去年は海外の仕事が多かったのですが、今年はゆっくりと
日本で溜まった資料やジュエリー製作の材料を整理して
ジュエリーを作ったり、資料まとめをしたいと思っています。
ラリックは1845年に85歳でその生涯をとじるまでに膨大な数の
デザインをし数々の名作を生み出しました。
ラリックの展覧会や研究書も数多く出版されていますが、毎年
注意深くオークションや世界の美術マーケットを見ていると
見たことのない素晴らしい作品が再び現れ驚かされます。
今日も実はラリックの30年前に書かれた研究書を見ていたら偶然
このブローチのオリジナルのデザイン画が現存することを発見しました。
小さなことですがこんなふうな小さなオタク的発見がコレクションや
研究をより楽しくしてくれます。
写真は私のコレクションの中でも一番お気に入りのブローチです。
製作されたのは20世紀の初頭、1900年から1902年までの間のベルエポック
(Belle Époque)と呼ばれるパリがとても華やいでいた時代です。
パンジーをモチーフにしてあり、センターにオパールを配しパンジーの
形の型ガラスとパンジーの蕾と葉をエナメルでデザインした少し
日本の紋章に影響を受けたようなデザインの物です。
パンジーの花の名前は少し傾いたような花のつけ方が人間が想いに
ふけっている姿を連想させることからフランス語の"考える/想い"を
意味するPensee(パンセ)が語源と言われ自由な思想のシンボル、又
恋愛感情の想いを表すモチーフとしてジュエリーや工芸品のデザイン
に好んで使われました。

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