないぜ、ただし、そっとな…




俺が何をしてるか知りたいんだって?ふうん、そうかい…俺は肉屋みたいなもんさ
こういう肉切り包丁でさ、毎日人間を捌いて暮らしてるんだ、ああ、驚かなくていい、あんたに危害を加えるつもりは全くない
俺が捌いているのは自分の身体だから
ほら、こうして、肩たたきをするときみたいに、首の付け根から切り落としていくんだ…首を切り落とさないように気をつけなくちゃいけない…さすがにそれはまずい気がするからね…もっともそういう気がするだけで、もしかしたら意外となんでもないことなのかもしれないけれど、まあいまのところまだ、それを試してみる気にはならないということさ…皮剥ぎ?あいつの話を訊いたの?そいつは大変だったな、あいつは必要以上に他人を驚かそうとしたがるから…まあ、あいつはなんだかんだで凄く苦労してあそこまで技術を磨きあげた男だから、多少ショウ・アップしたくなる気持ちも判らんではないけどね…だけどあいつみたいな苦労を俺はしたいとは思わないな…あんなの気が滅入るばかりで爽快感がないってもんだよ、ほら、この通り、だん、だん、だん、で、だいだいぶつ切りで転がしとけばそれでいい…人間の断面ってけっこういろんな色があるだろ?赤色ぐらいしかないような気がしてたんじゃないか?黄色だって白だってちゃんとあるんだぜ…




ああ?俺か?俺は骨を磨いているのさ、肉屋のやつがあらかた肉を剥いぢまうだろ?そのあと骨をきれいにするのさ、こうしてな、清潔な布を水に浸して…汚れたものを使っちゃ駄目だぜ、骨はすぐに他の色をつけちまうからな…こうして少し拭いたら、すぐに洗う、拭く、洗う、拭く…三度目はもう布を変えないと駄目だ、それ以上はいくらきれいな布でも余計なものがついちまう…こうして、同じように浸して、それから拭く…薬品なんか使ったりしないよ、薬品なんか使ったらもうその時点でそれはヒトの骨じゃなくなっちまう…ヒトの骨じゃなくなるとヒトへの再生は不可能になってしまうんだ、だから薬品だけは絶対に使用しちゃいけない、判るね…?
骨を拭くのは一番神経を使う作業なんだ、皮剥ぎだって大変には違いないけれど、あいつの場合は半分趣味だからね…皮なんかむしっちまってもだれも文句なんか言わないんだ、だけど、あいつはそういうのシャクに思う性格だからさ、ああいう、ま、芸術的とでもいうような要素を追求したんだろうね…リンゴの皮むきと同じようなもんさ、何も考えずに向いてると途中で切れてボロボロこぼしちまう、注意して、集中して剥いていると意外と最後までちぎれずに剥けるものだ…布かい?そうだな、数えたことはないんだけど50枚近くは使うんじゃないかな?もっと多いか…100枚まではいかないけどね、たぶん…そら、出来たよ、たいしたもんだろう…





俺?俺はこうして肉体が生まれてくるのを待つんだよ…ただ待ってるだけじゃいけない、生まれてくることを信じて待ってみるんだ、少なくとも失ったものに見合うだけのものが生まれてくることをね…人間というのはおかしなもので、一度失くしたものはもう返ってこないなんて考えがちだ…だけどそいつはちゃんと返ってくるのさ、息を落ちつけてじっと空気を感じていればね…今日は話しながらだから少し時間がかかっているけど、いつもならこの半分くらいで内臓とかが生まれてくるよ…うんそう、骨に沿ったところから生まれてくるのがセオリーさ…どうだ?ちょっと気持ちの悪い代物だろう?俺だって最初は慣れなかったさ、なんでこんなことやってんだろうって不思議に思いながらやってた、だけどなんどかやっていくうちに、そんな疑問はなくなっていったんだけどね…家だって必要に応じてリフォームするだろ?それと同じようなもんさ…ごめん、心臓が出てくるときだけはきちんと集中しないと…そう、心臓の時だけは静かにしていないとね、さっきみたいにきれいには出てこないんだ、試したことはないけれど、それは、判るんだ…きっと、集中しないままやってたら、動かない心臓とか、そういうものが出来あがるさ、きっとね…さあ、これが出来たら、あとはしっかりと仕上がるのを待つだけさ―どれくらいで出来るのかって?そうだな、だいたい全部で一時間から二時間だね、それ以上かかるのはよほどの時だけさ…こうして外側が出来てきたらね、少しずつ動いて、散らばってる肉や皮なんかをある一定の法則で持って床に並べていくんだ、順番とか気にしなくていいから…やってみる?そりゃそうだな、ごめんね…こうして、適当にさ…皮なんてきれいにそろえずにこうして投げ出してみてもいい、外したネクタイみたいにしてさ…肉はなるだけ中央に集める、やっぱり高さがある程度あるからね、そうした方が見栄えが良い…こんなふうにね、どう、ちょっとステーキみたいに見えたりするんじゃないか?…どれ、身体が出来たようだから、あとは一気に仕上げてしまおう…








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2012/6/20

まぼろしの亡骸  







横たわる体に刻まれた痕跡、一度腐り果てたものがまた蘇生したみたいな違和感がその正体だった、じめついたシーツの感触に苛立ちながら、指先はいつも生温い欲望を溜めこんだ性器を弄んでいた…嵐の後なのに空は釈然とせず、だから俺は…外に出るたびに何か嫌なものを呼吸器に詰め込まれたみたいな感じがしていた…わけもなく人殺しが増えるのはこんな季節だ、じめついた、薄暗い…電信柱の根元に手向けられた色を失くした花束を見ながらひとつの詩編を綴った、それは誰かに読ませるためのものではなく…しいて言うなら自分の失われた平衡感覚をなるだけ正常な位置に近づけるための行為だった、浅黄色に枯れた花束はそうしたことを意識的に行うのにとてもいい入口になる…理解は求めない、別にそんなことして欲しいわけじゃない


子猫の死体を拾って、コーヒーハウスの廃墟まで歩いた、埃が積もったカウンターの上に子猫を置き、16時間連続で撮影出来るデジタルカメラをセットして腐敗していく様を撮った―拾い上げたときにはそれはすでに始まっていたから、上手くいけば骨に変わるところまでは見ることが出来るかもしれないと思って…俺はカメラをなるべく目立たないようにカモフラージュして、廃墟を出た…もっとも、この場所はあまり知られてはいないところだし、もしも見つけられても進入口を見つけるのは一苦労だ、だから、そんなことをしようと思ったのだ…何週間か前に、そういうことをした芸術家の作品を見たんだ、死んでから骨になるまでをすべてカメラに収めた、そんなやつがどこかの国にいたのさ―人によってはそんなものを芸術だとは思わないのかもしれない、そんなおぞましいことをするなんて…!と眉をしかめるかもしれない、だけど俺はそれをまぎれもない芸術だと思った、生きていたものが骨になる過程は、「失われる」というスタイルの芸術だと―勿論、臭いのない早回しの動画だからだ、そう思えたのは―だから、真似したかったとか、そういうわけじゃない、俺はそれがここにも起こることなのかどうか知りたかった、やろうと思えば、誰にでも出来ることなのかどうか…俺はカメラの中に映るものを一晩待った、夜明けとともに出かけて、廃墟へ行き、カメラを回収した、ひどい臭いと、アーモンドみたいなサイズの蠅の群れを潜り抜けて…


カメラはバッテリーが切れていた、充電しながらパソコンにデータを移し、再生してみた、しばらくの間は、ただ死んだ猫が映っているだけだった、窓のすぐそばに街灯があるせいで、明りは充分にあった…美しい光景だと思った、死に続ける建物と、死に続ける猫…俺はじっと画面に見入っていた…数十分が過ぎた頃、猫の目玉がぐるりと動いた、気がした…そんなはずはない、こいつは死んでいるのだ…目を凝らしたとき、猫の身体がゆっくりと大きく波打ち、延髄のあたりからなにかが抜け出してくるのが見えた…それはその猫の皮をすべて綺麗に剥いだあとに出てくるであろう姿によく似ていた、レンガのような赤い身体に、コードのような白色があちこちに流れていた…そいつは猫の身体から完全に抜け出し、猫の身体は少し痩せたみたいに見えた…そいつはゆっくりとこっちへ歩いてきた、歩き方は完全に猫だった…鳴くように小さく口を開けたあと、裏返ったような目玉でカメラを覗きこんだ、俺は再生を止めた…こいつはなんだ?この猫の霊だとでもいうのか…?じっとしていても仕方がなかった、俺は再生を押した…


そいつは、カメラを覗きこんだあと、ゆっくりと溶け始めた、水性絵具が水の中で溶けるみたいに…ゆっくりととてつもない長い時間をかけてそいつは溶けた、そいつが溶けてしまうとあとには裏返ったような眼球だけが残った、一匹の蛾がそのそばを舞っていた―目玉はあたりの感触を確かめるみたいに左右に揺れたあと、ポーンと跳ねて猫の身体の中に戻っていった、すると猫の身体は砂山のように崩れ…腐りきれなかった内臓と骨だけがそこには残った、無数の蛆が蠢いていた…


部屋の中で、激しい猫の鳴き声が響いた、俺は反射的にあたりを見回した、猫の姿などそこにはなかった、当り前だ…安堵しかけたとき、頬に何かがへばりついた、指で拭ってみると、まさしくあの、猫から出てきたものが溶けたときに後に残されたものだった―俺は再生を止めた、なにかが部屋の壁にまとわりついていた…俺はパソコンの電源を落として、ひとまず外へ出ていくことにした、着替えて、外に出ると、玄関の側に一匹の猫がいるのを見つけた…そいつは黙って俺のことを見ていた、そこには怒りはなく、悲しみはなく…ただ黙って俺のことを見ていた、俺は何も言わず、何も思わず、その猫と見つめ合った…やがて猫は踵を返し、いずこかへと去って行った…俺は出掛けるのをやめて、部屋に戻った…そこにはあの子猫の生首がひとつ、いつのまにか置かれていた…









映像は、どこかへ消えてしまった









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2012/6/18

さしこの今後を予想してみた  






・移籍後初コンサートでいきなりセンターあつかい。もともとのメンバーの反感買いまくり。
・しかし不器用ながらも役目を果たそうと頑張るさしこに、次第に考えを改めていくHKTメンバー。
・さしこ効果でHKTのメディア露出が少し増える(めちゃイケなど)。が、ライブ前にさしこ倒れる。医者は言う、「精神的に過労している」。
・HKTのメンバーたち何故か自己嫌悪に。秋元康が「さしこは絶対に乗り越えてくれる」とコメント。
・さしこが「とりあえず大丈夫です」というタイトルでブログを更新。点滴オプションでピース。記事には「少しやつれた様子」との記述。
・HKTのメンバーが奮起。「さしこさんの気持ちを楽にしてあげなきゃいけない」。
・さしこ復帰。HKTがシングルをリリースすることが発表される。タイトルは「だいじなともだち」。
・シングル発売。出荷台数が結構な数になったと公式発表。
・そしてついにさしこを交えてのコンサート。動員が結構な数になったと公式発表。
・年末のイベントでAKBと同じステージに立つも、「HKT48の指原です!」ときっぱり言うさしこ。ファンやAKBメンバーなどが「感動した」という。秋元康が「彼女は大きくなった」とコメント。
・セカンドシングルのリリース決定。タイトルは「ガールズfight!」
・シングル発売。出荷台数が以下略。
・2月ごろ「もうずっとHKTのメンバーでもいい、わたしの大切な仲間」とさしこがブログでコメント。
・3月、さしこが4月AKBに復帰することが突然発表される。秋元以外の人間が全員「複雑な気持ち」とコメント。さしこHKT最後のシングルは「卒業の日」。さしこHKTの最後のコンサートがそこそこの会場で結構な以下略。さしことHKTのメンバーが5分程度適当に抱き合ったまま動かないエンディングが語り草となる。
・4月、妙にスッキリした顔のさしこが、「スーパーさしこになって帰ってきました!」と記者会見でクソみたいなコメント。秋元康が満面の笑みで二度頷く。
・5月、さしこ復帰後のAKB初ライブ。さしこセンターで「だいじなともだち」を声も出さずに熱唱。歌唱後にあっちゃんが花束を持って現れる出来レ…ハプニング。さしこ号泣。総選挙への壮大な前フリ。
・そして総選挙。ひとりまたひとりと順位が発表され、気持ち悪いコメントをしては抜けていくなか、呼ばれずに残っているさしこ。プレッシャーに押しつぶされそうな表情にカメラがウザいくらい寄る。
・一位発表。「指原ナントカ」。小熊のような顔で泣きながら喜びを語るさしこ。「私はAKBと一緒に死にたい」とコメント。ファンやメンバーの感動を呼ぶ。もらい泣きする大島。AKB、HKTのメンバーが全員ステージ上がり、彼女を祝福。「涙が出そうになった」と秋元康がコメント。「帰ってきてくれてよかった」とたかみながブログでコメント。
・さしこセンターでシングルリリース。曲はもちろん、「だいじなともだち」。HKTとジョイントでコンサートが行われる。



ハイ
よかった
よかった。
(´∀`)



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