居酒屋の後にカルカッタの支店が出来て、南インド料理を出すらしいと聞いたのは1ヵ月くらい前だったか。
やっとランチに行ってきました。
西葛西南口のマルエツを越えた福太郎の先にある。
住所は
西葛西6−24−5。
以前この場所にあった居酒屋のランチが結構いけると聞いていたので一度食べてみたかったのだが、モタモタしている間に閉店になってしまった。
最近カルカッタ本店の料理人が変わって、チキンカレーの味が以前とは違うという話を聞いた。
それでなくても、北インド系のコッテリ料理は、歳のせいもあるのか、もたれる感じを受けることが多いので本店にも随分とご無沙汰している。
でも南口店では南インド料理を出すというので、急遽カミさんと娘を連れてカレーランチとなった。
日本有数のインド人街と言っていいくらいのインド人世帯数を誇る西葛西。
なのにインド料理店は少ない、と言うか2店しかない。
カルカッタとYUJIN。
でもYUJINはネパール人の店だからか、ものによってはカルカッタよりも重さを感じるときがある。カルカッタにしてもYUJINにしても、米よりもナンのほうが相性が良い。
パンよりも米食派である私にとっては、米と相性の良い南インド料理を出す店が出来ることは嬉しいことだ。
店の前の立て看板を見るとドーサランチの文字がある。
他にも色々とあるのかと期待しながら入ったが、メニューを見るとドーサとワダのみ。
カルカッタの支店が南インド料理を出すと聞いて、勝手にアヴィヤルやらポリヤル、クートゥなどのヴェジタリアン・メニューが豊富だと思い込んでいた。
私はただのカレー好きでインド料理フリークではないけれど、聞きなれない人のためにちょっと解説。
ドーサとかワダ(ヴァダ)というのはティファンと呼ばれる南インドの軽食です。
米粉と豆粉の発酵したもので作ったクレープ状のものがドーサ。
豆のペーストを揚げたドーナツ状のものがワダ。
アヴィヤルは茹で野菜をココナッツとヨーグルトで合えたちょっと酸味のあるもの。
ポリヤルとクートゥはダル豆と野菜使った料理。
簡単に言うと炒めた物がポリヤルで、ポテッと煮込んだものがクートゥだ。
ヴェジタリアンが非常に多い南インドではこれらの肉を使わない料理が中心になる。
北の方のように油脂や乳製品、ナッツ類を多用しないし、米食文化圏でもあるのだから日本人にとってはそれほど違和感なく食べられるものが多い。
そんなものを色々と出す店が出来たと思ったのだが、ちょっと期待し過ぎでした。
でも地元でサンバル、ラッサムとともにドーサが食べられるのは非常に嬉しい。
サンバルはダル豆を使った、味噌汁的存在ともいわれるカレー。
ラッサムは胡椒汁と訳されたこともあった、すっきりとした汁カレー。
この2つにヨーグルトとご飯があれば昼飯としては十分。
上左から、ラッサム、サンバル、ココナツチャトニ、トマトチャトニ、イドゥリ、ご飯。
クレープを巻いたようなものがドーサ。
上に乗っているのはパパド。
メニューにはアプラムとなっていたのだが、アプラムって、もっとプックリしてなかったっけか?
このへんはよく分からない。
ご飯の上にパパドをバリバリと割りかけて、ラッサムやサンバルと混ぜ込みながら食べると旨い。
ラッサムはかなりシャープな味。
辛味が際立っていた。
もっと酸味とのバランスが取れているほうが好きだ。韓国の水キムチのような感じと言うか、それだけで飲んでも美味しいと思えるぐらいのものがいいな。
そうは言っても、たまにお目にかかるトマト過多の変にコッテリしたラッサムと比べれば、どれだけ良いか。
サンバルは随分とポテッとした感じ。見た目以上に豆の量が多く塩を効かせているのか、本当に味噌汁のような感じがする。
もっと野菜が入っててもいいんじゃないかと思う。
南インド料理を出す店は数えるほどしかないし、その全てに行っている訳ではない。
その数少ない経験の中では、好みの味とは少し違う部類。

ドーサはジャガイモ炒めの入ったマサラドーサにした。
他にも具の入っていない皮だけのプレーンドーサも頼める。
ドーサをはじめて見ると、どのように食べて良いのか困ってしまう。
インド人的には右手だけで上手くちぎって食べるのだろうが、そこまでこだわらなくても良いと思う。
ただしドーサをフォークとスプーンで食べるのはしんどい。手で食べる方が楽だ。
具の入っている真ん中をつついて破り、適当に皮をちぎって中の具と混ぜる。
タレに相当するチャトニも混ぜる。
まずはココナツチャトニ。
辛さが欲しければトマトチャトニを少しずつ。
とにかく混ぜる。
チャトニだけ付けてもいいし、サンバルに浸しても、サンバルをかけてグシャグシャにしても良い。
そして食べる。
ここのトマトチャトニは、レッドチリチャトニかと思うくらい辛さがあった。
もっと生姜とか塩が効いているほうが好きかも。
とにかく混ぜて自分好みの味にして食べるのは、ドーサだけじゃない。
ご飯もそうする。
ご飯にサンバル、ラッサム、チャトニを混ぜて食べる。
何をどう混ぜるかは、各人が好きにすればいい。
このへんの気軽さは、軽食ならではのものですね。
全体の感想を言うと、北インドの料理人が作った南インド料理という感じがある。
つまり何か違和感を覚える部分もあるということ。
(実際にはチェンナイ出身の料理人が作っていますが)
でもこの辺の感覚は、何度か食べているうちに変わったりするものだ。
今のところそう思う、と言うことかも知れない。
とにかく普段家の近くで、サンバルやラッサム、チャトニと一緒に何かが食べられるのは嬉しい。
味については好みじゃないものもあるが許容範囲内だし、飲み物とイドゥリという米の蒸しパンのようなものも付いて850円のマサラドーサセットなら十分だ。
だいたいそれほどたくさんの南インド料理レストランがあるわけではないのだから、どのタイプが現地に近いかと言うことすら分かっていない。あくまで自分好みの味かどうかだけで物を言っているだけなんです。
だから文句が多いようでも、結構行きたくなったりする。
サンバルは何度でもお代わりが出来るしね。
ここは恥ずかしがらずに何度でもお代わりしましょう。
私はお代わりをしなかったことはありません。
ドーサとサンバル、チャトニが1つ付いて1000円以上取られる店があることを思えば良心的だ。
ドーサやワダのメニューは英語表記で、日本語のものはなかった。
基本的にインド人向けなのだろうか。
ホールに日本人がいるのだから、日本語メニューも揃えて食べ方の説明もキチンとすれば、注文は増えると思うんだけど。
ドーサやワダを頼む人がもっと増えれば、徐々に南インド料理のメニューが増えるのではないかと期待しているんですが、どんなもんでしょうかね。
そうなったら嬉しいのに。
最後に御注進。
テーブルの透明なシートがペタペタと皿の底にくっついて鬱陶しい。
皿の位置をずらせないくらいくっつく。
これは取り替えた方がいいと思うよ。
(現在はマットを敷くようになったので、くっつくことはなくなりました)

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PS:本文中でワダの材料を『豆のペーストを発酵させて』と書きましたが、inaさんから『発酵はさせない』とのご指摘を頂きましたので訂正いたしました。
また私の感想では北インドの料理人が作ったような印象と書きましたが、実際にはチェンナイ出身の料理人が作っているそうです。
誤解を与えるといけないので、書き添えておきます。

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