こころは瞬くうちに  





知らない森を歩き
知らない木の実を捥ぎ
知らない蜜を舐めて
知らない水を飲む


細胞は情報を更新して
肉体は塗り替えられる
それまでのようでそれまでにないものに
わたしと呼ぶことも
躊躇われるほどに


目を閉じて息を吸い込むことが
奇跡だと思えるほどの空気
悪いものを浄化するような
しんとした…


知らない森を歩き
知らない木の実を捥ぎ
知らない蜜を舐めて
知らない水を飲む
肉体を通過するものには
混じりけのない一生があり
混じり合う過程の中で
わたしは
何度でも
死に
そして
誕生する
木の葉から零れる露みたいに


わたしは
樹木のような肉体でありたい
吸収と放出が
見事な調和で
目に見えない芸術のように生まれ続ける
樹木のような肉体で
そして
その身体をもって
言葉を必要としないものを
あえて
言葉で語る
風の音を譜面にするみたいに
陽の光を画用紙に描くように


知らない森を歩き
知らない木の実を捥ぎ
知らない蜜を舐めて
知らない水を飲む
生きることを
循環だと思ってはならない
それは
常に更新される魂の情報であり
日々の誕生とでも
呼ぶべきことなのだ


わたしには森の言葉がある
知らない森で知った言葉が
それがひとつの温度になり
それがひとつの光に変わったとき
わたしは
その森にはもう居ないだろう
言葉は
風のように流れてゆく
あなたが
それを




ひとしずくのように受け止めてくれますように






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