ふとした事でその存在を知った、自衛隊戦闘食糧。
入手して食べてみました。美味いとか不味いとかはどうでも良く、どんな物なのかとにかく食べてみたかった。
日本中にカレーが広まったのは、旧軍の食事に採用されたからだと言う話があります。各地方から集まった来た腹を空かせた若者が初めてカレーと言う物を食べて、その虜になったのは容易に想像できる。
飯にかけて丼として食べることが出来るカレーは、軍隊の食事としては作るのも食べるのも好都合でした。野菜や肉のごった煮である為に、栄養補給の面でも優れた食事だとされた。カロリーが高いのも、究極の肉体労働に従事する者にとっては好都合です。
旧海軍の、いわゆる海軍カレーは、今の海上自衛隊にも引き継がれています。
ただ海上自衛隊の食事は船ごとに専用厨房があり、専任の隊員が作っている。そしてレシピは船ごとに引き継がれている為に、イージス艦『こんごう』と同型艦の『みょうこう』ではレシピが違っていたりする。
お互いに自分の船のカレーが最高だと言い張っているらしい。
脱線してしまいますが、鉄腕アトムの馬力は10万馬力だったのを覚えていますか。小さな体で巨大な岩石を持ち上げ、大型ロボットと戦った正義の味方だった。イージス艦こんごう型は満載排水量9485トンで、馬力は10万馬力。アトムはイージス艦と同じ馬力だったのだ。強かったのも納得である。(なんのこっちゃ?!)
現在の自衛隊は専守防衛を旨としているので、イージス艦にも対地攻撃用ミサイルは搭載されていない。従って海上自衛隊員が敵地に上陸して戦闘するなどということも、想定はできるのかもしれないが、公式に戦闘装備することはないはず。
つまり入手した自衛隊戦闘食糧は、海上自衛隊のものではないのだと推測できます。
陸上自衛隊の物でしょうね。陸上自衛隊ならば、某国のゲリラが敦賀の原発を狙って日本海側に隠密上陸した場合などを想定して訓練しているでしょうし。
でも実際は非常用の備蓄と言う意味合いが大きいのでしょう。
現実に利用されるとしたら災害復旧活動中かな。
それにしても『戦闘食糧』というネーミングは凄い。
とにかく自衛隊のカレーを食べてみようと言うのが始まりでした。

自衛隊戦闘食料はダンボールに入って送られてきました。左の方に缶詰があるのが分かるでしょうか。この缶詰型の食糧は、戦闘食糧T型です。
右の方に大量に入っているレトルトになっているものが、戦闘食糧U型。
U型の戦闘食糧は深緑色のレトルトパックに入っています。ご飯類のレトルト各種。
副食のパックにはいろんな物が入っています。漬物、味噌汁、メイン、と言うのがパック1つ分のパターンのようです。メインにはカレー、酢豚、中華肉団子、ハムステーキなどが入っている。結構バリエーションがあるようです。飽きないように色々揃えているんでしょうね。
それに熱源としてホカロンみたいな物が大量に入っている。
使い方を見ると、ホカロン3枚の間にご飯を2個挟んでタオルで包んで温めるらしい。やっぱり自衛隊員は一度にご飯を2つ食べるのか、と変な感心をしてしまった。
そしてこのホカロンが凄いんですよ。封を切っただけでいきなり発熱です。振ったり揉んだりしないのにですよ。それも暖かいを通り越して、かなり熱い。こんなもん、体に着けていたら火傷します。


左から普通のご飯、豆ご飯、カニ炒飯。この他に山菜ご飯なんて言うのもありました。
味は、普通のレトルトご飯なんでしょうか。レトルトのご飯って食べたことないので良く分からないんですが、温めた直後はなかなかの物です。
うるち米が入っているのでモチモチした感じです。冷めると直ぐ硬くなってしまうのは仕方がないのでしょうね。でも一緒に食べた人は、冷めた後のほうが美味いと言ってパクパク食べてました。


酢豚、ハムステーキ、ビーフカレーです。
酢豚のメーカーは知りませんでしたが、ハムステーキとビーフカレーは有名なメーカーが作ってました。レトルト食品で市販品を作っている会社の物ですから当り前なのでしょうが、どれもそれなりの美味しさです。
でもビーフカレーの味は、この会社のどの市販品とも味が違います。
やはりプライベートブランドみたいに自衛隊仕様になっているのかな。体が資本の人達用の食料ですから、いろんな注文が付いているのかも知れませんね。カロリーとか栄養価が市販品と違っていないと、逆に自衛隊員が心配になってしまいます。
味を総じて評すれば、どれもやや濃い目の味付けながら、しつこさは全くない感じです。


意外と美味しかったのがこの2品。
ソーセージの缶詰と、はりはり漬。
ソーセージの缶詰はスモークが効いていて、酒のツマミとして結構いけます。魚肉なのかと思う程度の肉だし、スモークと言っても燻製液に漬けてあるだけなのでしょうが、なんか良い感じの風味がある。これをツマミにアイラモルトをちびちびやってました。
チープな感じのはりはり漬。調味料バッチリの味付けなんですが、これも妙に酒がすすみます。戦闘食糧の付合せなのに酒と合せてどうすんだと言う気もしますが、下手なツマミで飲むよりはずっと美味しかった。
非常時には自衛隊員がこれを持って森に潜むんだろうか?
パックが深緑色なのは、やはり敵に発見されない為の迷彩色なのでは?
ゲリラと戦いながらオムライス食うのか? 絶対にただの保存食だと思う。
いや、名前通り戦闘用だろ?
どんな物か食べてみたいという理由だけで入手した戦闘食糧ですが、いろんな話で結構みんな盛り上がりました。早い話が、見た目も味もただのレトルト食品です。
市販品とはちょっと違うと言うことが分かっただけでも、話のネタにはなりますよね。
でもパッと見には分からないような、いろんな配慮やノウハウが詰め込まれているのでしょうね。
絶対にヘビーデューティのはずですから。

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