2018/10/25

穴だらけの心は破れたフィルムの夢を見る  




















踏ん切りのつかない弱い雨は中空で折り返して黒雲へと戻って行った、とうに濡れる覚悟が出来ていた俺は拍子抜けを食らってゲーム・センターで結構な金を無駄にしてしまう、どこをどんな風に波立ててみたところで結局は同じことだ、水面は穏やかな凪に戻るとしたものさ…激しい言葉や、強い言葉でなんとかなるだろうなんて考えているうちはまだまだ青二才だ、カーニバルでもないのに路上でステップを踏むダンサーは邪魔にされるのがオチさ、下手すりゃ殴られる…真実はいつだって静かな顔をしている、もちろん俺はそれこそが俺だなんていうつもりもない、静かな顔をしている―それは静か過ぎて俺たちのようなものにははっきりと見ることが出来ないんだ、どんなに目を凝らしても…そんな領域に存在するようなものではない、どうやらこのあたりにそんなものがあるらしい―そう認識するのが関の山さ…うん、難しく考えてもらわなくたって構わないよ、俺にしたってこれはすんなりと眠りたくない夜の与太話に過ぎないんだ、わからないならわからないまま読み飛ばしてくれりゃあいい、いや、眠った方がいいだろうことは重々承知しているんだけどね…セオリーだけじゃうまく起動できないものもこの世の中にはたくさんあるじゃないか?もちろんそういったものをひとつも理解出来ないまま死んでいく連中だって少なくはないけれど…まあそれにしてもさ、今夜はずいぶん暖かい夜だよね?眠りたくないのはそんなもののせいだってことにしておくよ、妙な意地のせいだなんて、考えたくもないしね―毎日道化を演じ過ぎて、ウソ笑いが顔から離れなくなってしまった、おかげで本来なら一生関わることもないような程度のやつらの相手までしてやらなくちゃいけない…神様の仕業は地味に神経をざわつかせるよ…すぐに髪が汚れてしまう、すぐに顔が汚れてしまう、すぐに声が枯れてしまう、すぐに指が汚れてしまう、時にはちょっとした擦り傷なんかも出来てしまう、いつも大量の汗を掻いて―おまけにたいして報われることもない…ホルマリンの瓶から這い出て来たみたいな連中の鈍重なレースを、数合わせに無理矢理押し込まれた観客のような目をしてずっと眺めているだけさ―酷く咽喉が渇いて、何度も水を飲んでしまう、そいつらが身体に留まっているという実感がないんだ、胃袋の中で予定外のどこかへ消失しているような気がする、どこかに穴でも開いているのか?なんて、下らない冗談を言ってひとりで笑う―穴が開いているのはそっちじゃないはずさ―表通りに面したこの窓から感じられる外界は今夜は驚くほど静かで、俺は戸惑ったままこれを書いている、きっと、そんな様々な小さな誤差が、俺にこんなことを書かせているのに違いないさ…ずっと、やり足りない気分が続いているんだ、阿呆の真似をしたまま眠るわけにはいかない、でないとここに腰かけている肉体には何の意味もないということになってしまいかねない、それはだれかに見せるためのものじゃない、それは自分だけのために存在するものだ、コマーシャルを打って大声で呼び込んだりするようなものじゃない、道端の石の配列を変えるみたいに差し出せばいい、それ以上のことは受け取った誰かが適当に付け足してくれるさ―そしてそれはことらからコントロール出来るようなものじゃない、だから俺は知らないふりを決め込むだけなのさ、溝だって上手く生まれなければ円滑に水を流すことだって出来ないだろう?―なあ、ところで俺、近頃はこれまでにないくらいぐっすりと眠ることが出来るんだ、明け方近くまで一度も目覚めることなく、ぐっすりとね…そして筋書きのおかしい夢を毎日延々と見ているんだ、きちんと覚えていたら短編小説のひとつでも書けるかもしれないけれど―あいにくいくつかの場面を断片的に記憶しているくらいなんだ、なぁ、そういえばさ…夢の内容をきちんと覚えてばかりいると、現実との区別がつかなくなって頭がおかしくなっちまうって話だぜ、そういう意味では俺は少し覚え過ぎたのかもしれないな…?もう少し書いたら眠るつもりだよ、俺は最後のフレーズを探さなくっちゃいけない、それはここまで書いてきた言葉の中にはないけれど、ここまで書いてきたものに非常に似ているのは確かだろう―そしてそれそのものには大した意味はない、俺は言葉に意味を持たせたりしない、パズルのピースはそれ単体だとなにが書いてあるのかわからないだろう―?全部繋いでみて初めてなにが書いてあるのか知ることが出来るんだ…誰かが前に歌ったみたいに言葉が本当に窮屈だというのなら、俺はこれをごみ箱に投げ入れてそれきり何も書かないのが正解なんだろうな―読み違えるなよ、言葉尻を拾ってるだけじゃたぶんこいつは理解出来ないぜ…。









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