そこが始まりとするなら辿ってゆくだけのことだ  



冷たい水が流れてゆく先は
ここよりもっと暖かいところだろう
冷たい心が流れてゆく先は
ここよりもっと冷たいところだろう


名もない小さな流れに右手を浸して
青い星の温度を知る
景色はしっとりと口をつぐんで
ここに俺が居ることなど意に介さない


地平に穿たれた
槍のように真っ直ぐな木々は
先を争うように空を目指して
ただでさえ心許ない梅雨時の空を隠す


その空が教える歌は
きっと俺には判らない言語だろう
その空が見下ろす世界は
波ひとつない凪の海のようなのっぺりとしたものだろう


身体は汗をかいているのに
風は骨に届くほど冷たい
迷い込んだ道の終わりは
「もうなにもない」と語るように
こちらに向けて開かれたふたつの手のような低木だった


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