ばらまかれて勝手に意味を作り上げていく(もうすぐ日付が変わる夜に)  

























猛り狂っている闇の濃度はストーンズの望むレベルをも遥かに凌駕していて、それはもはや景観というより心情とでも名付けた方がしっくりくる位だった、もちろんそんな感覚をそこらへんの連中に理解してもらおうとは到底思わない、それはそんな闇の在り方を確かに目の前にしたことがある人間にだけ理解してもらえればそれでいい、カーペットはほんの少し湿気ているように思える、雨の予報はなかったけれど午後に少しじめついた空気がこの辺りを支配したことがあった、原因として思い当たることがあるとすればきっとそれだけだ…さすがにそんなことには心情とリンクする必然性がないだろう、感覚の表現というものは正確な位置というものがない代わりに、抽象的な説得力とでもいうようなものが必要になってくる、一見訳の判らない言葉の羅列が誰かにとって深い意味と成り得るのはそのせいだ、それは例えば言葉そのものが持つ意味ではなく、羅列が持つ意味であったりする、ひとつの意味が意図的にみっつ並べられると、最後には新しい意味が生まれている、そういう読み方が好きなやつって決して少なくない―そういうものを書いている俺が言うんだから間違いない―彼らは知っている、何故これが羅列されているのか、何故これがこのサイズを必要としたのか…そうしてその渦の中に飛び込んで鼻息を荒くしている、それはイメージによる過去の再構成だ、そして再構成には必ず検証というものが付いて来る、彼らは羅列に身を投じることによって、自分がいつか眺めたとんでもない闇の中に隠れていたものを知る、もちろん、それが知ることが出来る領域にあれば、ということだが…知ることが出来る領域にある、俺も以前はそうだと感じていた、とことんまで突き詰めればそれはきっと明らかな姿をいつかこの目の前に晒してくれるだろうとそう思っていた、だけどそれはそうじゃなかったんだ、こんな羅列の中に飛び込んで行こうなどと考えた時点で―イメージが持つ意味を手段として選択した時点で―それは生涯目にすることの出来ない逃げ水のようなものなのだということを、ある地点で急に気付くことが出来た、それがたまたまだったのか運命だったのか、あるいは俺自身の持つ力だったのか、それは判らない、ただそれはある時スライドが切り替わるみたいに入れ替わったのだ、知ることは出来ない、だから追いかける価値がある、俺はシフトチェンジをした、のめり込むように叩きつけていたイメージを姿勢を正して並べていくようになった、つまりそれは情熱の段階を越えたということだ、まるで戦いにでも赴くみたいに気を吐いて望んでいた作業を、パスタを啜るように行うことが出来るようになった、それは俺にとって確かな力の表れだった、こうしたものに傾倒するやつらは得てして大きな勘違いをする、それに臨む姿勢や、エネルギーの質量や、並外れた集中力や―ある種の傲慢さなんか、実によく目にすることが出来る、そりゃあもう欠伸が出る位さ、まるでなにを書くかよりも、どんなふうに書くのかという部分を大事に思っているみたいだ、それが証拠に―そうしたやつらは作品よりも無駄口の方が異常なまでに多いだろう?その無駄口の内容だって、まったく欠伸が出るようなシロモノさ、なにもあらためてそんなこと口にしなくたって―そんなふうに忠告してやりたくなるようなものがゴロゴロしてる、でもだけど仕方がないよね、たいていの人間にはそういう時期って少なからずあるものらしい、俺にはなかったからよく判らないけれど…もしもそいつがまだ若いなら、許容して、温かい目で見てやればいい、でももしもある程度歳を食った人間なら―そんな人間は相手にしないことだ、ごっこをしたい時には役に立つかもしれないけれど逆に言えばそんな時でもない限りそいつはどんな役にも立たない…部屋にはノイズミュージックが流れている、クラシックなものが好きな連中はそんなものには何の価値もないと言う、だけど俺に言わせればただ生まれた時代が違うってだけで、どちらも同じ音楽なのさ、パガニーニのヴァイオリンを初めて聴いた時、俺はジョンゾーンを思い出したぜ―保守と進化はある意味で同じスタイルだ、守りたいのなら進化しなければそれは必ず自家中毒に陥ってしまう…今夜は少し涼しい、俺はイマジンと追いかけっこをしながら、真っ当な眠気が訪れるのを待っている、やつは俺を騙すのがとても好きだ、だからこんなものが生まれてしまう、もうすぐ日付が変わる夜に、もうすぐ日付が変わる夜に、イメージが俺のディスプレイを駆け回る、俺がそれを理解する前に、また新しい一行が印字されていく、そのうちのいくつかは判らないまま忘れ去られるだろう、でもある日突然リアルな啓示をもって目の前に現れることだってある、昨日の新聞なんか誰も読みたがらないけれど、昨日の感情は時折人を新たな感覚に踏み入れさせるための礎になることもある。














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