甲子園での、巨人戦の2試合目。
私は、ここ数日の貧打症からか、戦前は「上原に初勝利を献上する」という感覚が、拭えきれませんでした。
初回赤星が2ベースを打ったのに、0点で終わってしまった
攻撃を見て、不安がますます強烈なものになってくるわけです。
「あ〜やっぱり、こういう展開?チャンスを掴みきれないで
ズルズルと、このまま終盤まで行って、最後はクルーンで・・・」
なんて思っていたのですが、そこは今年の上原でした。
私は今年の上原をあまり見ていないので、状態の悪さは聞いていたのですが、噂半分ぐらいの感覚でいました。
しかし上原の状態というのは、聞いていた噂よりも強烈に
「悪い」という印象ですね。
序盤140キロ代の速球を投げていたのを見ると
「悪いの?」と思いました。ただ3回ぐらいから、キレも速度も無くなる姿を見て、深刻度をまざまざと見させてもらった次第です。
本来の上原というのは、真上から投げおろす「キレのある
速球・フォーク」が抜群の投手です。
縦の変化が持ち味の投手なわけですから、アウトを取る方法は、三振という形が多くなると。
しかし、三振を取るのは最低でも3球は投げるわけで
どうしても球数が多くなってしまうわけです。
そこに、昨年はストッパーという形でしたから、先発として
1年間のブランクを埋めなければいけない、という思いもあったのでしょう。
先発投手として「長いイニングを投げる」という目的を達成する為。一年間のブランクを克服する為。
打者を詰まらせて「打たせて取る」という、出来るだけ球数を少なく完投できる方法を模索した結果「ショート習得」を今年から目指したと思うわけです。
そこに不振の原因があったと。
シュートやスライダーなどを「曲げ幅を大きくしよう」と思えば、どうしたって腕の振りは「横振り」となってしまうわけです。横回転を強く与えようとすればする程に。
縦の回転が無くなった上原は、云わば「羽をもがれた鳥」だと。
そういう上原に対して、しっかりと対処した阪神打線でした。
この上原を打てなかったら、チームとしての貯金を積み上げてきた自信が、一気に崩壊してしまう可能性を感じていたので、胸を撫で下ろしました。
特に、5番の葛城が結果を出せたのが嬉しかったですね。
色々な起用法をされる中で、なかなか状態を保つのも難しかった事でしょう。そういう厳しい環境の中で、結果を出せたわけです。精神がまた一歩、逞しくなったと思う次第。
今日の巨人先発は、左腕の内海が濃厚です。左腕ですから、葛城はスタメンでない可能性は高いでしょう。
ただ左腕だろうが、葛城の精神力に今は頼った方が、打線としての流れは、崩れないと思うのですがね。
内海に対して、今岡やフォードが対応出来るのか?
厳しいでしょうね。
話は変わって、先発で初完投勝利をした岩田について。
序盤の変化球を四隅に入れようとした、汲々としたピッチングを見て「また同じ失敗を繰り返すつもりか!」と憤怒したわけです。しかし、中盤から終盤へと見違えるようなピッチングをするわけです。
そこには、思い切って速球を投げ込む姿がありました。
私は彼には、変化球でかわすピッチングはして欲しくないわけです。下柳のような技量は、まだ持ち合わせて無いわけですから。ですので術に走れば、自ずと墓穴を掘ってしまうと。
術よりも、力で押しこむピッチングを彼に望んでいたのですが、ようやくそれを見せてくれました。
力で押し込めたら、変化球が少々甘くなろうが抑える事は出来ます。打ち損じも増え、自然に球数も少なくなると。
それで完投に繋がったと思えば、彼にはこのピッチングを
基本線にして、これからドンドン活躍してほしいですね。
このピッチングを安定して出来るようになれば、もう大丈夫でしょう。
さて本日の対戦投手は、内海でしょう。
打ち崩すのは難しい投手なので、先発投手の我慢が要求されますね。もし打ち崩せたら、阪神の勢いは、ますます加勢するのでしょうがね。

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