
写真:下記より
http://www.watarium.co.jp/exhibition/0908/index.html
ワタリウム美術館のルイス・バラガンの展覧会は、良くある、建築家の展覧会の様な、作品の写真の羅列や、建築模型は無く、メキシコのパラガン邸から運ばれた、家具や、アーティストの作品によって、彼の想像力の原点とも言える自宅が再現されています。
最近このような、住居の再現企画にしばしば出会いますが、大きな美術館とは違う臨場感を感じました。
1階吹き抜けスペースに植物を置き、それなりに庭を再現しているのが成功の要因のひとつと言えるでしょう。
24日までと言う事も有り、多少混みあってはいましたが、その空間から、バラガンの感性や、パワーの素を感じるには充分でした。
私の表皮全体が、圧倒的な力を空気から吸収したようにさえ思えます。
その力は、静かで優しさに満ち、メキシコの強烈な太陽や熱狂とは違う、豊かで、穏やかな大いなる大地のパワーの様に、じわじわと染み込んで来るのです。

写真:同上
「バラガン邸のティータイム」
この、バラガンデザインのテーブルで、メキシコのお茶を飲みながら展覧会の解説を聞く事が出来ます。
毎日17時より、10名まで。(無料)
なんて素敵な企画なんでしょう!
流石 ワタリウム♪
ところで、このピンクの壁。
暖かく、優しく上品な大人のピンクです。
バラガンは、ピンク、黄色、紫を絶妙な色彩感覚で建築物に使用しているのですが、
メキシコ土産の民芸品の蛍光色の様なそれとは、全く違う品格を感じます。
日本の伝統色のようにも見えます。
また、色だけではなく、建築や、家具のそこここに日本的なテイストを感じます。
「南スペイン、北アフリカ、アルジール、モロッコを訪れ、それら地中海の建築とメキシコの民衆建築が、類似していると感じました。北アフリカやギリシャの島の白い家は、1〜2千年前から今まで存在します。アラブの宮殿は5〜6百年間そのようです。それらの建築は時代に属さないので古くなることはなく、それゆえ失われることのない永遠の建築です、そのことに私は大変興味を抱きました。Luisu Barragan:Escritos y Conversaciones より
もし彼が、このとき日本を訪れていたなら、間違いなく「日本」の文字をこの言葉の中に見ることが出来たでしょう。
バラガン邸の映像が会場で流されていますが、書架には「日本のものとかたち」と日本語で書かれた背表紙が見えました。
アーティストに限らず、アスリートや、何か素晴らしい事を成し遂げた人は、素晴らしい言葉の数々を残しています。
神の啓示とも言えるような。
バラガンの言葉にも、沢山の啓示が有りました。
建築を特別なものにするとき、それは音楽になります。その音楽は、水で演奏されます。壁は通りの攻撃的な空間から静寂をうみだします。静寂から始め、水で音楽をつくり始めます。そして音楽は私たちを満たします。
Luisu Barragan:Escritos y Conversaciones より
現代精神は純粋さや厳格さ、素材の最適な使用を手招いています。・・・ある時代の美というものは、必ずその時代の精神と芸術の結束から生まれるのです。
1939年9月12日7Space and Shadow,Walls and Colour'より
「ルイス・バラガンの言葉 」ワタリウム資料より、抜粋。
ワタリウム 「ルイス・バラガン邸」を訪ねる。必見です。

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