介護者の中には、ボケた人には「理屈」が通用しないという事が理解できてない人が少なくありません。
人間は「理性と感情」で、すべてのことを判断する動物ですが、ボケた人はボケたことによる「大きな記憶障害」によって、「理性と感情」のうちの「
理性」の部分が弱くなっている状態にあります。
それは常識や論理、理屈などの『理性』が欠如した状態だと考えたら解りやすいかもしれません。
という事は娘が母親に『しっかりしなさい!!』といくら怒鳴っても、注意してもボケが始まっている母親には『なぜ怒られているか』が全くわからないのです。
ただただ誰だか知らない人が、顔を真っ赤にして目の前で怒鳴っているので『怖い!』という感情だけが動いているのです。
そして怖いから、ますます暗い気持ちになっていきます。
そうなれば『ボケ』はさらに泥沼に入っていってしまうのです。
ある病院では、スタッフは笑顔を欠かさない。
『○○さん、おはよう!』と笑顔で語りかける、もちろん今が朝だか夜だかわからなくてもいい。とにかく笑ってる人が来たという事がボケた人には重要なのです。
それが情緒の安定にも繋がっていき、情緒が安定する事はボケの進行が遅くなるという事なのです。
ボケた人には理屈が通らない分、より『感情』が強く、敏感に伝わる事を介護する側がよく理解しなければならないのです。

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