サンボの練習を再開して、自分で一番ビックリしたのは、体の硬さでした。
現役の頃は、180度開脚など当然のごとく出来ていたのですが、今はどう頑張っても140度くらいです。体が硬いと、開脚前転がとてつもなく苦痛です。マット運動がこんなにも、しんどいものだとは全く気づきませんでした。
HPのプロフィールには、さりげなく、子供の頃「体はめちゃくちゃ硬く、前屈などは全く出来ませんでした。」と書いておきました。お気づきになりましたでしょうか。
----------------------------------------------------------
体の柔軟性は怪我防止の意味からも、技術発達の意味からも非常に重要です。
既に書いたとおり、サンボの力の使い方は、独特のものがあり、言葉で表すのであれば「ズドン!」なんですが、この「ズドン」を使いこなす為には、特に
肩と
股関節の柔らかさは必須です。
サンボの準備運動の中には、肩をマットにつけ、そこを中心にしてまわすというものがあります。肩関節を柔らかくする意味については、「寝技の役に立つのかな?」くらいにしか考えていなかったのですが、実は立ち技において必要なものだとわかってきました。
股関節の柔らかさについては、寝技はもちろん、サンボの投げ技(一気に力を伝える入り方)を使おうとする場合、硬いと技に入ることが困難です。
---------------------------------------------------------
では、「体を柔らかくするには、どうすればいいのか?」と言うことですが、真っ先に思いつくのは、ご存知の柔軟体操です。しかしながら、柔軟体操を行うことによって、体が柔らかくなったという話はあまり聞きません。周りを見ても、硬い人は、いつまで経っても硬いままです。従来の柔軟体操で体が柔らかくなるのであれば、皆さん苦労はしないわけです。(もちろん、例外はあるでしょうが)
---------------------------------------------------------
柔軟性に関係しているのは「骨の構造」と「軟部組織(筋組織・筋膜・腱・靭帯・関節包)」です。
骨の構造については努力しても変化しませんが、一般的に「体が硬い」と言うのは、軟部組織の問題で、努力によって変えていくことは可能です。そして、忘れてはならないのが「神経」の問題です。
従来の柔軟体操では神経の働きを全く無視している為、効果は現れません。
人体は痛みを感じると、防御反応として筋肉を収縮(伸展反射)させます。それ以上伸びて損傷が起きないようにするシステムです。伸ばそうとして一生懸命やっても、感覚神経が中枢神経に筋肉がどの様な状態か伝え、反射運動により、収縮するのですから、効果がないことがわかるでしょうか。
そこで現れたのがPNF(固有受容性神経促進法)です。簡単に説明すると、筋肉は緊張した後、弛緩(リラックス)します。伸ばそうとしている方向とは反対方向へ力を入れ、力をぬき筋肉がリラックスした時、伸ばしてやるのです。
カイロの治療では可動域を回復させるテクニックとして、寝違えの場合など即、効果が現れますので、PNFは、よく使います。ただ、PNFの問題点としては、基本的に2人で行わなければならず、術者の力の配分や伸ばす時の技術が難しいので、素人が簡単に出来ない点にあります。
-------------------------------------------------------
子供の頃、体の硬かった私は一体どのようにして、柔らかくなったのでしょうか?
柔軟体操を一生懸命やったわけではありませんし、PNFによって柔らかくなったわけでもありません。
自然に柔らかくなっていたのです。・・・答えになってませんね。
考えてみると、格闘技を始めた時期(打撃系)と体が柔らかくなった時期が同じだったように思います。そのあたりを考えると、どうやら答えが見えてきます。
軟部組織と神経、両方を考えた体操法で、且つ一人で行えるものを!これをテーマにして、研究し、理論は完成しました。
しかし、いい加減なものは公開したくありませんので、只今、自分の体を実験台にして調べています。暫くお待ちください。
実は、体操法のモデルとなったのは、モスクワ体育大で選手が肋木を利用し行っていたものです。
準備運動の中でストレッチを行うことは無意味であると、以前書きましたが、柔軟体操もモスクワの練習では行っていませんでした。留学当時は一見、サンボとは無関係に思えるその体操法の意味がわかりませんでしたが、今になって「ああ、なるほど」と思ったわけです。
------------------------------------------------------
格闘技人気ブログランキング
------------------------------------------------------