2016/4/21

白紙のページには何かを書いておけ、次はそこから始めればいいという目印に。  











横滑りする思考が頭蓋の内壁に残した掻き傷、そいつが過去や現在をイレギュラーに跳ねさせてマインドは行き場のないジャンプでいっぱいだ、昼なのに薄暗いのはきっと雨のせいなんかじゃない、なにかが俺の瞼をひどく圧迫してるせいさ、祈りも怒りもポエジーも役に立たないので、街中で無差別に人間を殺しまくるゲームに2時間ばかり興じた、そのせいかどうか分からないけど午後にはどんな痛みもすっかりなくなった、気持ち悪いくらいにスッとしたぜ、うん、分からないけどきっとそのせいなんなんだろうな、インスタントのコーヒーを飲みながらぼんやりと考えた、午前の痛み、午後の解放、身代わりになってくれる誰かを探してる、ゲームの中に、ドラマの中に、現実的なくだらない事件の中に、それがやる側かやられる側なのか、どちら側に立つべきか、どちら側なら満足なのか、そんなことまではまだ考えちゃいないけどね、でも、例えば、こんな風に言うと分かりやすいかな、近頃じゃなんだか俺の住んでる国も、総理大臣のせいで戦争に行かされるかもしれないなんて話がまことしやかに囁かれているけども(個人的にはあれは鍵がひとつ外れるだけのことであって、そんな風に考えるのはあまりに短絡的だと思うのだけどね、まあ、政治がどうのなんて話は詩人がやるべきことじゃない、そんなことがしたけりゃ活動家にでもなればいい、もちろんそれが、インターネットで罵詈雑言を並べ立てるだけのお粗末なものでも全然構わない、そのレベルの人間はまるで俺には関係がないからだ)、どいつもこいつも死にたくないっていう話ばかりしてる、だけどねいいかい、戦争ってのはこちらが殺すことだって出来るんだ、そんな風に考えて見たことはあるかい、戦争が始まれば殺人事件は減るはずだぜ、断っておくがこれはモラルの話じゃない、それぐらいのことは理解してもらえてると思うけどね、だけどさ、少し違った話になるけれど、芸術っていうのは本能が廃れていない人間がそいつを上手く消化するための手段だと俺は考えているんだけど、そういう枠に当てはめれば戦争には確かに芸術的な側面があるぜ、そんな顔すんなよ、物事の捉え方は柔軟な方が世界は楽しいものさ、その何倍も何倍も、しんどいことが多いのもまた事実だけどね、でもそれを選ばないよりは、選んだ方がずっとマシだって、選ぶべきだって俺は思ってるんだ、もちろん、誰かにこっちを選ぶべきだなんて話もしていない、俺にとって他の誰かの言うことがほとんど意味を持たないように、誰かにとっても俺の言うことなどほとんど意味を持たない、本当はきっとそういうものなんだ(もっとも、やたらに自分の言うことに意味を感じてもらいたがっていたり、誰かに意味あることを言ってもらいたがっていたりする連中もビックリするくらい世の中にはいるけどね、まぁ、さっきと同じさ、そんなレベルにまで関わっていたら意味がないものね)、意味か、意味なんてものは幽霊と同じだ、あると思うやつにはそれはあるだろうし、ないと思うやつにはまるでないものだ、あると思っているのに見えないこともあるし、ないと思っているのに見えることもある、そしてそれは、いつでもそんな風に見えるものではない、まったくない、自分がその時なにを求めているか、どこへ行きたいかによって、同じものは違う風に見えてくる、そしてそれは節目節目にそうなるものでもなくて、ウンザリするくらい連続して目の前にある、そいつを疎ましく思うなら選択肢のない道を「選ぶ」べきだ、でもさ、もう俺がなんて言うか分かってるだろうけど、ウンザリするくらいなにかが蠢いている方が生きて行く分にはずっと面白いだろうなと思うわけさ、さあ、戯言はやめて晩飯の準備だ、足りないものを補って置きすぎてるものを使うのさ、そうして今までそこにあったものとはまるで違うものが出来上がるんだ、なぁ、晩飯の準備って、結構エキサイティングだよな。











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2016/4/17

僕は死に始めた  










僕は死に始めた、見慣れた部屋の中で
僕は死に始めた、変わりない日常の中で
僕は死に始めた、まだ果たせぬ思いのまま
僕は死に始めた、いびつな過去を抱いて


石灰色の目覚めがこめかみを締め付ける
落ちて溶けた絵具のような空気が
沸点の低い液体のように燻っている
弛緩し尽くした肉体に火を入れて
湿気に具現した夢を吸った寝床から立ち上がる


ロック・ミュージックの残響、グラステーブルの水垢の上に
プログラムされたスネアのリズム、鼓膜に微細な穴を空け続ける
あちこち欠落した三半規管が受信する信号は
誰かを殺戮するには申し分のない羅列
窓を開けるころには武器を手に入れてる


地獄の門の上であの男が考えていたことには
きっとそんなニュアンスが込められているはずだ
だってあいつはそんなところまでわざわざ出向いて行っちまったんだから
行動の後の思考にはほとんど意味はない
そこに来た時点でそいつはもうほとんど決定している
面倒くさそうに折り曲げた膝は
その時に対応するためにじっとしているのさ


突然に、不気味なくらい、暑い春の日が来て
隣の島ではマグニチュードが更新され続けている
だからなんだ、災害で死んだ連中は
人知れず死んだ者たちよりも尊いのか?
とっつき易い不幸や愛が重宝されている
誰かがどこかからぶら下げてくる情報に
拾うべきものなんかもうほとんどない


僕は死に始めた、遮光カーテン越しに照りつける太陽の光の中で
僕は死に始めた、遠くから遠くから聞こえてくるもう歌えなくなった誰かのメロディーの中で
僕は死に始めた、餓えた餓鬼どもの群がる汚れた道の上で
僕は死に始めた、ころころと形を変える空の気まぐれの下で


何度も読み返した推理小説が読みかけのまま放置されている、それは僕に曖昧な状態で継続している命の定義を連想させる、屋上にもう食いたくなくなったパンを細かく刻んでばら撒いている、丸々と太った鳩や、雀や鴉らがどこかからやってきて、バイキング料理に群がる脂肪詰めの肉体を持て余した女たちのようにそれを啄んでいる、単純なアイコンを拒否しているとすべてが複雑に絡み合って、それを何と呼べばいいのか判らないなんてことはしょっちゅうだ―僕のアイコンは混沌を許容する、というよりむしろそれだけで成り立つものを喜んでいる、チェックシートを塗り潰すようなプライドなんか持ち続けても仕方がない、確信や直接性とは無縁の世界の中で僕は死に始めた、僕の混乱、僕の腐敗、僕の断末魔、僕の躯―それをフローリングに転がして僕を見限った何かは時の声を上げるだろう


ロック・バンドはスローなナンバーで息を整えている
太陽はひと時雲の中に姿を隠す
正午を告げるサイレンの後は不思議なほど車の通りも少なくなって
メイジャー・コードの循環は美しい庭の陽だまりを思い起こさせる
時間には縛りがない、過去も、現在も、未来も…気まぐれの中で自由自在だ、どんなものだって裏切れる、どんなものにだって忠誠を誓える


憎しみは心臓に集中する


僕は死に始めた、タービンは青白い煙が出るくらいに回転数を上げて、張り付けられた日常の連続の継目を焼き切ろうとしている、途切れるとき、それは新しい何かと繋がろうとするとき、折り曲げた膝をいつでも動かせるという気持ちさえあればいつだってそこに飛び込める、僕は死に始めた、一枚のディスクがハモンド・オルガンの響きと共に終わってからはトレイは沈黙し続けている、まるで新しい信号を待っているみたいに、僕は判っている、僕はすべて判っている、断絶と連結の連続、羅列すればすべて一本の線に見えるだろう


汗が流れ始めて筋肉は解れてくる、朝食を詰め込んだ胃袋はおどけた音を立てて食い物を見分している、座り続けたせいで神経が焦れている、殺戮の準備はとっくに整っているはずだぜ、羅列になんて何の意味もない、単語になんて何の意味もない、言葉になんて何の意味もない、すべては簡単に裏切ることの出来る出来事、僕は武器を手に入れて、片っ端から撃ち崩す、吐き出して意味を持たなくなったものたちが弾け飛んでいく


返り血を浴びて浴室に飛び込むと、足の裏にこびりついて凝固した血で滑り、冷たいタイルの上に腰をしこたま打ち付ける、僕は笑い始める、真実はいつでも滑稽な代物だ、笑い声が反響して、開いたままの小窓からそこら中に飛んでいく、四月の午後が滑稽に暮れていく




そら見ろ、僕は死に始めた!










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2016/4/7

独白は無責任に(けれど真剣さを持って)  














生温い雨に濡れながら午前二時、あらゆる神経が脳天に向かって空虚を届けるころ、おれは寝床を拒否してキーボードを叩いている、ヘッドフォンのなかではインプロビゼイション・ノイズが存分に掻き回している、おれたちが人間でないものになるために芸術は存在する、存在せよ、たましいのまんまで…肌を撫ぜる真夜中は母親のようにそう諭している、たったひとつの鍵盤の音があらゆる扉を開くタイミングを知っているか?それがどんな感覚かなんて到底説明することは出来ないが―長く追い求めていればそうした感覚は時折訪れる、距離を必要としない友達のように…さて、人生はたくさん過ぎて行った、あとどれくらいが残されているのか見当もつかない、だからおれはあっけらかんと眠ることが出来ない、もっともそんなことがはっきりこうと知らされたところで、それをなるほどと受け入れたりするかどうかはその時になってみないと判らない、まあ、そんな時が訪れるころにはおそらく、すべてのことは手遅れになっているけれど…このところこの時間にやかましく地面を掘り起こしている工事も今日はないようだ、おかげでほんの少しこころに余裕がある、まったくあの重機の騒音と来たら…!眠る、という行為について少し掘り下げてみたことはあるか?子供のころに、不思議に思ったことはないか?どんなに寝つきの悪いやつでも、目を閉じて開いたら一瞬のうちに朝が来ていたなんていう眠りを体験したことがあるだろう、そんなとき自分がどんな時間の中を歩いていたのだろうかと考えてみたことはないか?おれは子供のころいつでもそんな時間について考えを巡らせていた、おかげでその時そこに在った現実のすべてがおろそかになってしまうくらいに―知らない時間を知ること、知らない時の流れについて決着をつけること、あのころおれはいつでもそのことにこだわっていた、何度か友達に話してみたことがある、不思議に思わないかと、一度眠りに落ちると知らない間に朝になっている、ぼんやりと授業を受けているといつのまにかその日の時間割が終わり、自宅に帰って食事を食べている…おかしいと思ったことはないか?どうしてそうなっているのかと思ったことは、ないか―?おかしなことを言うね、と友達は笑った、そうして話題はほかのことに移った、どんな話題だったのかも思い出せないくらいにささやかなものに―思えばおれはそんな時代のほとんどを、眠り続けて暮らしてきたような気がする…言葉通りの意味ではなく、なにかしら興味を引くものについて、目を引ん剥いて凝視したりするようなことがほとんどないままにそんな時代を過ごしてきたような気がする、もちろん、まったくないわけではなかった、おれの時間について、おれの人生について、必要ななにか、こころを騒がせる何か―微かなヒントくらいは転がっていた気がする、もちろんその時にははっきりそれがそうだと認識するようなことはなかったが…なぜか記憶に残っているささやかな場面のいくつかがそんな示唆を含んでいたのだとずいぶん後になって気づいたことがたくさんあったような気がする、もういまではそれらは妙に現実感のないものとなって脳味噌の片隅に転がっているけれど…信じられるか?自分が十に満たない子供だった頃のことなんて―もうそれはおれにとってなんの意味も持たない、その時代の出来事の数々はもう絵本の中のことのように現実味を欠いている―ともかく!おれはいまでもそんな時間の流れの中に居ると感じることがある、授業はなにも終わってはいない、そう、そんな風に感じることがある、ただ無為に通り過ぎていくだけの時間、あのころよりもいくぶんはまともで、いくぶんは狂っているこの脳味噌をかすめながら通り過ぎていく時間、人生―そんなことを、やたらに咎める連中が居る、時は戻らない、懸命に、がむしゃらに、二度と訪れないこの時を―ハン、お笑い草だ、そんな生き方を望んだらあっという間に頭が煙を吹き上げるだろうさ…時間なんてそのほとんどが無駄に過ぎて行くのみだ、それはおれたちには太刀打ち出来ない代物だ、どんなに回転数を上げたって―過ぎて行く時に追いつくことなど出来ない、大事なのはそんなことじゃない…時間の中にどれだけ自分の撃ち込んだ穴ぼこを残せるのか、しいてスローガンのように語ってみせるとしたらそんなことさ、その瞬間、確かになにかしらを人生にぶち込んだと感じられるかどうか…大事なことはそれだけさ、そしてそれは意外と簡単に出来るもんなんだ―さて、おれはもう三十分ほど、キーボードを叩き続けている、人間でないものになるってどういうことか判るか?思考することに左右されないということさ―この羅列はおれがなにがしかの見解を持つ前に書き込まれている、それがどういうものなのかなんて突き詰める必要はない、いまこの瞬間に頭の中を駆け巡ったいくつかのものが、幾日か眠りを繰り返したあとにそっと語り掛けてくれるだろう…










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