さて、日本のサンボとロシアのサンボがなぜ違ってくるのか、(もちろん体格だとか文化の違いもありますので一概に言い切ることは出来ませんが)の答えですが、1つは学習のシステムによるものだと私は考えています。モスクワ体育大学での授業ですが午後は普通日本でもやっているような内容で自分の得意技を反復練習したりスパーリングをしたりといったごく当たり前のものなのですが、午前の授業にその答えはあります。午前と午後の練習の違いは単純に基礎練習と実戦的な練習ということなのですが、基礎練習が半端ではなくきついのです。授業中はひたすら投げばかりで休む時間は全くありません。ひたすら投げ込みばかりと聞くと得意技を中心として2〜3個の技をと考えるのですがここが違うのです。この授業では得意・不得意に関係なく
いろんな技を
いろんな組み手でやっていくのです。しかも全員がきれいに投げれるまで、その技、その組み手はずっと繰り返し続きました。この授業でみんながどんな組み手からでもどんな技でも出来るようになりサンボの投げほぼ全てを身につけます。そしてそこの中から各自、体形だとか使いやすさによって得意技が絞られさらに研究することによってその人独自の技が出来上がる。そんな感じです。技の幅ということでイメージするなら三角形です。最初底辺が広く徐々に狭くなる。これに対し日本のシステムは逆三角です。得意な技をみつけそれを生かせるように技の種類が増える。このイメージなんとなく伝わったでしょうか。
崩しの考えもサンボと私の知る限りの柔道とでは違い、特殊な技が出来上がる背景になっていると考えていますが長くなりますのでまたの機会に。
