2011/2/20

そして誰かがお終いの合図を出すのを待つ  






壊れた夜の片隅に身を置いて
時間の概念を分解してゆく
捨てられたまま白骨化した子猫の死骸と
使われなくなった給水ポンプの中の
身元不明の腐乱死体
道端で見た光景と
ニュースペイパーの小さな記事の
ごくごく個人的なリンク
飲料水の鉄分が余計な想像を起こさせた
フィードバック・エコーのキツ過ぎる
思考が目眩する午後と午前の中間
カナル型のイヤフォンで防げるものは
数えるほどしかないんだぜ、ベイビー
春にはたくさんの人を見送る
そんな思い出しかない
鎮魂曲がひっきりなしに流れるプレイヤーの
インジケーターの曇りは誰かの心を肩代わりしているみたいに見える
つまらない映画を早送りするみたいに
雲が流れ続けている、ここ数日
零下の風を浴び続けて
口下手に拍車がかかってるやつの
胸元にはたいてい詩人と書いてある
台所の水滴
硬く硬く栓を閉じたはずなのに
気まぐれに振動に押し出されるいくつかの水滴
俺はいったいどちらを呪うべきだろうか?
秒針の音がしない時計では
時間が進んでいることが判らない
そんなレベルに俺も支配されているのか?
ゆっくりなくらい息を吐いた、不自然なくらい細く長く
ある種の恍惚とともに死んでしまうかと思った
俺には死んでしまうだけの理由があるだろうか?
秒針の音がまるでしない時計は
油を注し過ぎたからくりのように
慣れ過ぎた仕事のようにゆっくりと回っていく
この部屋では多分刻むのは俺の役目なのだ
カーテンを開け放して街の明かりを眺めている
陽気な声がこだましている
誰だって少しぐらい薄暗くならなけりゃ
本当に叫ぶことなんて出来ないのかもしれない
今日最後の路面電車が通り過ぎてからもうどのくらい経ったのだろう?
数えられないものほど数えてしまうんだ、いつも
数日前の雨の匂いはとっくに消えてしまって
渇いた街の上に立つやつらはみんなどこか
ひとつの出来事が終わってしまったみたいな顔をしている
それは有名なギタリストの死のニュースのあとの表情に似ている
もう鳴らない音が少しずつ増える
もう聴こえないリズムが少しずつ増える
とてもたくさんのものを失ってきたのに
どうしてこの手の中にまだ新しい命は宿らないのだろう
出来ることは限られている、否定的な意味でも、肯定的な意味でも
一番ベーシックなリズムを掴んで継続する
それ以上の決意なんかたぶん必要ない






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