2008/9/21

松涛美術館の「大道あや展」。
展示会は残り二日。土曜日でもあり、いつも静かな美術館は通常より賑わっている印象だった。
松涛美術館は、好きな美術館のひとつでもあるので、なんとなく足を運ぶ事があったが、最近は歳のせいか、渋谷の子供じみた喧騒を抜け出すだけで疲れてしまい、億劫になっていた。
「大道あや」は、電車内のポスターを見るたび気にはなっていたのだが、今回は流そうと思っていた。
「今回は・・・」と言っても「次回」が無いことを重々承知で。
お誘いくださったMさんに感謝感謝。
現在百歳になる画家の作品は、粘り強く観察し、身の回りを大切な物たちに囲まれていることを想像させる、おおらかな緻密さと鮮やかな色、静かではあるけれど強い意志に彩られ、時間を忘れさせた。
70歳という歳で突然絵を描き始めた母親同様、60歳から絵を描き、院展の入選や受賞を目指し、実現させ、描き続けた力は、どこから来るのだろう?
血?才能?気持?
描かずにいられない気持。描き続けようとする気持。
てらいの無さが心地よい。
けして上手いとは言えない、画布の犬や猫がいとおしい。
ヨーロッパの街角を描いた「日曜日のハメルン」は部分により細密で、安野光雅を思い出させるが、彼のアカデミックなテクニックとは両極にあるようなおおらかさが嬉しい。
花火師の夫を亡くし、冥福を祈るために泣きながら描き始めたが、心のバランスを失い断念し、1年後に描きあげた「しかけ花火」は厳しく美しく哀しい。
そして、童画に登場する、犬、猫、蛙、魚達は、ユーモラスで愛らしく、思わず頬が緩んでしまう。
彼女の集中力に脱帽。
「大道あや展」にて
点描の血の一滴や昼花火 人魚

投稿者:ningyomn
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