2011/4/25

囀やステンドグラスの赤青黄 人魚
4月の兼題:囀り・陽炎・木蓮
今月から、会場が3Fから2Fに変わりました。
今までは、プライベートギャラリー&サロン「KIMA」でしたが、
2Fの商業スペースに移動し、「日本のものこと」(サロン&ギャラリー&オフィス)として、生まれ変わりました。
桃兎様の感性が凝縮されたような素晴らしい空間で、お茶室も設えられています。
日本古来の工芸技術や作品、伝統を通じ、その素晴らしさを現代生活に取り入れながら広めようと、これまでご活躍されていらした桃兎様が「一念発起して」とご本人はおっしゃいますが、「なるべくしてなった」本当に素晴らしい空間と、お仕事の内容です。
是非、庭園美術館からのお散歩コースに、お入れください。
さて、今月の句会ですが、兼題は、上記のとおりです。
兼題は、前月に出され、1か月間、「ああでもないこうでもない」と頭を悩ます事となるのですが、
今月は、あれこれあって落ち着かず、句詠は一夜漬けとなりました。
それが良かったのか、たまたま調子が良かったからか8句すべてに点が入り、静魚先生からは特選(3句)と、ほか3句にも選を頂戴しました。
ところで、俳句の楽しみの一つに、鑑賞があります。
名鑑賞で「まあまあの句」や、「迷句」が「名句」になることもあるくらいですから、「鑑賞」はとても重要な要素です。
作者の意図とは全く違っていたり、迷鑑賞に大爆笑することもあり、醍醐味ともいえるかもしれません。
会報誌「毬」での秀句鑑賞の名調子は勿論、メジャーな俳句雑誌「俳壇」「俳句界」角川「俳句」などでも作品力重視で的確に鑑賞をしていらっしゃる静魚先生に、点が入っても入らなくても、毎月鑑賞をしていただけるのは、まったくもってありがたき幸せ♪
そこで、名句とはいきませんが、今回投句した「人魚の句」を例に、静魚先生の鑑賞をご紹介しましょう。
句会は勉強でもありますから、より解り易くご指導と鑑賞をしてくださるので、今一度先生の言葉をかみしめようと思います。
囀やステンドグラスの赤青黄 人魚
静魚先生鑑賞:
「ステンドグラス」と「囀」という、一見全く関係のないようなものの取り合わせの句であるが、ステンドグラスの透明感やキラキラとした感じは「鳥の囀り」を連想させ、「音」と「色」を対峙させることにより、それぞれの印象が強調されている。
また、様々な鳥が声高らかに囀っている様子が、「赤青黄」というきっぱりとした色によって想像され、「囀り」という季語が活きている。
人魚:
まったくもってその通りで、チチチチ、ピピピピ、チュチュチュと様々な鳥たちがいっぺんに囀るのをを聞き、キラキラとしたステンドグラスを連想しました。
最初は同意の季語「百千鳥」で詠もうとしましたが、ステンドグラスというより、襖絵みたいですし、「赤青黄」が浮かんだ時に、「囀」にしなければ輪郭(句の印象)が薄れてしまうので「囀」としました。「囀り」と動詞にしなかったのも同じ理由です。
こんな風に、「わが意を得たり」の鑑賞をいただいた時には、「よっしゃ!!」と内心でガッツポーズ!スカッとします♪
陽炎やもののはずみのひとめぼれ 人魚
静魚先生鑑賞:
「一目惚れ」というものは、「もののはずみ」などではなく、何かそれなりの理由があるものなのだが、それを「もののはずみ」としたところに俳諧味があって面白い。
とらえどころのない「陽炎」の感じにもあっていて、季語が活きている。
「もののはずみ」などでは無いのであろうその訳を、そう言ったことによって、より奥が深くなっている句。季語以外をすべて平仮名表記としているところも配慮が感じられ、効果的。
人魚:
「しめしめ、やったね♪そうですともそうですとも。ここはどうしたって平仮名でしょ」
「一目惚れ」のように湧き上がる感情は、かくかく云々と説明をすると、ちっとも楽しくないし、そんなことをしようものなら、とたんに色を失う。
モヤモヤもメラメラも、しかと感じられる心をいつまでも持っていたいものです。
朧夜を鎖骨で支へ待ってをり 人魚
静魚先生鑑賞:
「鎖骨にのせる、鎖骨で〜」というのは、よく詠まれているが、「支える」は長年(先生は35年だそうです)俳句をやっているが、初めて見た。しかも、「夜を支えている」。
ユニークで良い、そもそも俳句は、「ああ、わかるわかる」では類句が山のようにあるわけで、駄目。ちょっと意味が解らないくらいでちょうど良い。個性が大事!
何の説明もなく「待ってをり」としているところも、「朧夜」らしくて良い。
説明し過ぎると、「ああそうですか!それがどうかしましたか?」となって、余韻が残らない。「なんだろう」と思わせて、色々なことを連想させるような句が良い。
良句、秀句は「平明にして余韻有り」。
人魚:
「一目惚れ」に続き、恋愛シリーズ第二弾!
朧夜を鎖骨で支えきれなくなったら、真っ黒な夜がずわっと広がって、泣き出して、もしかしたら死んで、しまうかもしれない。そんな気持ちでずっと待っているんです。
ほらほら〜!とたんにつまらなくなったでしょう?
言わぬが華、言い過ぎないが俳句?!
ここまでが特選の句です。
あとの3句は予選ですから、もう少し簡単にいたします。
家中のカーテン洗い上げ四月 人魚
先生:
清潔感が良い。「四月」の修め方も良いが、まあまあの句。この清潔な人は誰?
人魚:
そうでもないイメージの人魚でごめんなさ〜い!
幼子の柔きうなじや白木蓮 人魚
先生:
柔らかなうなじはいかにも白木蓮らしい。しかも幼子がなおのこと柔らかさを感じさせる。
ユニークさは無いがまあまあの句。
人魚:
孫が遊びに来ていて、詠まずにいられませんでした。類句がありそうな気もしますが。
夢に見る木蓮はいつも白です 人魚
先生:
秀句の条件の一つに、口誦性がある。
白木蓮というとこの句を思い出しそうな、そんな句です。
人魚:
幼いころ住んでいた家の庭に紫と白の木蓮があったのですが、なぜか紫は印象が薄い。
木蓮と言えば白。白い木蓮ばかりが頭に浮かぶのです。
逆あがり耳に巻きつく春の風 人魚
1点句。
先生:感性は悪くないですよ。
人魚:逆上がりが苦手だった人は、わかって下さると思いましたが、いまいちですねえ。
陽炎やゴッホの筆の動きして 人魚
1点句。
先生:ゴッホの筆致と陽炎は着きすぎじゃない?あまり良い句とは思わないなあ〜
人魚:ごもっとも。時間切れでまとまらず、この句を出すしかなくて。
長くなってしまいましたので、皆様方の句をご紹介しませんでした。
素晴らしい句が、沢山ありましたから、「KIMA句会主宰」の「桃兎の部屋」からどうぞご覧ください。
サイドメニュー「桃兎の部屋」をクリックしてくださいませ。

投稿者:ningyomn