皆さんご存知のカルボナーラ。
誰でも知っているパスタの代表選手です。
カルボナーラにも定番レシピと言うものがありますが、その他にも作り方はあります。
皆さんはカルボナーラと聞くとどんなパスタを思い浮かべますか?
普通はチーズと卵の黄身を使ったソースと、カリカリのベーコンに黒胡椒をパラリ、でしょうね。
カルボナーラは炭焼き風と言う意味です。
カルボナーラが何故『カルボナーラ』と呼ばれるのかは定かではありません。
振り掛けられた黒胡椒が炭の粉に見立てられたとか、ベーコンを炒める時の香りが炭焼きを連想させる、また炭焼き小屋の保存食であるベーコンと卵だけで作るからとか。
どの説もハッキリとしたものではありませんが、黒胡椒とベーコンと卵を重要な材料としていることをうかがわせる。
ponkoro流カルボナーラのレシピ。
1.全卵1個、卵黄1個、粉チーズを良く混ぜておき、パスタを茹でている横において温めておく。粉チーズは市販のパルメザンチーズでもいいが、出来ればパルミジャーノ・レジャーノかペコリーノ・ロマーノをおろして使って欲しい。最近はスーパーでも売っています。香りが断然に良くなる。大さじに山盛りくらい入れていい。(後で使う分、さらに大さじ山盛りもおろして置いてください)
2.オリーブオイルを熱し、包丁の腹で潰したニンニク一片を入れ香りが出るまでユックリと温める。ニンニクはオイルに香りが移ったら取り出す。拍子木状に切ったベーコンをじっくりと油を落としながら炒める。ベーコンは是非ブロックを使っていただきたい。ブロックから長さ3センチ程度の拍子木状に切ったものを使うのと、スライスベーコンを使うのでは旨味の出方がまったく違う。そしてジックリと弱火で、充分に油を落とすこと。それによってオリーブオイルにベーコンの塩味と旨味が溶け出し、口に入れたときに脂っこさを感じることがなくなる。
3.火を強火にしてから白ワインを適量回しかけ、一気にアルコール分を飛ばす。ベーコンに香り付けするのが目的なので白ワインで煮込む必要はなく、アルコールが飛んだら生クリームを入れる。クリーミーな感じが好きな人はやや多めに、フライパンの底が見えなくなるぐらい。普通はそこまで入れなくていい。
ここで中火に戻し、煮込むような感じで生クリームとオリーブオイルを馴染ませる。フライパンを揺すりながら馴染ませ、オリーブオイルの黄色と生クリームの白が程よく混じったら火を止める。
4.茹であがったパスタを投入。すぐに粉チーズを降りかけながら混ぜ合わせる。さらにすぐ、混ぜ合わせておいた卵液を回しかける。パスタの余熱で粉チーズが溶け、卵液がトロ〜リとなるのが理想的。卵は黄身が固まるのが65℃、白身は60℃。だから余熱で火を通さないと卵がダマになって固まり、ソースがボソボソになってパスタにまとわりつき、舌ざわりが悪くなる。
5.皿に盛ったあと、荒挽きの黒胡椒を振りかけて出来上がり。
ニンニクを使うかどうか、卵黄だけ使うか全卵を使うか、生クリームは入れない、など個人の好みはありますが、だいたいこんなもんでしょう。
美味しく出来るかどうかは、それぞれの作業の手際とタイミングで決まる。
カルボナーラの美味さは、卵黄の滋味とチーズとベーコンの旨味がトロリとしたソースで一体になって、黒胡椒の香りがそれを引き立てるところにあると思う。
なぜカルボナーラの語源といわれる説やレシピをわざわざ書いたかと言うと、昨日食べたカルボナーラに腹が立ったからだ。
その店は西葛西駅の近くに数ヶ月前に出来た。ガラス張りの入り口から店内は丸見え。食券を買って注文する。白い内装は、清潔感があると言うよりはタイル張りの厨房を思わせる。お分かりの方はお分かりだろうが、いつも客が入っていないので店名は伏せておく。
出てきたカルボナーラは普通と違っていた。
スープのようなソースの中にパスタが盛ってあり、真中に卵黄がそのまま乗っている。
その上にチーズが振りかけてあるが、黒胡椒は見当たらない。
ほんの5、6枚のひらひらしたベーコン。
パスタは生パスタを使っている。
どうも、卵黄を崩してパスタとスープに絡めて食べると言うことらしい。
問題は、そのスープのようなソースだ。
明らかに
アサリのブロードを使っている。ブロードとはイタリア料理で使う、言わば出汁です。それを生クリームと牛乳で延ばしている。
これに野菜や香草を入れると何になると思いますか?クラムチャウダーです!
しかもアサリの旨味が強すぎて卵黄もチーズもどこかに飛んでしまっている。
これは、正に、クラムチャウダー・スープパスタ(あさりなし)です。
断じてカルボナーラではない!
卵の濃厚な滋味はどこにいった?
チーズの旨味は?
ベーコンの油から出る出汁は?
荒挽き黒胡椒の鮮烈な香りは?
どこに炭を感じる?(伊語のカルボナーラも英語のカーボンも語源は同じ)
クラムチャウダー・スープパスタだって美味いと思いますよ。それぞれの素材を引き立てればね。アサリの旨味自体は大変美味しいブロードなんだから。
しかし、それはカルボナーラではない。
生パスタを使っているけれど、私は必ずしも生パスタがいいとは思わない。乾麺には生パスタにはない美味さがある。特に濃厚なソースには乾麺が合う。
生パスタは茹で上げるのが難しい。そもそも打つのが難しい。美味しい生パスタにはそうそうお目にかかれない。
良い生パスタをアルデンテに茹で上げると、前歯で噛んだ時にプツンプツンと潔く切れるものだが、出来が悪いと奥歯にモッチリとくっつく。残念ながら、ここの生パスタは後者だ。ただし、これは嗜好の違いがあるので一概にも言えない。
アサリのブロードを多用するようになったのは
リストランテ・ヒロの山田氏が最初だろう。まだヒロではなく、表参道のバスタ・パスタにいる頃だと思う。その後ブロードを使うことがイタリア料理の流行になった。
リストランテ・濱崎の濱崎氏は野菜のブロードを実に上手く使う。
しかし、みな素材を活かすために使うから美味しい料理になるのだ。ブロードが前面に出ることはない。ブロードが自己主張するのはブローデッドといわれる一種のスープ料理のときぐらいである。ブローデッドの具にパスタが使われることはあるが、これはあくまでスープであってパスタ料理ではない。
この店でカルボナーラとして出されるものはカルボナーラではなく、ブローデッドでもない。
私は、こういう訳のわからない対応が嫌いだ。美味いまずいの問題ではない。
調理している若者の名誉のために言っておくが、訳がわからないのはレシピを決めている本部の人間である。調理している若者は、指示された通りに自分の仕事を全うしているだけだ。
目先の変わったメニュー開発に気を取られてばかりいるから、こういうものが出てくる。本来の料理を崩して崩して、別の物にしてしまっている。
変わったカルボナーラならまだしも、カルボナーラでないものを出すのなら、
せめてカルボナーラ風○○○としてくれ。
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