本当に久しぶりに見た美しいエナメルのイアリングです。
赤という色はエナメルで最も美しい色を出すのが難しく
またエナメルの釉薬を作るのに本当の金を用いる事から
このような美しい赤い色のエナメルジュエリーはなかなか
見る事が出来ません。
このイアリングの特筆すべき点は " Paillons " と呼ばれる
技法を使い美しいゴールドのスクロールワークが描かれて
いる事です。
この19世紀の上質なエナメルジュエリーに使われた技法は
薄い金の板(通常の金箔より少し厚みのあるもの)を四角
またはこのイアリングに使われているようにカットし、予め
エナメルを施した土台に敷き焼成し金属の板を少しエナメル
に沈めます。再度仕上げの透明または色の付いた透明なエナ
メルを施し焼成、焼成後にエナメルの形を整えて再び焼成し
完成という気の遠くなる手順で完成します。
またこのイアリングを裏側から見るとエナメルのパーツと
ゴールドの彫りの入ったパーツがリベットでかしめてある
事もわかります。
イギリスの大学でジュエリーを学んでいた頃に先生や
同級生にもしかしたらエナメルの釜のある部屋で倒れて
いたらどうしよう。。。と心配されるくらい古いエナメルの
釉薬をローマングラスを細かく粉にして精製したり雲母を
使ったプリカジュールを再現する研究に没頭した時期が
あります。
そんな経験があるからこそこのような美しいエナメル
ジュエリーを見ると心が動いてしまうのだろうと思います。
価格 45万円 (税抜き価格)
とても珍しいお品です。
このクラスのお品にしてはとてもお値打ちだと思います。

10