ブッシュ政権は中間選挙で大敗北 ラムズは更迭された 追撃しよう!
―ブッシュらは再び不正操作で中間選挙の「勝利」を策したが、
米国全4軍の統一決起で反乱が発生。
―共和党不正「勝利」なら逆クーデターもありえた
更新:06.11.8; 9; 12; 16;12.3, 12.5; 9
前田 進
米国と日本のマスコミは、米中間選挙で「民主党有利」と報じていた。
しかし過去2度の大統領選挙で、ブッシュらは電子式投票方式の不正操作で、事前の「民主党有利」の予想に反して、ブッシュの当選が決まったように、今回もまたブッシュら共和党は電子式投票で不正操作を図っていた:
必見
http://tanakanews.com/g1103USelection.htm
だから結果として、今回もブッシュ共和党が勝利する可能性があった。
それは、過去2回の大統領選挙の不正操作によるブッシュ当選が事実上一種のクーデターだったように、今回も新たなクーデターになる可能性があった。そのあとは、新たな戦争だ。イランか朝鮮が戦術核攻撃される可能性が大になってきた。
その前に、英国のTVドラマ「大統領の死」が予告したように、フリーメーソンのアジェンダ(計画表)に従って事が進められるのか?それは、ブッシュが暗殺されて、チェイニーが大統領になって、第3次世界核大戦―「先制核ハルマゲドン」へ進むという計画だ。それは、フリーメーソンと米キリスト教福音派のネオファシスト的カルト「ネオコン」が目指す「ヨハネ黙示録」の実現だ。
http://tanakanews.com/e0721secondcoming.htm
米国へ選挙監視団を派遣するEUその他の国での動きもあったが、日本のマスコミは無批判な対米追従主義で、報道しなかった。「無冠の帝王」ジャーナリストの誇りは久しい以前から地に落ちている。
猛省を求める。だがそれは最早無意味か?
平和運動、民主団体、労組、NPOは、今が重要な分かれ道だと認識して、大キャンペーンを展開すべきだった。
米国では、空・陸・海軍、海兵隊の4軍配下専門紙:「エアフォース・タイムズ」、「アーミー・タイムズ」、「ネイヴィ・タイムズ」、「マリンコープス・タイムズ」が06.11.6に一斉に、イラク戦争の失敗の責任を追及して、ラムズフェルド国防長官の辞任を要求して、「ラムズフェルト去るべし」と題する共同論説を掲載することを決定した。
http://www.sfgate.com/cgi-bin/blogs/sfgate/indexn/detail?blogid=16&entry_id=10582
これは米軍トップの有力部分が組織した3軍の反乱だ。ペンタゴンもブッシュ政権も大ショックで揺らいでいる。ブッシュらが11月7日中間選挙での電子投票の不正操作を強行して共和党が「勝利」したら、今度は、この新たなクーデターに対する逆クーデターが、「憲法を死守せよ!」の呼びかけでペンタゴン指導部の有力部分の指導で勃発する現実的可能性があった。前に書いたように、逆クーデターはすでにスタンバイ状態にある。問題はすでに、国防長官の辞任問題を遥かに超えて、ブッシュ政権倒壊が日程にのぼりつつあることを示しているようだ。
他方ではブッシュ一派も対抗措置をとっている。ブッシュは10月下旬に、共和党優位の議会で可決された改定「反乱/暴動対処法」(Insurrection Act 1807)に署名して発効させた。これで米大統領は、これまで禁じられていた米国内での米連邦軍の派兵を命じることが出来て、戒厳令実施の軍事的権限を持った。今後、米国内で反乱/暴動が発生した場合、警察ではなくて米連邦軍が出動して鎮圧出来るようになった。これは、上述したペンタゴン指導部内の有力部分による逆クーデターと、州兵、民兵の反ブッシュ・反ネオコン護憲勢力への対抗措置になった。しかしそのことは内戦の勃発とUSA崩壊をもたらす可能性がある。
http://www.chattanoogan.com/articles/article_95980.asp
米国中間選挙でブッシュ政権が大敗北 追撃を!
選挙の結果、米国下院では民主党230対共和党205で大逆転が起った。上院ではバージニア州で民主党50%対共和党49%、モンタナ州で民主49%対共和48%の接戦となったが、民主党51(49+2)対共和党49となって、民主党が12年ぶりに上下両院で逆転勝利した。州知事選挙では民主党28対共和党22となった。
こうしてブッシュ共和党は大敗北を喫した。それは、宇宙の意志の具現であった。ブッシュは「失望した」と泣き言を吐いた。ラムズフェルドはすでに投票前日の11.6にイラク占領の失敗を認めたメモをブッシュらホワイトハウスに送って、イラク侵略と占領の挫折を証明した。彼は55の占領米軍基地を5まで削減し、米軍の部分的撤退を開始するよう提言した。
ブッシュの大敗北は、行き詰ったイラク占領にも、朝鮮への軍事・政治的、金融・経済的圧殺路線にも大打撃になった。 ブッシュは翌日の11.8にラムズフェルド国防長官を更迭して、父親ブッシュ大統領時代の国家安全保障問題次席補佐官・元CIA長官のR.ゲーツを後任に指名したと発表した。またブッシュは「共和党の代表として多くの責任を共有する」と自分の責任を認めたが、自分の最高責任に言及することを避けて、権力にしがみついた。彼は民主党と「党派の枠組みを超えて課題に取り組みたい」と、民主党への譲歩意向を語った。これらは、イラク戦争反対の世論、民主党、ペンタゴンの逆クーデター勢力の一定のもう一つの勝利となった。
こうした米国政治の歴史的な変動は、上述したクーデターと逆クーデターの隠然たる対抗という力関係を背景とした、ブッシュ一派のイラク戦争に対する米国民の反対が高まった結果であり、また金権奴隷支配体制の圧制下での経済的格差と貧困者数の極端な拡大、生存の危機に対する米国人民の抗議が高まった結果だった。ブッシュは選挙2日前にイラク傀儡法廷でサダム・フセインの死刑判決を出させて、人気挽回策を謀ったが無駄だった。06.11.11発表のニューズウィーク誌の世論調査で、中間選挙後のブッシュの支持率は31%まで低落した。
国連総会は06.11.11に米国によるキューバの経済封鎖を非難する決議を183対4(イスラエルと米国、他2ヵ国)、の圧倒的多数で採択した。同安保理は同日、イスラエル軍によるパレスチナのガザ住宅地への砲撃と18人以上の虐殺を非難する決議案を米国の拒否権行使で否決した。こうして、ブッシュ政権の米国は世界的に孤立した。
米ブッシュ政権を牛耳るネオコンの幹部で国連大使のボルトンは、06.12.1に1月の任期切れで辞任するとブッシュに辞表を提出、ブッシュは12.4に受理した。これはUSA帝国主義の世界的な覇権を目指す単独行動主義の挫折を象徴する出来事になった。
しかしブッシュ、チェイニーら米キリスト教原理主義的カルトのネオファシスト一派「ネオコン」と背後のフリーメーソンは、「先制核ハルマゲドン」を目指す総路線を放棄しないで、ここ数ヵ月続けてきたイランと朝鮮に対する軍事侵攻作戦の準備を、欧州フリーメーソンのイラン攻撃反対と今回の中間選挙の大敗北で打撃を受けたのに、なお放棄していない。だから地球規模の彼ら戦争犯罪者に対するグローバルな追撃が必要になっている。まず米英軍はじめ日本空軍その他の全占領軍をイラクから直ちに撤退させよう!米民主党の有力な次期大統領候補と目されているヒラリーでさえ、米軍のイラクからの段階的撤退を06年12月中に開始すべきだと呼びかけているほどだから、なおさらである。
防衛庁の防衛省昇格、教育基本法の国家主義的な改悪、共謀罪法案、憲法改悪の阻止に有利な情勢が現れてきた。日米人民の連帯を強め、これらの反対運動を拡大強化しよう。
イスラエルがイラン等への核戦争で侵略的「大イスラエル構想」を推進
アメリカン・フリープレスは06.11.13号でM.パイパーの記事「A.リーバーマンはハルマゲドンの設計師か?」を発表した。それによれば、イスラエルのヒットラーと呼ばれているアヴィグドール・リーバーマン現副首相は、イランに対する核攻撃、「聖地」からのユダヤ人以外の人種と民族の一掃、戦争によるイスラエル国境の拡大を主張している。この「大イスラエル構想」は(新約聖書の「ヨハネの黙示録」の「予言」に従って)イスラエルの国境をナイル河からユーフラテス河まで拡大し、エジプトの一部、サウジアラビアの一部、イラク、クエートの大部分、シリア、ヨルダン、レバノンの全部を含めている。そのためA・リーバーマンは、それらの土地に住むイスラム教徒、アラブ人民と少数のキリスト教徒の核など大量破壊兵器によるジェノサイドを主張しているという。
ブッシュはベーカーらの「イラク研究グループ」を使って民主党を丸め込もうと試みており、米中央軍のアビザイド司令官が06.11.15に上院軍事委員会の公聴会で、イラク占領米軍の規模を現状通り維持あるいは一時拡大する方針を表明したのは、リーバーマン構想と関連がありそうである。
グローバルな連帯闘争でこうした地球と地球人類の敵をまかり通してはならない。彼らの思惑通りに万事が進まないよう、米中間選挙での共和党の大敗北に続いて、彼らを大敗北と挫折に追い込まなければならない。
ブッシュがNATOと日本、豪州の共同演習を画策
日本は3軍を防衛省に改変、海外派兵を本来任務にして売国・亡国の途へ
米ブッシュ大統領は06.11.28に、NATO首脳会議が計画しているNATOと日豪の軍事協力強化について、グローバル協力計画と呼んで合同の訓練、演習、作戦計画立案を可能にする構想であると言明した。
日本では、06.11.30に海外派兵を本来任務と定めた防衛省法案を自民党、民主党、公明党、国民新党の賛成で衆議院で可決したあと、参議院へ送った。12月に成立の見通しだという。これで、ブッシュら米国の「先制核ハルマゲドン」世界戦略の布陣へ日本を組み込む計画が強化されて、売国・亡国の途へ大きく進むことになりかねない。反対国民運動を盛り上げて参議院で阻止しなければならない。
父親ブッシュ大統領時代の共和党国務長官ベーカーらの「イラク研究グループ」は、08年の米占領軍戦闘部隊の撤退可能性、イラク軍への指導・援助への米占領軍の主要任務の移行、イラン、シリアへの協力要請交渉などから成る提言を発表した。これは、占領挫折の抜本的解決にならない中途半端な措置と占領への露骨な未練と執着の表明になった。
イラク内戦開始への決定的なきっかけになったのは、イラク建設相が暴露して爆殺されかけたように(別記事参照)、米占領軍によるシーア派霊廟の爆破陰謀事件だったのに、ブッシュは、撤退すればイラク内戦が激化するとの口実で、「全部承認しはしない」と尻込みの回答をした。ブッシュらのリーダーたるイスラエルのオルメルト首相は提言に否定的な論評を発表した。イランとシリアは「占領協力とは問題外」と論評した。イランのモッタキ外相は06.12.9に「米軍など多国籍軍のイランからの撤退が対米協力の条件だ」と言明した。同国のタラバニ大統領は、米国がイラクを「植民地」と見なし、自国の条件を押し付けてイラクの独立を無視するものだと指摘、「イラク国民に対する侮辱」と強く非難した。全占領軍即時撤退という抜本的解決以外に活路はない。これらで、USA帝国主義の自滅路線は明確になった。米支配層がそれを自覚していないことが、米帝国危機の深刻さを表わしている。

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