7月のサマーセールが終わりました。
次の海外出張に行く予定まで少し余裕もあり、冷房の効いたサ
ロンでゆっくりとデザインワークや事務仕事をして久しぶりに
溜まったジュエリー関係の資料を読んだりして過ごして
います。
(もちろんお客様も絶賛ウエルカム中です)
少々運動不足な今日この頃、お客様に解説付きでショーメ展を!
との事で三井1号美術館で開催中のショーメ展に行って
来ました。
既に中国で同じ展示が行われ、知り合いのヨーロッパのビッグ
ディーラー達から非常に良かった!コレクションを貸して
いるから様子を見に行って来て、と聞いていた展示ですので
とても楽しみに作品を鑑賞する事が出来ました。
これから行かれる方も多いと思うので個々のジュエリーの細
かな感想や説明は控えて、私の1番好きなジュエリーである
ナポレオンが妻の為に結婚祝いとして贈った美しい
カラーストーンのブレスレットについてご説明します。
”皇妃マリールィーズのアクロスティックブレスレット”
マリ=エティエンヌ・ニト、1810年
ゴールド、ダイヤモンド、貴石
詩から着想を得たアクロスティック・ジュエリーは、
それを飾る宝石のイニシャルを用いて、秘密のメッ
セージを作り上げる。これら3点のブレスレットは
ナポレオンからマリー=ルイーズへ結婚祝いとして
贈られたものである。
上から1点目は、ナポレオンの名と彼の生年月日、
1769年8月15日が綴られている。
”アクロスティックジュエリー“ とジェムストーンに刻ま
れた頭文字に秘密のメッセージが込められたジュエリー
という事は図録に書いてあるものの、具体的にどの
様にメッセージが込められたという事は書いていま
せんでした。
そこでわかりやすい様に画像を作ってみました。
皇妃マリー=ルイーズのアクロスティック・ブレスレット
フランス語表記も英語表記もあまり頭文字は変わらない
のでわかりやすく英語で使用されている宝石の頭文字
を書いて見ました。
その頭文字を上から読んでいくと、
NAPOLEON 15 AOUT 1769
(Napoléon 15 Août)フランス語読みすると ナポレオン ウゥート)
Août はフランス語で8月の意味。
つまり宝石の頭文字でナポレオンの名前と誕生日を
表しているのです。
上の図は GIA がアクロスティックジュエリーについて書いた
記事に当てはめたアルファベットの文字です。
2点目には、マリー=ルイーズの名と彼女の生年月日
である1791年12月12日を宝石の頭文字と12月を
表す Decembreを
Marie Louise 12 Decembre 1791
Malachite,
Amethyst
, Ruby,
Iris,
Emerald,
Lapis,
Opal,
Uranite,
Iolite,
Sapphire, Emerald
[12] Diamond, Emerald, Chrysoprase,
Emerald,
Malachite,
Beryl,
Ruby,
Emerald [1791].
もう一つのブレスレットはナポレオンと妻のマリー
ルイーズのコンピエーニュでの出会いの日付
3月 (Mars)27日パリでの結婚式の日付の1810年
4月(Avril)2日が 示されています。
“27 Mars 1810, 2 Avril 1810” [27] Malachite, Amethyst,
Ruby, Serpentine [1810], [2] Amethyst, Vermeille,
Ruby, Iris, Limestone [1810].
今回このブログを書くにあたってこの4月(Avril)のVの文字
の宝石が色々な出展によって違うので興味深く調べたところ、
GIA のVarisciteは1837年に命名されたらしく、おそらく
フランス語の 朱色を表す ”vermeille” または” vermeil"
はガーネットの通名ですので普通の茶色っぽい赤いガーネットを
指します。
個人的には昔の MIKIMOTOのヨーロッパのアンティーク
ジュエリーのカタログで見たヴェズビアナイトでは無い
かと思い調べてみるとこれは18世紀末にベスビオ火山
から発見された石でベスビオ山(Il monte Vesuvio)
に因んで名付けられた石のVesuvioniteを使って
欲しかった。。。と思い、これだからアンティーク
ジュエリーは面白い!
と今晩も遅くまでジュエリーの書物と調べ物で
こんな時間になってしまいました。

(画像は全てオフィシャルサイトからお借りしました)
「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界―1780年パリに始まるエスプリ―」
の会期は9月17日まで。
東京・丸の内の三菱一号館美術館で開催されています。
8月の13日から17日は美しい建物もライトアップされて、夜の21時
までオープンしているそうです。
約300点のジュエリーや小型の美術品、絵画、素描などが日本で
初めて公開。
お勧めの展覧会です。
こぼれ話
20年ほど前に憧れのジュエリー宝飾の歴史家
”ダイアナ スカリスブリック”氏に
”これからの注目のジュエリーメゾンはどこでしょう?”と
伺った際に、”今一番面白いのはショーメ、アーカイブを
整理しているけれど、調べれば調べれば驚くほど素晴ら
しい。。。” と当時それほどカルティエなどのメゾンと
違いさほど現代物でもちょっと古臭いイメージの商品を
作るショーメ(驚くほど20年前と商品構成やデザインが
違います)のジュエリーはアンティークジュエリー
ではプレミアのつくプライスで取引されていなかった
のでショーメに注目されている事にちょっと驚き、それ
以来ショーメの作品を意識的に扱いかなりの数の
アンティークやヴィンテージのお品をアメリカや
ヨーロッパの業者さんと取引をすることが多く
なりました。
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