じつはフリーランスといっても一匹狼ではなく、意外と群れたがる羊かもしれないと思っていた。自由と平等を愛し、群れと権威を嫌うフリーランスと意気ぶるが、独りですることはたかがしれている。群れる羊のように共に苦楽を分かち合い生きるほうが感慨深いなと思いながら例年のように年賀状を作った。
それで、外見は非常におとなしいが、本性はその逆であるという例の羊の皮をかぶった狼では無く、狼の皮をかぶった羊の絵を賀状に描いた。逆転の発想を面白がってくれる粋狂な人もいるかもしれないし、特に問題はないだろうと思ったのだった。
ところが、羊を食べている狼のようで気持ちが悪いと苦言を呈する妻、予想外の酷評に急遽その絵を撤回し、弱者の強がりと深読みされても困るし、やはり新年早々の絵には相応しくなく縁起が悪いかもしれないと別の羊絵に賀状絵を変更してしまった。
ボツになった幻の拙作はたくさんあるが、絵には冒険と独創性がなければ価値はないと思っているので得心したわけでもなく、なぜかこの絵の子羊キャラクターに愛着があり、未練がましいかもしれないが敢えて私個人のブログに載せてみた。妻はどうでもいいと笑うが、私にとって一年をスタートする重要な賀状絵なのだ。

2014.12.24,Copyright(C)2014 AoiFujimoto. All Rights Reserved.

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