ちょっと「詩」を、ここで一つ紹介しよう。
これ漢の二十世
任ずる所誠に良からず
沐猴にして冠帯し
知小なるに謀 強し
猶予して敢えて断ぜず
狩りに困って君主を執らう
白虹 為に日を貫き
己また先ず殃を受く
賊臣 国柄を持し
主を殺して宇京を滅ぼす
帝の其業を蕩覆し
宗廟似って燔喪す
播越して西に遷移し
号泣して且つ行く
彼の洛城の郭を瞻て
微子為に哀傷す
これは、昔々の中国のとても有名な歴史上人物の詩です。
僕の爺ちゃんのライフワークでもあったのか、「歴史書」みたいなものが、僕の家にはズラ〜っとあるわけです。子供の時に僕は、勿論手に触れたことは無かったが、でもある時期になると、なんとなく興味が湧いて、少しずつ読み始めるのだが、もう難しい漢字が並んだ文字ばかりの本なわけです。普通は読めないのは当然なのだが、なんと爺ちゃんは全ての本を、訳してあるわけです。
これは「凄い!」なんて、少し爺ちゃんを誇りに思いながら、訳した文を書いたのが上の「詩」です。訳しても難しいのですが、意味としては
漢の世も20世も過ぎると、でたらめな臣下ばかり集めるようになった。
かつて項羽のことを「冠を被った猿」と笑った男がいたが、あの何進も同じようなもの。知恵が足りないのに大それた事を企み、グズグズして決断できないでいるうちに、宦官どもに帝の身柄を抑えられてしまった。
そのため白い虹が太陽を貫くという不吉な現象が起こり、何進も宦官に殺されてしまった。かつて董卓が朝廷を独裁して、帝を殺し都を破壊しつくした結果、漢の宗廟は焼き払われ、帝室の基盤は根底からひっくり返されてしまった。
都は西の長安に移され、人々は号泣きしながら追い立てられた。廃墟と化した洛陽の町を見て、かの微子が殷の廃墟を見て歌った「麦秀の歌」を思い出し、ただ悲しみにくれるばかりである。
今の政治を見ていると、昔々の中国の偉人による「詩」をちょっと、引っ張り出してみたくなったで候。
金持ちが得を得て、貧民に負担を掛けるばかりで、何が政治なのだ?何が改革なのだ?「郵政民営化」がどれだけ素晴らしいと言っても、もっと先にすべきことはあるのではないか?
人々が号泣きしている時代に、あなたは何を思いますか?刺客となった人は、何を考え刺客となるのですか?今の時代において、何を考え政治家となるのですか?専制となりつつあるの小泉政権に、どう民主政治を問うのですか?
戦乱の中国の世にあって、迷惑をこうむるのは、いつも底辺の民衆である。それを憂い、なんとか戦乱を収めようと、躍起になった偉人がいたわけだが、そういう「底辺の痛み」を考えられる政治になって欲しいと、つくづく思うで候。

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